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のぼみ~日記 2022
2022/10/05
追悼・津原泰水
思いもしなかった物書き仲間の訃報が飛び込んできて、気持ちが今も少し乱れている。
58歳か……そんなに若かったんだ。
彼には、ホーク技研のスプリングリバーブをあげたんだけど、その後、「あれをもらって、ぼくがどれだけ嬉しいか、たくきさんは分かってないでしょ。後になって手放したことを後悔するかもしれませんよ」と言われた。
彼はアナログ機器の貴重性をちゃんと分かっていたんだと、後になって、確かに理解できた。
デジタル機器はどんどん進化して安くなっていったけど、アナログ機器はもう作る会社もなくなり、買いたくても買えなくなった。
世の中のことを見抜いていたんだな。
毒舌漫談みたいな会話は楽しかったけれど、それが原因でよくもめ事も起こしていた。
それでも、ちゃんと押さえるところは押さえて、結果を残していった。
仕事がなくて苦労していたときも「作家をやめるのだけは絶対に嫌だ」と言っていた。
有言実行だったね。
……先に逝ってしまったか。思いもしなかったよ。
訃報に接して、久々に部屋でちゃんと声をだして2曲歌ったよ。
『Orca's Song』と『Lonely Sunday』を。
Set me free......
...... I don't cry and I don't dream. I feel nothin'. Ain't that nice?
Orca's Song は、名古屋のイベントで一緒に演奏したね。
飲み屋ではこうも言われた。
「あの曲は本当にすごい曲。ぼくはあの曲が生まれた時代に生きられてよかった。
でも、たくきさん、あの曲をもっと世に知らせるために、できることがひとつありますよ。
エレキでやるんです。それで、今まで振り向かなかった人たちの耳にも届くようになりますよ」
私が「それはないな」と受け流すと、
「やりたくないのは分かりますけど、世の中ってそういうもんなんですよ」
と、さらに強く言われた。
長く交流がなかったけれど、最近、フェイスブックでたまに音楽やギターの話題で、短いやりとりをしたり「いいね!」をつけてくれたりしていた。
確認したら、最後に名前を見つけられたのは今年の3月1日だった。
私も彼も、生き方が不器用なのは同じだったけど、彼は不器用なだけではなく、ここぞというところの「押し」や「戦略」をしっかり理解していたんだと、後になって分かった。
私は不器用なだけで、彼のような戦い方ができなかった。
駆け抜けた人生……そういう印象をファンに強烈に残したことも含めて、最後までカッコいい戦士だったんだな。
つんちゃん、一生残る思い出をありがとう。
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