だいぶ時間が経ちました。
ご心配してくだっている常連の皆様、ありがとうございます。僕も助手さんも無事です。
シロとジョンが気がかりです。
福島第一原発1号機で最初の水素爆発が起き、その映像がテレビに映し出されたのが1時間半後。
あれでさすがに慌てて、避難準備に入りました。
午後6時過ぎに、バタバタと家を出て、ひたすら風上に走り、白河市のお寺をめざしました。
そこまでは一気に走り、お寺で休憩させてもらいながら次のルートを考えようという作戦。
小野町で一軒だけ小さなガソリンスタンドがあいていて、ガソリンを満タンにできたのが幸運その1。
ずっとつながらなかったケータイがそのときたまたまつながり、お寺にも「今から行っていいですか」と連絡を入れられたのが幸運その2。
お寺では、断水しているのに、井戸水をバケツで汲んで、お風呂を沸かして待っていてくださいました。
一晩泊めていただき、翌朝、朝ご飯までごちそうになってから出発。
国道294号をメインにして、なるべく海側を避け、裏道っぽいルートで東京へ。
途中、大子町などは信号機が全部切れていて、断水エリアはさらに広く、トイレが使えない状態。ガソリンスタンドは軒並みダメ。たまに空いていると長蛇の列。
ダイソーがあったので、電池とマスクとUSBのケータイ充電器を購入。
千葉県に入り、ようやく正常に。ファミレスで昼食。
その後も道が渋滞することはなく、首都高は嘘のように空いていて、午後3時台には川崎ICを下りていました。
その後、取手市に避難した友人と電話で話したら、同じ頃、幹線道路は大渋滞で、歩くより遅いような速度でしか走れなかったということですので、ルートのとり方がうまくいったのでしょう。
まずは手を洗い、服を着替え、車の外側を洗い流し、少し落ち着いたところで近所のスーパーに買い物に。
米やカップラーメンの棚は空っぽでしたが、他はそこそこ買えました。ダイソーでは単4以外の乾電池が売り切れ。
持ってきたLED照明が全部単4だったので、単4電池をしこたま買い込み……。
そんな感じで本日(15日)まで経過。
無事です。
慌てていたので、忘れ物がいろいろあるのですが、戻れないですね、もう。
やや平常心を失ったのは、爆発シーンが最初に民放で流れたのが、発生から1時間半も経っていたことと、その後の枝野の記者会見が、あまりにもとぼけていたこと。その発表前に、官邸でどこまで発表するか揉めていた様子だったことが大きいです。
事故の事象そのものよりも、正確な情報が伝わってこない、騙されてしまうという恐怖。「見えない恐怖」は、冷静な判断力を失わせるのだということがよく分かりました。
リアルタイムで情報を普通に流してくれていたら、もっと冷静に行動できたのにと思うと、腹が立ちます。
最初の爆発映像は、どうやら地元福島中央テレビの定点観測カメラらしいのですが、あまりにも衝撃的な映像なので、流すかどうか1時間半も迷っていたのでしょうか。この1時間半の隠蔽が、どれだけ付近住民にとって致命的なものだったか、メディアはもっと真剣に反省してほしいのです。
伝えることによるパニックより、伝えないことによるパニック(教えてもらえないと疑心暗鬼になるパニック)のほうがずっと怖いということを知ってほしいのです。
あの最初の衝撃的な映像が流れたときも、他の民放やNHKでは映像もなく、うだうだと古い情報を伝えていました。
地元テレビが、原発関連のニュースになると、わざとなのかどうなのか映像が切り替わってしまったのも怖かったです。仕方なく、BSに切り替えて原発情報を探っていました。
この情報統制、あるいは報道現場の勇気のなさはなんとかならんのでしょうか。
どう動けるのかは人によって違います。情報をすぐに伝えないことで、動ける人までもが冷静に動けなくなり、いたずらにパニックを引き起こしたり、避難所を溢れ返らせる結果になっています。
今回の災害は、要するに「地震」ではなく「大津波」災害です。未曾有の天災には間違いないですが、それをさらに悪化させ、救助活動や復旧活動を妨げただけでなく、とんでもない方向に被害を拡大させた東電の責任は計りしれません。その体質を作ってしまった保安院はもっと重罪でしょう。
民主党政府の頼りなさ、勘違いぶりもひどいものですが、原発事故の土台を作ったのは自民党政権です。利権政治が、企業の正常な経営姿勢、技術力、最低限度のモラルといったものを腐らせてしまったのです。
福島原発はすべて廃炉になるでしょうが、予想以上に放射能を漏れさせてしまったのは120%人災。冷却水が漏れていることは早い時点で明白なのに、言わない。隠しきれなくなってから「……の可能性も否定できない」などと言っている。
保安院の広報官は爆発後もにやけながら、要領を得ない話を偉そうに言っている。役に立たないのだから、メディアは東電社員と中立的立場の学者のみ登場させて、極力、正確で迅速な情報伝達を心がけてほしい。
保安院を通すと分かるものも分からなくなる。あれが情報錯綜フィルターの働きをしている。
今頼りになるのは、ネットの中のまともな情報>テレビのリアル映像>>>>>政府発表>>>>保安院。
なるべく広く、速く伝えたい事柄は、
阿武隈裏日記に随時更新しています。
↑上の図の出所が判明。オーストリア気象地球物理局(ZAMG)のWotawa博士だそうです。ドイツではなかったですね。オーストリアではすでに福島原発事故に対する危機管理チームが立ちあがっていて、いち早くこういうものを作成し、公開しているわけですね。
⇒ここでフラッシュによる動画で見られます。
大まかすぎて日本の国内ではあまり役に立たないですが、概ね海に流れていくということが分かるだけでも意味があるかなと。
先ほど(15日夜9時くらいから)、ニコニコ動画に生出演した武田邦彦氏の話を聴いていました。
彼は、いっそのこと原発の場所から色の付いた煙を流して、上空に分かりやすくラインを引いたらどうかと提言していましたが、なるほど、それはいいかも。
彼は、内閣府原子力委員会や内閣府原子力安全委員会のメンバーだったこともあり、今も「安全な原発は推進する」という立場だそうです。もともと原子力エネルギー開発の現場にいた人ですが、言っていることにはひとつひとつ頷ける部分が多いです。
人間としての好き嫌いとか、主義や考え方で一致できない部分もありますが、原子力行政を官僚主義に委ねるのは危険極まりないという主張には異論なし。
数時間前に起きた静岡の震度6強は、想定される東海沖地震とは無関係とのことらしい。しかし、たまらないなあ、こう続くと。
それより、川内村がひどい状態で、事実上見殺し状態になっている。
しっかりと風向き予測や放射線量のデータを細かく出して、今は比較的安全とか、動くなら今とか、今はじっと屋内に待避といった情報を出さないと、避難所の人たちは疲弊する。
20kmだの30kmだのの線引きは意味がない。
ケータイも電話もネットも不能だから、テレビとラジオだけが頼り。メディアもチャンネルを分けて細かく情報提供してほしい。