記念コインの類は全部額面以下の買い取りになってしまうので、このまま銀行や郵便局の窓口に持っていき「預金」して額面を確定させたほうがいい。
預金するために、ケースに入っていたコインは全部バラした。
造幣局が発行している年度別の「プルーフコインセット」なるもの。1円+5円+10円+50円+100円+500円で、合計666円。このセットを一体いくらで、どこでどのようにして売っていたのだろう。造幣局もすごい商売をしているなあ。今でも続いているんだろうか?
プラケースにガッチリ入っているので、取り出すのも一苦労。最後はニッパでプラスチックをバリバリと破壊して取りだした。
今回のことでいろいろ学んだので、まとめておく。
- 「何でも買い取ります」という業者はダメ。結局なんにも持っていかない。よほど高く転売できそうなものだけを極端に安い値段で買い取っていき、他には見向きもしない。
- 本は売れない。大量に処分するなら、地元の古書店とかと相談するしかない。文学全集とか美術全集の類はまったく引き取ってくれない。ハードカバーの立派な単行本も引き取らない。古い雑誌の創刊号とかなら100円くらいつけてもらえるかもしれない。
- 切手は使う予定があるなら持っていたほうがいい。どんなにきれいな記念切手シートでも、買い取り価格が5割以下ではどうにもならない。ただし、量の問題がある。生きている間に使い切れないほどの数なら、安くなっても現金化したほうがいいわけだし……。
- 記念コインは預金する。銀行で両替は嫌がられるし、手数料を取る銀行もあるから、「預金します」と持ち込めば断れない(はず)。
- 着物は正絹の丈の長いものしか買取らない。ウールとか襦袢とかはダメ。
- 家電や家具はまず無理。家具は高価な物でも大きいものは売れないから、運び出し費用のほうがかかってしまうので買い取らない。古くて工芸的な価値がある小さなものだけ買い取ってもらえるらしい。
- 買い取り業者が目下喜ぶのは、金とプラチナの小物。ブランドもののバッグや時計、装飾品など。それ以外はゴミだとみなされる。
- ネットに出ている広告文句は嘘だらけ。例えば「切手やコインは金券ショップに持ち込むと損です」なんていう広告文句も怪しい。結局、買い取り業者が買い取った切手はさらに金券ショップなどに転売されるわけだから、それなら最初から金券ショップに持ち込んだほうがマシではないのか?
- ネットオークションに細かく出品していけば、買い取り業者にまとめ買いしてもらう何倍かの金額にはなるだろうが、コインが模造品だったとか、思っていたのと違うというクレームが来たりするリスクもある。そういう自分の心労や手間のコストも考えるべき。
自分の持ち物の断捨離にしても親の遺品整理にしても、買い取り価値や価格を細かく考え始めるといつまで経っても整理はつかない。
そのままにしておけば、いつまでも価値を生まないものだし、片付く前に自分が死んでしまうだろう。それなら、買い取り業者で働く若い人たちへの給料になればいい、という気持ちで、さっさと作業を進めていったほうが精神的には楽になれる。だって彼ら若い世代は、ぼくらよりずっと厳しい時代を生き抜いていかなければならないだけでなく、あと20年もしたら、(ぼくらより若い世代の)親の面倒も見なければならないのだから。
幸せな時代を生きて来られたことに感謝しつつ、次の世代(次の次の世代?)へ少しでも「埋蔵金」を引き継いでもらう、というような発想をすればいいのだな。
本当はもっと高く売れたはずだ、とか、やはり手放すべきじゃなかった……などと考えるのは、自分の心がくたびれるだけだ。
自分が業者の現場で働く若い人たちよりも経済的に追い込まれた生活をしているなら別だが(そういう老人もたくさんいる)、死ぬまでの時間内、なんとか生きていけそうな余裕があるなら、もう、細かい金勘定で精神的に疲れるのはやめたい。
……と、こんなことを長々と書いているおまえは、ちっとも解脱できてないじゃないか、断捨離とはほど遠いぞ、と言われそうだが……。