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のぼみ~日記 2022

2022/05/29

横根高原メガソーラー問題

今書いている本の中でもこの問題に触れるために改めて調べていたら、NHKでこういうのをやっているのを知った。

これを見て、またまた『3.11後を生きるきみたちへ』(岩波ジュニア新書)のあとがきに書いた一節を思い出した。

 例えば、あなたが大きなメディア(新聞社やテレビ局)の社員だとします。
 あなたは社会の不正を告発し、正義を伝えたいという理想を持ってその会社に就職しました。しかし、上司はあなたと考えが合わないだけでなく、事実を隠蔽しようとします。それがさらに上の人たちからの指示であり、意志でもあることが分かってきます。
 絶望したあなたには、「こんな会社は辞めてやる」と辞表を叩きつけることもできますし、その場はぐっと堪えてぎりぎりの妥協をしつつ、将来のチャンスを待つという選択もできます。こんなとき、どちらを選ぶのが正解かは、簡単に言えません。
 そこに所属して働けば働くほど世の中を悪い方向に向かわせると確信できれば、辞めて不正を告発する努力をすることが正しいかもしれません。でも、巨大メディアを辞めてひとりで伝えられる力は極めて弱いので、我慢してその職場に残り、他の同じ志を持った仲間と一緒にじわじわ闘っていくほうがずっと効果的かもしれません。
 そういうとき、問題から安易に逃げずに、命がけで考え、行動してほしいのです。
 そうした強い意志が集まれば、世の中は少しずつ変わっていくはずです。

しつこい?
でも、こういう大メディアの中に残っている「良心」たちの草の根的な粘り強さに、もっと期待したいのよね。特に今は。

これは、私の場合は出版社との関係性にも少し通じる。
売れそうなものしか出してもらえない。大きな出版社ほどそうなる。社員を抱えているから仕方ないことではある。
一方私は「今何が売れているか」を追いかけるなんて、もうこの歳になってやりたくないし、まったくやるつもりはない。
でも、書きたいものをWEBやタヌパックブックスで書いているだけでは、何も広がらない。
それでもいい。「一人に向かって」だ、と思うこともできるけれど、物書きとして本当にそれでいいのか? 

書くとなれば、そのへんのギリギリのすり合わせで書くことになるけれど、それも疲れる。
売れなくても、私はそんなに痛くないけど、売れないと一緒に仕事をしてくれた編集者にも迷惑がかかるし……。

……とか言いながら、新しい本を書いている。まさに「すり合わせ」作業の連続みたいな感じで疲れる。
依頼があるというだけで感謝なのだが。

体験談を最初のほうに織り込んでほしいというので、川内村時代のことをいろいろ思い出したり、『裸のフクシマ』『阿武隈梁山泊外伝』『3.11後のきみたちへ』を読み返したりしている。
かつてWEBに書いた「大塚愛伝説」も読み返してみた。
愛ちゃん、ある日、この土地に自転車に乗ってやってきた。
どういうわけで獏原人村にまで流れ着いたのかはまだ聞いてないが、とにかく、一目見るなり、この土地をえらく気に入ってしまった。
「私はここに住む」と宣言。
もちろん、当初、本気にする者はいなかった。みな、すぐにいなくなると思っていたが、愛ちゃんはひとりで原人村の敷地の一角に自分で掘っ立て小屋を建て、暮らし始めた。これが2000年のことである。
地主であるマサイ夫婦から出された条件は「土に還らない素材は使うな」ということだけ。もともと茅葺き屋根と土壁の家に憧れていた彼女は、言われるまでもなくそうするつもりだった。
穴を4つ掘り、柱を立てて、3畳大の掘っ立て小屋を1か月半かけて作った。

電気がないのだから、当然、夜はまっ暗である。テレビはもちろんのこと、ラジオの電波もほとんど届かない。携帯電話機も、いまだにどの会社の電話機も圏外である。
いちばん近い「電気のある人家」は、雨が降ると裂け目が無数にできるという通称「獏林道」を数キロ下っていったところにある「獏工房」という木工作家の家。そこまで下りていくと、ようやく電話と電気が使える(非常時には借りられる、という意味である)。

そんな土地に、愛ちゃんは住み着いてしまった。
しつこいようだが、電気も電話もない。もちろん水道もない。
掘っ立て小屋を作ってはみたものの、風呂もトイレもない。トイレは外に作ったが、風呂は無理。だから、冬以外は川で水浴びをしていた。
山の奥にまで迷い込んだ釣り人がそれを目撃したことがあった。
周りには人家などない。出るとしたらイノシシかタヌキくらいのもの。そんな超山奥の川で、うら若き乙女(言い方が古いな)がすっぽんぽんで水浴しているのである。
これは幻覚に違いない。あるいは化け物かもしれない。
釣り人は驚いて村に逃げ帰ったそうな。
これが「愛ちゃん羽衣伝説」である。 (2005年のAICより

面白いなあ。これ俺が書いたのか? すごいじゃん……とか思う半ボケ爺のあたし。

『裸のフクシマ』『阿武隈梁山泊外伝』も、今読むと、なかなかやめられなくなって、他人の文章を読んでいるような気分にもなる。この人、いろいろ経験してきたんだなあ……なんてね。
でも、こうした経験は、今感じている不安に比べたら全然大したことないとも思う。
世界はどうなっていくのか。来年の今頃、自分は無事なのだろうか、という不安。

2022/06/01

本の執筆は最後の数ページだけ残して、そこまで書いた分(新書で240ページ分くらい)を何度も読み返しながら校正している。
最後の数ページはどう着地すべきか……これがなかなか悩ましいのよね。それこそ「すり合わせ」が。

パソコンに向かっていると、耳許で蚊が飛ぶ音がした。ああ、夏が来たのか。
去年の今頃は猛暑だったと記憶しているのだが、今年は寒い。池の水温が上がらず、孵化したばかりのオタマが全部消えてしまった。
オタマにとっては水質より水温なのだと改めて知る。難しいね。
田圃でもオタマが泳いでいるのをまったく見ない。
アカガエルのオタマは水温が高くなるとダメだし、逆に、アオガエル類のオタマは水温が低いと育たない。ほんと、難しい。

散歩の途中、近所のおっさんたちと立ち話をするのだが、最近、彼らがみんな「マイルド・ヤンキー」という言葉を聞いたことがないということを知ってビックリした。流行語になったのにねえ。
で、こうこうこういう人たちのことですよ、と説明すると「それって、このへんの人のことじゃない?」なんて言う。
も~う~。だから~、そうなんだってば~~。このへんも含めて、北関東はマイルド・ヤンキー文化圏なのよ。
そういう環境で育つのには正直抵抗があるけれど、歳取ってから移住してくるにはいい環境だな。都会の「意識高い系」住民社会よりずっとストレスが溜まらないように思う。

東京が一瞬で壊滅するような大異変が起きても、北関東はしぶとく生き残るんじゃないだろうか。

2022/06/03

土砂降りからの脱稿

天気予報で、降るぞ降るぞと脅しているときでも、なぜかこのへんだけは大したことがないのだが、今日は逆にピンポイントで狙われた感じ。

なぜかドンピシャで狙い撃ちされてる↑


こんな感じよ


雨で外に出られないから、落ち着いて最後の数ページに取り組んだ。
で、脱稿……でいいかな。脱肛じゃないよ。脱稿。
予定より1週間くらい早いかもしれないけど、このへんで一度切り上げましょ。

あとはトラブルなく出てくれ、と祈るばかり。作業はまだいろいろ残ってるけどね。
予定通りなら8月刊。7月からAmazonとかでは先行予約できるらしいので、予約してね。

雨上がり。バルコニーから見下ろすヤマボウシ。今年は花が少ない。


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