「俺はギターが弾けるぜ」という人は多いのですが、よく聞くと、ギターで旋律を弾けるわけではなく、コードをかき鳴らしているだけだったりします。
それなのに「ピアノを弾ける」というと、ピアノでコードを弾くことではなく、なぜか譜面を渡されてその通りに音符を演奏することを求められたりします。
ここではピアノ(キーボード楽器全般)を、
コード楽器として捉えて、単音ではなく、コードを弾くことから始めれば、グッと敷居が低くなるということを実践しています。
例えば、Cメジャースケール(ハ長調)の基本コードである「Cメジャー」というコードは、鍵盤上ではこうです↓
↑C(メジャー)コードの構成音
左手が遊んでいるのはもったいないので、ここでは親指と小指で1オクターブ離れたルート音(ここではC)をベースとして同時に弾きましょう↓。
このとき、
ルート(基準の音)であるCを
1度とすると、Dは2度、Eは3度、Fは4度、Gは5度……と呼びます。
1オクターブ上のCは
8度になり、その上のDは9度です。
3つの音で構成する
メジャーコードは、ルートから数えて1-3-5という並びの音で構成されています。
ここで、この指のポジションを白鍵1つ分右にずらす(上げる)と、Dm(Dマイナー)というコードになります↓。
これがなぜD(メジャー)ではなく、Dマイナーなのかというと、3度の音が、さっきのCメジャーのときより半音分短いからです。
↑EとFの間が半音しかないので、1度と3度の間が、さっきのCより半音分短い。
この長さを「短い3度」ということで「
短3度」と呼びます。
同様に、もう1つ右に(上に)指をずらすと、Em(Eマイナー)というコードになります。Eの音をルート(基音)にしたマイナーコードということです。ちなみにキー(調)やコードネームで「マイナー」を表す
mは必ず小文字で書きます。
これもEとFの間が半音なので、1度と3度の間が「短3度」です。だからEではなくEmになるわけです。
もう1つ上にずらすと、今度はF(メジャー)です。
今度はFとAの間が全音・全音ですから、メジャーコードです。この3度の長さを、短3度と区別するときは「
長3度」と呼びます。
同様に、さらに1つ上はG(メジャー)になりますね。
GとAの間は全音、AとBの間も全音で、1度と3度の間が2全音なので長3度で始まっています。
つまり、
短3度で始まる1・3・5のコードはマイナーコード、
長3度で始まる1・3・5のコードはメジャーコードです。
メジャーコードの3度目を半音下げてやればマイナーコードになります。
例えば、Cをルートにしたマイナーコード(Cm)は、3度目のEを半音下げる(D#にする)わけです。
今回は黒鍵に触らず、白鍵を1つとばしに3個押さえるだけで、基本的なコードが弾けるよ、というところから始めました。
左手はルートに合わせてベース音をつけるだけでも十分豊かな響きになります。
音をもう1つ追加してみる
次に、同じように白鍵を1つ飛ばしにして、もう1つ音を加えてみましょう。
Cの上にBを加えるとこういうコード↓になりますね。
Gが5度、その2つ上なのでBの音はCから数えて「7度」ですが、このコードはC7(Cセブンス)ではなくCmaj7(Cメジャーセブンス)といいます。
3度に短3度と長3度があったように、7度も、半音をいくつ含んでいるかで短7度と長7度があります。Cに対しての短7度はA#で、Bはその半音上ということで長7度です。
長7度を加えたメジャーコードは「メジャーセブンス」コードといいます。
同様に、Dmに7度を加えるとDm7、Emに7度を加えるとEm7、Fに7度を加えるとFmaj7になります。
マイナーコードに7thを入れてマイナーセブンスにすると柔らかな感じに、メジャーコードに7th(長7度)を加えてメジャーセブンスにするとフワッとしたおしゃれ感が出ますね。
……そんな風に、
白鍵を1つ飛ばしに押さえただけで、いろいろなコードが弾ける、というところからピアノを始めてもいいのではないか? というのが今回の提案です。