軟弱音楽宿
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4 主要3和音とコードの転回



ある曲の調の1度、4度、5度をルートにしたコードを「主要3和音」といいます。Cメジャー(ハ長調)なら、C(構成音はC・E・G)、F(F・A・B)、G(G・B・D)のメジャーコードが主要3和音です。



↑Cメジャースケール(ハ長調)の主要3和音
5度のコードには7thをつけてちょっと変化させたりもよくします。C、F、G7(Gセブンス)……という感じですね。

↑この7度は、BとCの間、EとFの間が半音で、半音部分が2つある「短7度」なので、メジャーセブンスではなくただの「セブンス」と呼びます。

マイナー(短調)も同じで、例えばAマイナー(イ短調)の曲なら、Am、Dm、Emが主要3和音です。

コードの構成音を転回させる

このことを覚えたら、次にその構成音の並べ方を変えて、押さえやすいようにする工夫をします。これをコードを「転回」させるといいます。

例えばEm7というコードはこうですね↓

これだと、例えばCからEm7に移りたいとき、上のほうの音がかなり飛んでしまいます。
そこで、上のほうの音をオクターブ下に移動させ、同じ構成音で並び方が違う弾き方を考えてみます。
Em7であれば、まずいちばん上(「top note トップノート」といいます)のDをオクターブ下にもってきましょう。

↑↓こうなりますね



まだ離れているので、その下のBもオクターブ下にもってきましょう。

↑こうなります。これでかなりCの構成音と近づきました。C⇒Em7と移ったときに、


↑こうなるので、指の移動が楽になります。
これだと並びが5-7-1-3となり、Eをルート(1度)にしたコードに聞こえないと言われそうですが、左手でしっかりベース音としてのE(ルート)を弾いておけば大丈夫です↓。


このように、コードの構成音はそのままで、音の並びだけを変えることを「コードを転回させる」といいます。
この理屈を知っていれば、コード表にない押さえ方も自分で考えて、いろいろ試してみることができます。

クラシック音楽と違って、ポップスやジャズでは、ピアノ奏者やギター奏者などには音符がまったく書いてない、コードネームだけの譜面が渡されることは普通にあります。というよりも、オタマジャクシがビッシリ書いてある譜面を渡されることのほうが稀です。
「このコード進行で、ゆったりの16ビートっぽいノリでよろしく~」
……みたいな打ち合わせだけで演奏が始まったりします。
そのとき、指定されたコードをどんな風に弾くかは、演奏者の工夫と感性に任されています。
Em7を

↑こう弾くか、

↑こう弾くか

……は、演奏者の裁量で決まるわけです。
また、必ずしもコードの構成音すべてを同時に弾かなければいけないというわけでもなく、主旋律(歌やソロ楽器)を生かすために、適度に音を省いて、ここぞというポイントの音だけを効果的に弾いたりすることはあたりまえに求められます。

音楽というのは本来、音を自由に操り、工夫しながら楽しむものです。カッチリ決められた通りに指を動かすことだけが「演奏」ではありません。むしろそういう演奏のほうが特殊な形態でしょう。

というわけで、理屈は後からでもいいので、まずは指にコードポジションを覚えさせましょう。
↑この曲のバックのピアノは、ほとんど単純にコードをぽーんぽーんと押さえているだけ。


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