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のぼみ~日記2019

2019/08/20

日光けっこう物語 と三たび向き合う

助手さん曰く
「あなた、昔の曲もいいけれど、最近の曲のほうがいいんじゃない?」
あたし「最近、って?」
「こっち(日光)に来てから作った曲」
「例えば?」
「曲名は知らないけど、『ドミソはちょうちょう……』とか……」

ああ、あれは確かに名曲なんだけど、その「凄さ」が分からない若い子たちがあまりにも多いのでビックリしたんだよなあ。
伊藤アキラ大先生にも「すでにスタンダードナンバーの風格がある」とベタほめされ、伊藤先生に背中を押されて、ものすごい苦労の末に2番の歌詞も作ったのだった。
ファ……がね。ファンタジスタとファインプレーをひねり出した苦労よ。


というようなことを書いたら、「私は、日光の歌? ニッコウケッコウっていう歌が好きです!! カラオケで歌いたい~」という人(狛犬でお世話になっている女性)がいて、「それならカラオケをあげましょう」となって、どうせなら誰もが歌えるようにカラオケ動画も公開しておこうかと思いつき、急遽UPした。

この曲は、Daddy's Cafeのマスターから「日光のご当地ソングを作ってほしい」と言われて5年前に作ったもの。
ご当地アイドルに歌わせるということで、実際に何度かステージで披露しているようだ。
2017年8月12日 日光ミュージックステーションにて 歌:愛海(あみ)kingtigerさんがYouTubeに投降

その前年の2016年8月のときは、愛海(あみ)&栞奈(かんな)でデュオだったのね


この曲、最初に作ったときは、女の子が歌うというので、デモテープのつもりでヴォーカロイドで歌を入れたサンプルを作った。ヴォーカロイドソフトとずっとつき合うかどうか分からなかったし(歌くらい生でやらなくてどうする、という、ごくあたりまえの気持ち)、使いこなせるかどうかも分からなかったので、14日間お試しバージョンを無料ダウンロードして、起動できなくなる期間内に(実際には数日で)なんとかそれっぽいものに仕上げた。
それがこれ↓
2014年に作った当初のデモ Meikoというヴォーカロイドを使った


ただ、しばらくしてから「歌詞の内容が史実と違う」という指摘を受けて、1番の歌詞を書き換えた。
そのときはもうヴォーカロイドソフトのお試し期間が過ぎていて起動もできなかったため、キーを変更して自分で歌い直して作った。
それがこれ↓
1番の冒頭の歌詞を書き換えたバージョン。ヴォーカロイドソフトは使えなくなったので、自分で歌った。


しかし、この曲はヴォーカロイド版のほうが雰囲気が合っていていい、という声が複数あがった。助手さんもクルマでヴォーカロイド版が流れてきたとき、「女性が歌ったほうがいいわねえ」と漏らしていた。

まあ、それは確かにそうだろう。
じゃあ、書き直した歌詞でヴォーカロイドに歌わせたバージョンをUPしておくか……と思いついたのだが、ヴォーカロイドソフトを買うとなると、慎重になる。1万数千円するし、前に使ったMeikoは、当時のヴォーカロイドソフトの中では定番となっていた初音ミクより自然に聞こえたので選んだのだが、5年も前のことだから、今ならもっといいソフトが出ているかもしれない。
というわけでヴォーカロイドソフトを改めて検索していたら、市販のソフト以外に、UTAUという個人が作ったシェアウェア(といっても実質はなんの制限もかかっていない)ソフトがだいぶ前に出てきて、それを使った「UTAU職人」と呼ばれる人たちがものすごい勢いで自作のヴォーカロイドデータを作成して、データや自作曲を公開しているということを知った。
本当にものすごい数のヴォーカロイドデータが出ている。ほぼすべてが「営利目的でない利用はすべてご自由に。いちいち承諾もいりません」というスタンス。
テキストエディタのQXでずっと原稿を書いてきた(このページのhtmlもQXでソースごと書いている)あたしとしては、体験してみないわけにはいかないかな……という気になる。

ただ、テキストエディタと違って、動画ソフトとか音楽ソフトは、個人が作ったソフトと市販ソフトの差がすごくあることが多い。動画ソフト選びのときにそれは痛感した。ただでさえ面倒な動画編集を、さらにソース直書きみたいなやり方で……というのは、あまりにも壁が高いし、無駄も多い。やれることの限界もある。結局、動画ソフト選びのときはフリーソフトを諦めて、市販ソフトでいちばん評判がよく、価格も高くないPower Directorというソフトを選んで正解だった。
今回もそういうことになるかな、という予感がしていた。

実際、UTAUは結構癖のあるソフトで、何度か放り出したくなったが、独自の流儀が少しだけ分かってきた段階で、なんとか市販ソフト並みに使えるんじゃないかと思えてきた。
なによりも、UTAU用の膨大なヴォーカロイドデータが公開されていて、試せるという魅力が大きい。市販ソフトならヴォーカロイドを増やすために万単位のお金が出ていくわけだから。

そんなわけで、UTAUをなんとか使って、最初に作ってみたのがこれ↓

緋惺(あけさと)というVocaloidのデータをダウンロードさせてもらって、なんだか音が出ない~、とか、♪が移動できない~、とか悩みながら、なんとか作ったUTAU初体験バージョン


自分では結構いいんじゃないかと思ったのだが、女性たちから「滑舌が悪い」「最初のヴォーカロイド(Meiko)のほうが断然いい」などの意見が噴出。
どれどれ、比べてみましょうか↓
言われてみればそうかもしれないな~、と思って、さらに改善できないかと、別のVocaloidデータを探したり、編集の小技を自分なりに考えたりしつつ、再チャレンジしたのがこれ↓

これはメインに闇音レンリというVocaloidを使って、サビ部分や掛け合い部分などにはMeikoや緋惺のトラックも少し混ぜて音を厚くしてみたり、いろいろやってみた結果。

もともとデモテープの意味で作って、あとはみなさん歌ってくださいね、という曲なので、カンパケとして聴かれてしまうと辛いのだが、そんなことは言っていられないことも重々承知。
だからこそ、ここまで粘ってみたのだが、もういいでしょ、このへんで、という気分。

データの作者さんたちは顔が見えないので想像するしかないが、緋惺も闇音レンリも、元データを歌っている女性は、かなりの歌唱力をもっているであろうし、当然、生で歌えば、ヴォーカロイドバージョンよりずっといい感じになるはずだ。(そうでなければ、それはそれで怖いが)

データを作成する作業はものすごい時間と根気と技術が必要で、おそらく緋惺は若い男性がデータ作成をしていて、闇音レンリは歌データの主である女性が自ら作成しているのではないだろうか。
それを想像しているうちに、「絶対音感」信仰の譜面がないと何もできないような音大生的な音楽世界とはまったく別の音楽世界(音感も価値観も違う世界)に棲んでいる人たちなんじゃないかという気もしてくる。

ヴォーカロイド音楽というのは、人間の声を使いながらもロボットボイスっぽい味だったり、生歌では歌えない音域の音を出せたりといった「異質さ」が売りになって、独自の世界を築いてきた感がある。
しかし、あたしがEWIに求めたものが、伊東たけしの音とは逆のテイスト(デジタルワビサビ)であるのと同じように、これからもヴォーカロイドを使って何か作るのであれば、すでに知られているヴォーカロイド音楽とは違うテイストのものを探っていくことになる。意地でそうするということではなく、自分の感性に合わせていくと、おのずと違うものになるだろうという予感だ。
で、そういう作品が結構なレベルでできたとしても(相当な気力と根気と運が必要なので自信はないが)、多くのヴォーカロイドファン、ユーザー、作家たちからは「こいつ分かってないな」「ダッセーな」と言われるであろうことも予想がつく。

なにせあたしは「一太郎」「花子」とか「桐」とかの世代だからね。(反発されるのを承知でいえば、キラキラネームみたいな名称や「ボカロ」という通称を書いたり口にしたりすることさえ、ジジイにはそこそこ抵抗があるのよ)

ヴォーカロイドの声の主が近所にいたら、口説き落として生でレコーディングしたいなあと夢想するが、それが実現したら、想像とは全然違って、コブシ回されたり、フェイクされたり、声を張られたりして、幻滅するかもしれない。
実際、ジャズ界の女性ヴォーカリストって、有名どころほど年を経るごとにそういう歌い方(私うまいでしょ、的な)になっていき、好きになれないのだよなあ。
そういう気苦労をしなくていいところが、ヴォーカロイド最大の長所なのかな。
……な~んて考えは、「女は二次元に限る」とか言っているオタクそのものか……。

オタクじじい……はいはい、なんとでも呼んでくれや。

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