東京オリンピックの日程は、7月24日 – 8月9日。その直前にあたる今週の東京の天気がこれ。再来年もこんな感じだったら、たまらんね。
選手や観客、スタッフが熱射病などで死んだり重篤な健康被害を被った場合、開催国としての責任はどうなるのだろう。
ほんとに、なんでオリンピック招致なんかしたんだよ。どうせ僕たち貧乏人はテレビ観戦しかできないんだから、どこで開催されても関係ない。
お金はちゃんと使おうよ。既設の施設を利用するんじゃなかったのか。猪瀬知事はそう言って招致したと思ったが。招致が決まったら、後はダムが決壊するかのごとく、既設設備はじゃんじゃん壊し、税金をどしゃどしゃ注ぎ込んで箱もの建設。
↑これはドローン・ジャパンさんがYouTubeにUPしている空撮動画。ここはときどき通るので知っている。道路側から見ていてもすごい景色だが、川側から見るとさらにすごいな。
破れた窓から客室の備品、小型冷蔵庫や椅子、テーブルなどが全部そのままになっているのが見える。どうするんだろう、これ。
過去のオリンピック開催地で、
競技施設がことごとく廃墟になっているのはよく知られている。⇒ここなどで見ることができる。
廃墟にしないためには金をかけて手入れして維持し続けなければならないわけだが、利用されない施設に金を注ぎ込めばさらに財政は逼迫する。
人口が減る、高齢者が増えて介護や医療費がパンクすることが分かっているこの国が、なぜこれ以上、高度成長時代やバブル期の手法を続けるのか。理性が完全に壊れた人たちの政治としかいいようがない。
大災害時代に山を削る狂気
壊れた、といえば、廃墟になりそうな箱ものをじゃんじゃん作っている一方で、堤防が決壊して町が水浸しになり、山が崩れて家も人も埋まり、死者多数。
先日の真備町の堤防決壊について、嘉田由紀子・前滋賀県知事が政府に苦言を呈している。
水没危険区域ではとにかく堤防強化をして、水が溢れても破堤しないようにすることが不可欠です。堤防の決壊とオーバーフロー(越水)では被害が全然違います。オーバーフローをして堤防の反対側がえぐられて決壊するので、矢板やコンクリートで堤防を鎧のように補強しておけば、越水はしても決壊は防げる。
補強費用もダム建設に比べたら遥かに早く、安価で整備できます。だからダム建設よりも堤防補強を優先すべきと言い続けてきたのです。
ダム建設をめぐる政官業のトライアングル、自民党国会議員と国交官僚とゼネコンの癒着の産物です。ダム建設で儲かるゼネコン、献金を受ける自民党、そして巨額の予算を確保できる国交官僚の利害が一致、優先順位が逆転した河川政策が未だに続いているのです。「ダムさえできれば、住民は枕を高くして寝ていれる」という“ダム安全神話”を国交省はばらまいてきたのです。
その結果、限られた河川予算が有効に使われず、浸水危険区域の堤防補強が後回しになってしまった。今こそ、治水効果が限定的な不要不急のダム建設を凍結、緊急に進めるべき堤防補強予算を増やすべきです。
(「西日本の豪雨災害は、代々の自民党政権による人災」河川政策の専門家、嘉田由紀子・前滋賀県知事が指摘 ハーバービジネスオンライン 2018/07/17)
すべて鵜呑みにするわけではないが、そういう側面はあったのだろうと思う。税金の使い方が非合理的すぎるのだ。
必要かどうか、緊急かどうかではなく、予算がつきやすい巨大プロジェクトのほうが簡単に儲かる、という思考回路で物事が進んでいく。
まだ諦めていなかった横根高原メガソーラー計画
さらに信じられないのは、これだけ土砂災害や堤防決壊で被害が出ているのに、一時の金儲けのために山を壊すことを行政(特に国レベルの)が止められないどころか後押ししている現状だ。
とっくに諦めたと思っていた横根高原メガソーラー計画を、事業者はまだ諦めていないらしい。
「横根高原の自然を守る日光市民の会」の報告をまとめると、
- 鹿沼市は2016年11月、事業者に対して環境保全などを理由に「不適」と回答。すると事業者は、翌2017年3月、今度は日光市に対して、鹿沼市側の土地は諦めて「日光市側だけの建設計画」に切り替えたいと言ってきた。この計画変更によって、建設面積は当初の107ヘクタールから64ヘクタールに。
- 日光市は2017年12月議会で「市民運動もあり、市有地は貸し出しも譲渡もしない」と答弁。これを受け、2018年2月、事業者は「日光市の市有地を除く59ヘクタール、43.5メガワットの計画でいきたいと日光市に相談。
- 2018年3月、事業者が日光市に「自然公園普通地域内工作物新築行為届出書」を提出。しかし、書類上のミスがあり、一旦は突き返される。その後、5月9日に訂正した届け出を提出。日光市はそれを受理。
- 2018年11月、国が事業認可を出す。しかしその事業内容は、1つの土地を220区画に細かく分割し、その1つ1つがFIT法(電気事業者再生可能エネルギー電気調達特別措置法」における規制の緩い「50kw以下」になるようにするという「分割申請」。この手法は2014年4月以降は脱法行為とみなされ、国側は認可の差し戻しや是正命令を出せるはず。それなのに2018年11月に認可が下りているのはなぜなのか? 申請時期が2014年3月以前なら逃げ込めるということなのか?
- 国が認可してしまっているため、このままだと(環境影響評価)アセスメントの段階に進んでしまう。
……ということのようだ。
事業者である「CS栃木鹿沼合同会社」は、最近、事業体ごと権利を売買するという噂がある。法人情報変更履歴を見ても、
- 2015年10月5日 新規登録
- 2016年7月26日 【名称変更】旧: CSあいち・とよはし合同会社 → 新: CS栃木鹿沼合同会社
- 2017年6月8日 【所在地変更】旧: 東京都新宿区西新宿2丁目1番1号新宿三井ビル50階 → 新: 鹿児島県鹿屋市札元2丁目3675番地28
……と、なんとも不可解な変遷を経ている。
建て逃げ商法で日本各地を転々としているのではないかと勘ぐりたくなる。
設置場所が日光市側のみになっても、地下埋設の送電ケーブルは鹿沼市側を通すしかなく、また、オオタカ棲息地であることから環境アセス段階で抵抗することはできるかもしれないが、国が認可してしまっていること、その前に日光市がなんとしてでも突っぱねられなかったことが痛い。
日光市は「法に則って対処」というが、こういう事態になる前に市レベルでできる抵抗策、規制のための各種要綱などの法整備を固めておかなかった甘さを反省してほしい。「法に則って」という事なかれ主義だけでは住民の生活を守れない。
今からでもできることがあるはずだ。まずは「分割申請」を認めないという方向で動くべきかと思う。
国が認可しようが、市としては認めない。許認可権がある/ないという話以前に、
住民の命と生活を守るという立場から、絶対に認めるわけにはいかないという強い姿勢を見せることだ。
日光市職員は優しい人が多いから、こういうときに弱いのかなあ。でも、そんなこと言っていられない。命がかかっているんだから、命がけでやってほしい。
↑ここに出てくる「バイオマス発電用に、木が湿った梅雨時に皆伐して、売る」という商法は、木が湿っているときのほうが1本あたりの重量が増えるので、その分儲かる、ということらしい。
う~~ん、ちょっと信じられない話だ。
材木なら湿っていることはマイナス評価でしかないのだが、バイオマス燃料用チップが高値で取引きされ、それが単純に重量あたりで計算されるため、こういう馬鹿げたことがまかり通っているというのだ。
結果、材木に使うべき木材までチップにされてしまうため、材木の値段も上がっているという。
使えるものよりもゴミを高くかいますよ、原資は税金や公共料金だからご心配なく……という商法。本当だろうか? 本当だとしたら、まさに世も末だ。
2018年7月4日、山梨県議会は国に対して「太陽光発電装置の立地規制の強化と、事業終了時の設備廃棄の仕組みを求める意見書」を全会一致で可決した。
県内各地に設置された太陽光発電設備には、住民の生活や治山など安全面の配慮に欠けるケースもある。県のガイドラインは十分に機能しておらず、県議会として設置を認定する資源エネルギー庁など国に、「現行の関係法令では不十分」と規制強化を求める。
意見書は首相、衆参両院議長と、経済産業相など関係5閣僚に提出する。
意見書は急斜面の山林で森林を伐採して設置された発電設備について、「景観阻害、住環境悪化だけでなく、土砂災害の発生が非常に危惧される状況」と指摘した。
(略)法の不備を突いたり、法令を順守しない発電設備も少なくない現状を問題視し、法整備などによる規制の強化を求めた。
(略)意見書を主導した白壁賢一議長は、「兵庫や和歌山などで規制条例ができているが、『FIT法』が設置推進だから拘束力がない。山梨県の『太陽光発電導入ガイドライン』もしかりだ」と指摘する。
(略)県はガイドラインを策定した28年度以降、246の事業者を指導し、事業地の変更やパネル面積の縮小などを促した。だが、同課は「規制権限がない中で、これが限界だ」という。
(略)甲府市議会も先月15日、同様の趣旨の国への意見書を議決。他の市町村議会にも、9月議会に向けて追随の動きがあるという。
(産経新聞 太陽光発電、国に立地規制求める 山梨県議会が意見書 2018/07/04 ⇒同内容)
ようやく心ある地方議員らが動き始めたようだが、遅すぎる。
日光市も気合いを入れ直してほしい。横根高原でもし工事が始まるようなことがあれば、取り返しのつかない負の遺産ができあがるのだ。今が正念場だと思って、市長も議員も職員も身体を張ってほしい。
新市長の正体、手腕がはっきり見えてくる事例だな、これは。