09/10/04

とうとう最初の悪魔が姿を現した


滝根小白井風力発電の建設現場に、最初のタワーが建ったという話を聞いたので、小野のヨークベニマルに買い物に行く途中、確認してみた。
タワーどころか、もう羽根がついて、ナセル(発電機を内蔵したブレードの中心部分。扇風機でいえばモーター部分にあたるところ)をゆっくり回転させ、動作試験をしていた。
ユーラスエナジーのサイトを見ると、どうやら正式に「滝根小白井ウィンドファーム」という名称になったらしい。2000kw風車が23基。いわき市と田村市にまたがる山の尾根づたいに、ほぼ南北に渡って23基を建てている。
これは23基の風車建設位置と、そこから半径3kmを示した図。半径3kmというのは、渥美半島の1500kw風車1基の影響が3km離れた民家にまで及んでいるという聞き取り例を参考にしたもので、実際にどの程度の範囲に風車病の影響が出るのかはまったく分からない。
分かっているのは、すでに大量のコンクリートが流し込まれ、部材搬入路や土台工事のために、表土の緑が失われ、雨が降ると大量の泥水が夏井川などに流れ込んでいるということだ。
夏井川漁協では岩魚や山女が捕れなくなったことに対する補償を求めている
魚の次に被害が表面化するのは人間か、野生生物か。

数百メートルまで近づいて撮ってみた


どうも大きさの実感がわかない。真下に止まっているトラックを拡大してみる


クレーンが巨大すぎて、風車の高さも今イチピンとこない

風車の大きさは、むしろ離れたところから見たほうがよく分かる。滝根の中心部、セブンイレブンと生産者直売所「だんだん」がある交差点から見ると、遠くの山の上に異様なシルエットが飛び出しているのが分かる。風車までの距離は6km弱。これだけ離れたところからの風景の中でも、その大きさは威圧感がある。住民はみんなぎょっとしているだろう。
これが最初の1基で、これから23基、次々に建つのである。滝根から見た山並みの景観は、もうおしまいだ。

6km弱離れた滝根のセブンイレブンの交差点から見る


これが最初の一基


これからこの山は、巨大風車が林立した異様な風景に変わる

テレビでは連日、CO2温暖化という史上最悪・最凶の偽プロパガンダを垂れ流している。今日もニュースで、中部電力社員が小学校に「出前授業」して、「CO2が地球を危機に陥れている」という大嘘を「授業」として子供たちにすり込んでいることを、あたかもよきこと、望まれることとして報じている。
その中部電力の傘下にある風力発電事業者シーテックの課長が「風力発電は発電しなくてもよい。補助金がいただけるから、建設しさえすればいい」という言葉を行政担当者などに繰り返し言っているということは、すでに書いた。こちらを参照
風力発電事業者も、親会社である電力会社も、もちろん経産省などの官僚たちも、風力発電が役に立たないことくらい百も承知している。税金を投入できる事業として目をつけ、補助金が集められる今のうちに何が何でも建ててしまいたいと思っている。税金だけでは足らず、ビール会社やらテレビ局やら、民間企業や一般市民からも大金を集めて風力発電会社に流している。
これから阿武隈の、普通に人が住んでいる山村が、こうしたふざけたものに蝕まれていくのを見ていくのは、あまりにも悲しく、ストレスフルだ。
人間の愚かさ、悪魔性も、ここまできてしまったのかと思うと、いよいよ人類史も最後の段階に入ったのだなと、いやが上にも実感させられる。
2500kw風車の大きさ比較

上の図は、CEFが川内村に26基建てようとしているGE社製2500kw風車の大きさをイメージしやすくさせるために、福島県内の代表的な建造物と並べてみたものだ。
郡山ビッグアイという高層ビルは、目下、県内で最も高い人工建造物とされている。タワー85m、ブレード直径100mの2500kw風車の全高は135mある。(GEでは、さらに高い100mというタワーも用意している。これに取り付けると全高は150mにもなる)
こういうものを阿武隈山系の村を囲むように次々に建てていこうとしているのである。
気が狂っているとしか言いようがない。

買い物を済ませ、帰り道、中秋の名月の下、最初の悪魔は、隣の巨大クレーンの警告灯の赤いライトとともに、山の上に不気味な姿を浮かび上がらせていた。
風車ファンにとっては、こうした光景も美しいのだろうか。これから先、この地に住む住民が味わうストレスと健康不安、あるいは具体的な身体的精神的苦痛を想像することができない人たちが風車を賛美し、そんなことは切り捨てればいいと思う官僚や事業者たちが風車を建て続ける。
住民はどうすればいいのか。
自分たちが収めた税金で、このようなものを無理矢理作られ、苦しみを受ける。こんな理不尽が許されていいのか。

満月の下に浮かび上がる、最初の一基


ここには建てたばかりの立派なログハウス風の家がある。新居で家主はこれから毎日、眼前の山の上に風車が1基また1基と増えていくこの風景を見ながら、低周波健康被害の恐怖に耐えながら暮らすのだろうか。
距離は1kmもない。気の毒だが、風車が止まらない限り、最後は新居を捨てて移転ということになるのではないか。
二地域居住を推進している福島県は、この事態をどう考えるのだろう。

最初の一基が建った後、どのように風景が変わっていくかが、⇒ここを見るとよく分かる。
こうなっていくのを見ているしかないと思うと、なんともやるせない。

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