2021/12/05
川越氷川神社境内社 柿本人麻呂神社の狛犬
今日は冬至も近く、4時には暗くなるし、帯状疱疹と腰痛で気合いもイマイチなので、ピンポイントで狛犬をチェックしたらササッと帰宅する予定である。
喜多院脇の駐車場を出たときはすでに14時を回っていた。そこから慣れない渋滞路を10分ほど走ると川越日枝神社。駐車場が分かりづらく(本来の駐車場に入る路地の前に誘導係のような人が立っていて「今はコインパーキングになったから」と入れてもらえない。近くのコインパーキング(400円~)に入れたが、門の外まではみ出すほどの人出で、なんじゃこりゃ?状態。いくら日曜日とはいえ、もう12月だし、神社の境内から人があふれ出るほどの混雑って……
しかも若い人たちばかり。成人式の会場のような雰囲気。そういう集団の中に、七五三の親子連れも混じっていて、ほんとになんなんだ。
後で調べたら、縁結びの「パワースポット」というPRをしているようで、隣の氷川会館では大々的に結婚式パックのようなものもやっていて、WEBサイトにはピアノのイントロから始まり女性Vocalが熱唱するBGMにのせたなんだかこゆ~いPR動画もでかでかと埋め込まれている。
それで若い子たちが多かったのか? それにしてもこんなに集まるものかね。なんか地方都市独特?のパワーを感じる……あ、そういう意味での「パワースポット」なのかな。

どうなってるんだ? というような人混み

で、お目当てはこれ。境内社の一つ柿本人麻呂神社の狛犬


摂社の前とはいえ、有名神社にはじめ狛犬がいるのは珍しい。

阿像(といっても口はほぼ閉じている)は左前脚で玉(いびつ~)をおさえている。

歯が見えていることで「阿」ということにしているのだろうか。

阿像の頭にある凹みは大きくえぐれて額まで割れている。


越前狛犬的な造形ともいえるのだが、鬣のおかっぱは彫りが浅くて摩耗し、確認できないほど。そのせいで毛先のカールが襟飾りのような特徴的な模様を作りだしている。




吽像の頭にも大きな凹みがある。角が取れたのだろうか。しかし、阿像にも大きな凹みがあるし、越前狛犬は角がないはずだから、もともとはなかったのを、後に灯火用の油を入れるとか蝋燭の燭台代わりにするためにえぐった可能性もある。


よく見ると吽像の口からも歯が見えているので、阿吽で開口、閉口を意識していないようにも思える。


脚が可愛い。


享保3(1718)年9月……かな。

尾は完全に越前狛犬の形に近い。

これはもう越前狛犬といっていいのかもしれない。越前で造られたものをここまで運んできたのか、それとも越前狛犬を真似てこの地で彫ったのか、そのへんが分からないが、はじめ狛犬というよりは「大きな越前狛犬」ということかな。石は笏谷石よりは硬い感じもするし、関東の内陸部に越前狛犬があることは珍しいと思うので、越前狛犬をコピーした狛犬なのかもしれない。気になることがいっぱいある狛犬だ。
境内はものすごい人混みなのに、誰もこの狛犬には興味を示さないようで、しっかり写真が撮れたのはよかった。
ちなみに柿本人麻呂神社を祀る神社というのは、島根県益田市の高津柿本神社や兵庫県明石市の柿本神社が有名らしい。柿本人麻呂そのものが謎の多い人物のようだが、なぜこの地に柿本人麻呂神社があるのか……直系の子孫である綾部氏が戦国時代に川越に移住してきたことからだというのだが……。
そういえば柿本神社は「人丸さん」と呼ばれ、人丸神社というのもあちこちにある。我が家のある手岡という地区の村社も人丸神社だなあ。柿本人麻呂との縁はなさそうだけれど……。