2011/03/16 10時23分AM

5日経ってはっきり分かったこと

16日朝の時点で、書き留めておきたいこと
  1. 汚染はひどいけど、逆に言えば、こんなに汚染されても平気なものだということ。吸い込まないようにして粛々と救援作業をするしかない。扇情的な報道はやめて、風向き情報のこまめな発信だけ徹底せよ。風上になっている場所と時間帯をはっきりさせ、むしろ「今の時間、ここは比較的安全ですから動きましょう」という前向きな情報を出すべき。いたずらに数値を発表しているだけでは、一般人は混乱し、救援活動が不必要に邪魔される
  2. 原発事故は、直接の放射線汚染による被害もさることながら、世界の中での風評被害、それによる経済的損失が多大。そういうリスクも含めると、原発は非常に高くつく発電。被害の補償は全部電気料金や税金に跳ね返る。すでにCNNなど海外メディアは、津波災害での死者や取り残された被災者の窮状は一切報じず、すべて放射能汚染関連のニュースになっているという
  3. 首都圏にいる人は、買い出しパニック的自衛より、すぐ隣で物資がなく、通信が途絶えて見殺し状態になっている二次被災者への支援を考えるべき。陸路で簡単に物資が届けられる川内村など、直接被害のなかったエリアへなぜ物資が届かないのか。半径20kmだの30kmだのといった避難エリア指定はまったく無意味。風上10kmより風下100kmのほうが汚染数値は高くなるのだから。救援活動や住民の健康を阻害するだけだから、距離による避難指示はすぐにやめるべき。まずは移動できる人をすべて移動させ、残った病人や独居老人などのケアを専門家がやりやすくするように身軽にすること。過疎の村に平時以上の人(特に普通の生活者)がひしめいていることが、復旧を困難にさせている
  4. エリアごとに一斉停電させるという乱暴な「計画停電」(実際には停電になってみないと分からないのだから、少しも計画的ではない)よりも工場などの大型消費を見合わせるよう要請すべき。そのほうが事前に計画が立てられるし、不意の停電での二次災害も防げる。こういう馬鹿なお役所仕事ぶりを見ていても、電力会社がいかにダメか分かる。広報や運営、経営トップ陣がひどすぎる
  5. 「原発は止めろ」「いや、原発しかない」という両極論をぶつけ合っている段階ではない。今できることは、早急に全国の原発のバックアップ電源を二重三重四重に強化しておくこと。内陸側から強固な電源供給ルートを複数確保して、事故が起きたときに今回のような無様なことにならないよう、金を投入して緊急対策すること。浜岡など、特に危険性の高いものは止めた上で、安全に後処理できるよう集中すること。
  6. 原発の安全対策に金をかけよ。使いものにならない風力発電などに金をかけて遊んでいる暇はない。電力会社も経産省もきちんと本当のこと(新エネルギーと言われるものは、まだ技術が確立されていないし、現段階では資源を浪費するだけだということ)を言い、当面は火力、水力など、柔軟に発電能力を変えられるものがいかに重要かをPRすること。電力という基本の基本を早く立て直さないと、このまま世界の孤児になりかねない
  7. 少し先のことになるだろうが、今回のことを「未曾有の天災」で片づけるのではなく、大量生産大量消費社会が豊かな国の証という従来の発想から完全に脱皮し、少ないエネルギーで豊かに生きられる国をめざすべき。そのためには経済成長率などというただの数字が下がることを恐れていてはいけない。ガソリンがなければ高級車もただのお飾り。日本人は本来、こんなに貪欲な消費をする人たちではなかったはず。もっと精神的に豊かな生き方を知っていたはず。「粋な江戸人」の文化をもう一度めざそう

臨時リンク

文科省提供、周辺の空間線量率の測定結果

福島第一原発周辺の各種数値計測リポート(東京電力提供)

武田邦彦氏の緊急発信ページ

アメダスの風向き情報


2011/03/16 20.16

無力感

mixiを通じて、商工会長さんから悲痛なメッセージが途切れ途切れに入る。
村は通信不能なので、村の外に出て送信しているという。
その内容を受けて、知っている限りのメディアに情報発信した。
いち早く反応してくださったのが朝日新聞の一色清さん(報道ステーションの解説者)で、ご自身が編集長をしているWEB RONZAにさっき原稿を掲載してもらえた

海側の津波被災地では、病院の入院患者が餓死の危機というような切迫したリポートも出ている。
報告しているのはbeで連載していたとき担当者だったこともある記者。

あちこちでひどいことになっている。後ろめたい気持ちがどんどん強くなってくる。
何もなければ、というか、原発が馬鹿じゃなければ、今頃はアカガエルの産卵第一号を写真入りで書いていたと思う。どういうつもりなんだ、お偉方たちは。

放射能というやつは、タチが悪い。目に見えない恐怖。情報も、何を信じていいのか。
目の前の森が燃えているとか、そういう目に見える危機なら、ある程度頭が働いて、どこまで、何ができるか判断できそうに思うが、見えないものに対する恐怖は、冷静さを失わせる。
今、こうして書いている自分──無力感、罪悪感、虚無感が入り交じって、ひどく嫌な精神状態。



一つ前の日記へ一つ前へ    abukuma.us HOME    takuki.com HOME      次の日記へ次の日記へ





あのとき、さまざまな偶然が重ならなかったら今頃日本は本当に「終わっていた」ということを、的確に分かりやすく解説。 ご案内ページは⇒こちら
A5判・40ページ オンデマンド 中綴じ版 580円/平綴じ版 690円(税別、送料別)
製本の仕方を選んでご注文↓(内容は同じです。中綴じ版はホチキス留め製本です)
製本形態

新マリアの父親
「フクシマ」を予言した小説と言われる『マリアの父親』の改訂版が「紙の本」で甦る。試し読みは⇒こちらから
A5判・124ページ オンデマンド 980円(税別、送料別) 


  たくき よしみつの「本」 電子配信開始


  タヌパックスタジオ本館   ギターデュオKAMUNA   あぶくま狛犬札所60番巡り   日本に巨大風車はいらない 風力発電事業という詐欺と暴力