阿武隈カエル図鑑(6)

トウキョウダルマガエル


2013/07/08
分布
本州の仙台平野から関東平野にかけて。
トウキョウダルマガエルとトノサマガエルは、従来、ほぼ生息域が別れているとされていたが、最近では混在しているという報告もある。
従来の分布図を信じれば、阿武隈エリアでこの風貌のカエルを見かけたら、まず間違いなくトノサマガエルではなく、トウキョウダルマガエルである……ということになっていた。しかし、阿武隈エリアで見られる「トノサマガエルに似たカエル」はすべてトウキョウダルマガエルであり、トノサマガエルが混じっていないとは言えなくなってきているようだ。
『レッドデータブックふくしまII』(福島県生活環境部環境政策室自然保護グループ:編集・発行 2003/03)によれば、トノサマガエルとトウキョウダルマガエルは「未評価」となっている。理由は「(互いに)明確に区別できない個体が多く、分布に不明な点が多いため」だという。
また、「他県ではトノサマガエルとトウキョウダルマガエルは交配することも確認されており、細胞遺伝学的な研究も今後行う必要がある」としている。
それが本当なら、将来、トウキョウダルマガエルとトノサマガエルの区別はなくなってしまうかもしれない。非常に興味深いというか、カエル界?にとっては重大な問題になりそうだ。

川内村では、偏在している。村の中心部などには多いが、わが家の近くでは、長い間見ることがなかった。
それが2010年8月に、ある田んぼだけでなぜか大発生。2011年の大震災後は、村中の田んぼに水が入らないというカエルにとっては種の絶滅に直結する環境激変があったが、このとき、ヤマアカガエル、ニホンアカガエル、ニホンアマガエルが激減し、相対的にトウキョウダルマガエルの姿が目立つようになる、という変化が見られた。


大きさ・容姿
40mm〜80mmくらい。。

緑色の強い個体


茶色い個体

緑色、茶色など体色はさまざま。トウキョウダルマガエルはトノサマガエルに比べて、 と言われているが、色も模様も様々であり、こうした識別方法もそのうちあやふやになっていくかもしれない。

2010/08/03 川内村にて


2010/08/03 まだ若い、緑色主体のトウキョウダルマガエル


2007/08/22 葛尾村にて↑



産卵
繁殖は、春から夏にかけてだらだらと続くらしい。雄は雌を獲得するために縄張りを作るが、そのためにヘビなどに襲われやすい。

↑トウキョウダルマガエルの縄張り内にヘビが侵入した形跡


孵化〜オタマジャクシ時期
卵はほぼ剥き出しで産み出されるが、泥やゴミが付着して目立たなくなる。
トノサマガエルは1シーズンに1回しか産まないが、トウキョウダルマガエルは2回に分けて産むことがあるらしい。
オタマジャクシは一月半くらいかけて、最大60mmくらいまで巨大化する。

変態
夏の終わりくらいまでには変態して上陸するが、大人になっても、水辺からあまり離れることはない。
鳴き声
ゲゲゲッと、短く区切るように鳴く。アマガエルにちょっと似ているが、身体に似合わず、アマガエルより声の線は細い。

性格
トウキョウダルマガエルは、近縁のトノサマガエル同様、力が強く、他のカエルを寄せつけないらしい。
つまり、トウキョウダルマガエルが繁殖する場所では、他のカエルが同居することは難しいのではないか。
川内村の中心部の田んぼでは、夜、多くのトウキョウダルマガエルが人家に突進してきてバタンバタンとすごい音を立ててぶつかり、翌朝、軒下に死骸が累々と並ぶのだという。
トノサマガエルは獲物に向かって突進していく性質があるというが、この大量死するトウキョウダルマガエルも、窓ガラスや壁にあつまる蛾などに突進した勢いで衝突死するのだろうか。それとも、人工的な音や電磁波(例えば田圃に水を入れるためのモーターから出る音や高圧電線からの電磁波)などによる異常行動だろうか。非常に気になる。

しかし、2010年以降、我が家の池に進出してきたトウキョウダルマガエルは、先住者であるツチガエルやヤマアカガエル、ニホンアカガエルたちと共存しているように見えた。
県道沿いにある用水池でも、トウキョウダルマガエルとツチガエルが共存していた。

2011年11月、私は川内村から日光市南部に居を移したが、日光市の田んぼでは春になるとトウキョウダルマガエルばかりが目につき、川内村でいちばん多く見かけたアカガエルの姿がほとんど見られなかった。
他のカエルに比べて、体力や生命力、繁殖力が強いことは間違いないように思える。

2011/07/08 原発人災で全村避難の中、ついに我が家の池にもトウキョウダルマガエルが進出してきた


3.11後、あたりまえにいたアカガエルが消えて、今まで見ることがなかったトウキョウダルマガエルが目立つようになった

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