09/10/07

霞ヶ関へ


加藤登紀子さんの呼びかけで、全国の風力発電施設付近の住民が名を連ねた要望書を経産省に提出することになった。
増子輝彦副大臣に直接手渡しし、話を聞いてもらえるようにとの工作が難航し、決まったのは直前の5日。悩んだ末、前日になって、急遽、それを見届けることにした。
朝早く家を出て、磐越東線と新幹線を乗り継いで東京へ。
昼飯は東京駅に隣接する「オアゾ」の上の和食の店で。魚の昼定食1260円。消費税抜きで価格表示していたのはけしからんことだったが、味はまずまずで、集合時間までのつかの間を過ごすには最適の店だった。

増子輝彦副大臣と加藤登紀子さん
提出した要望書は⇒こちら

風力発電は、まともに発電していないし、こんなものを自然破壊や健康被害と引き替えに、補助金を無理矢理注ぎ込んで建設していけばこの国は破壊されてしまいますよ、ということなのだが、メディアはそれでは記事にしてくれない。
副大臣の理解力のなさ、不勉強ぶりは予想をはるかに超えるレベルで、しかも人の話を遮り、新聞・テレビに出尽くしている民主党の馬鹿げた政策をぶちあげるだけ。
それでも、集まった各地の被害者たちにとっては「これは画期的なこと」なのだという。
自公政権のときは、何度訴えても門前払いで、庁舎に入れてもらえることなどとうてい叶わなかったのだとか。
会ってくれるだけはるかにマシ、ということらしいが、金で動いていた自公政権と違って、間違った信念で動いていく民主党政権には、自公政権が日本を破壊していたときとは違う種類の怖さを感じる。
とにかく、虚脱感、絶望感に包まれた時間だった。


雑感1:経産省の建物内はなぜこんなに暑いのか。エネルギー使いすぎでしょ。
雑感2:政治家というのは、1日中誰かに会い、会合に出て、その間は黒塗りの車で移動するだけ。本当に勉強する時間がないのだなあということが実感できた。世の中で何が起きているのかも、人づてや新聞記事でしか分からないし、情報も、自分で疑問に思い、調べるということがない。誰かから聞く、聞かされるだけ。これでは一般人よりはるかに井の中の蛙になってしまうだろう。
雑感3:こういう場所にネクタイをしない男が何人か混じったグループが来ると、「反対する人たち」というレッテルを貼られ、最初から色眼鏡をかけて見られるようだ。
雑感4:政治家もそうだが、メディアも出世した上の人ほど問題の本質がまったく見えていない。先入観で動いている。現場の記者も自分で考えようとしていない。疑問を持ち、自分の頭で考える記者は上から危険視され、排除され、出世しない。そんな中で、記者たちも自分が生き延びるために、何を言ってはいけないかを学び、自然に自主規制するようになる。

東京にいると、風車が建設されている田舎の山並みを忘れてしまう。そんなこともあるのかな、日本のどこかではそんなことも起きているんだね、という感覚。数時間いるだけでそうなのだから、ましてや首都圏に住んでいれば、公害や自然破壊というのは、リアリティがなくなるのだろう。その代わり、作られた「地球温暖化の危機」という情報コントロールには反応し、意識の中でそれに少しでも反応することが免罪符になるかのような錯覚を覚える。
高級官僚や大企業経営者はそのへんを分かった上で、自分にとって、自社にとって、どうすれば得になるかという判断で動く。
政治家は、官僚がまとめた報告書やブリーフィングによって、自分たちがうまく踊らされていることに気がつかない。大臣だの先生だのと呼ばれ、黒塗りの高級車で送り迎えされる毎日の中で、どんどん判断力が落ちていき、取り巻きから言われたことをそのまま信じてしまうようになる。

発電量をまったくコントロールできない発電システムが役に立たないことくらい、小学生でもちょっと考えれば分かることだ。
地熱発電のように一定の発電量を常時維持できるシステムなら、どんなに発電量が少なくても役に立つ。その上に別の発電方式の電気を積み上げ、必要な量の電気を得ることができるからだ。
しかし、風力発電は地熱や原子力のように、一定量の発電を行えない。30分先の発電量予測さえたたない。30分先に定格出力(Max)の電気が得られるのか、風がやんで発電量ゼロなのか、予測がつかないのである。
火力や貯水式水力のように、発電量をコントロールすることもできない。発電したときは強制的に全量買い取りさせて、発電しなくなれば仕方がない、他でまかなってね、という代物。
そのことをいくら説明しても理解できない政治家、メディア上層部というのは、一体どういう頭の構造をしているのだろうか。
勉強はできた人たちばかりなのだから、そこまで理解力がないとは思えない。やはり、地位についてしまったことからの奢りがあるのだろう。
でなければ、十分に分かった上で、別の目的で耳を貸さない、事実に触れようとしない、としか思えない。
これは周囲でよく話題になる。
○○氏の場合は、一体、どっちなんだろうね? ……と。
分かっていない(理解力がない or 理解する、気がつくだけの時間がない)のか、分かっていても嘘をつきとおすことで別の目的を持っているのか。
高級官僚らは後者だろう。しかし、政治家を見ていると、明らかに前者のようだ。
「それ以前の問題じゃない? どうでもいいんだよ、そんなこと。自分が今の地位を守れれば、次の選挙でも当選できれば、それでいい。そのためにはどう動けばいいのかということしか頭にない。エネルギー問題とか環境問題とか、最初から本気で考えていないんだよ」
そう言う人がいた。
なるほど。それがいちばん当たっていそうだ。
それが実感できたということで、ある意味、有意義な体験ではあった。

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