書評と手紙と、あといろいろ

帰宅したら、ポストに神戸新聞や、友人からの長い手紙などがどさっと入っていた。

川内村で有機農業とパン焼きなどをやっていたDさんは佐渡に避難した。便箋11枚にびっしりと『裸のフクシマ』の感想と、3.11直後の村の様子などが書かれていた。
さっさと逃げるべきだったのに、情報が伝わってこなくて、余計な被曝をしてしまったことが非常に悔しいと、繰り返し書かれていた。

／／日付が13日か14日か15日かわからなくなりましたが、確か役場前で4μSv/h、3μSv/hという数字でした（役場に当日確認したら）
雪混じりの雨の朝、15日と思う。体育館にパンを届けたら、中から「開けないで！」と言われました。
ドア越しにパンを渡して、すぐ家に帰りました。
私たちは15日夜の自主避難の放送があっても、逃げる気はなかったですから、16日朝も同じようにパンを届けました。
朝9時頃、家に帰ったら、全村避難命令が放送されたというわけです。それからやっと準備に取りかかりました。
３マイクロ、４マイクロという数値がどういうものなのか、防塵マスクに防護服を着た警察の人に聞いても「ここは大丈夫です」と言われました。
夫婦二人だけならもっと前に避難準備をしたかもしれませんが、老人二人連れて移動なんてまず無理と判断しました。身体が飛ばされるような爆発ではないのだから、ここで少量の放射能を浴びても、子供を産むわけじゃないからと、どれだけのものが飛んできたのか、まったく意識が甘かったと思います。
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／／とにかく、3.11の翌日から（富岡からの避難民対応）応援要請があったので、いやだとも言えず、困っている人が富岡から来てしまっているのに無視はできずで、朝から夕方まで、毎日体育館を走り回っていたのです。体育館のテレビと家のテレビを細切れに見ているだけで情報もよく分からず、不安でした。
村では、体育館の他にも６つの施設に避難者がいましたが、どこに行って手伝うかは、役場２階でボランティア登録をしたときに、どこどこで人手が足りないので行ってくださいと指示されました。
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……こういった内容が便箋11枚にびっしり書き込まれている。これを『裸のフクシマ』執筆中に読んでいればずいぶん紹介できたのに、無念。
明日、郡山に行ってテレビメディア関係者の集まりで話をしてくるので、せめてそこで一部だけでも紹介してこようと思う。

川内村は、津波の被害はゼロ。地震の被害もほとんどなくて、１Ｆ30km圏ではもっとも被害が軽度だったエリアだろう。
しかし、富岡町からの避難住民受け入れで逃げられなくなった人がいて、しかも、富岡町長や東電社員、保安院の官僚などが「絶対に大丈夫」と避難を渋ったために逃げるのが遅れた。結果的には、郡山に避難しても、被曝の程度はむしろひどかったかもしれないが、それは結果論だ。
あの時期に国や県が周辺住民を見捨てたことは、否定しようがない。