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のぼみ~日記 2021

2021/10/26

チェーンソーみたいな……


今日のお散歩で見た。チェーンソーアートというのはあるけど、チェーンソーみたいな自然のアート?は珍しいね。



ニュース番組は腹が立つので、こういうのばかり見ている。


柏木玲子とエレクトーン


エレクトーンは最強の楽器か? というコメントを見つけて、この人のことを思い出した。
フェイスブックで「柏木玲子」を検索すると、なんと7人もまったく同じ字の人が出てくる。最後は「柏木玲子ジャズピアノ教室」というのまであって、ご本人だと思いきや、どうも別人のようだ。そんなことってある?

FMの番組か何かでたまたま「プレリュード」を聴いて興味を持ち、アルバムを買ったのはいつだったか。
引っぱり出して見たら、1980年発売だから40年以上前か。
この7拍子イントロは、多くのキーボーディストがコピーしたんじゃないかな。YouTubeを見ると、若い子も挑戦してる。
彼女は僕よりちょっとおねえさんだったはずだから、もう70代かな。懐かしい。
ちなみにアルバムに収録された『プレリュード』は、演奏はなんか体操競技とかを見ているようで、今はそれほどカッコいいとは思わない。ドラムやギターも余裕がなくて、音を外さないようにするのに必死みたいな感じが伝わってくる。でもまあ、そういうアクロバティックなところが、完コピしてみようと思う若い子たちを惹きつけるのかな。

柏木玲子という人は、考えてみればずいぶん変な人じゃないかなあ。
『プレリュード』を聴いたときは、なんてカッコいい音楽なんだと思ったけど、結局、エレクトーンという変態的な楽器の呪縛から抜け出せなかったんじゃないかと思う。あそこまで弾けたら、普通はピアノでの表現力を広げる方向に気持ちが向かいそうなものだけど、結構「エレクトーン」を引きずっていたんじゃないだろうか。エレクトーンに育てられた人というか……。

ジャズやポップス系のコンサートをする際、マルチなキーボードを持ち込んでいろんな音を出してサポートするより、ステージに設置されたピアノ(ある程度調律が済んでいれば、アップライトでもいい)1台でなんでもやる、というほうがお洒落だしカッコいいし、聴衆も感動する。それができるのがプロのキーボーディスト。
↑2011年夏の上智大学でのKAMUNAコンサート。あっちゃんに「キーボード持ち込むでしょ」と言ったら「ピアノがあるならそれで十分ですよ。生のピアノは楽器として万能ですから」と言われた。カッコいいなあ、あっちゃん。

作曲家としても、エレクトーンを使う意味が分からない。特にレコーディングで、現在のサンプリング音源モデルの楽器を使う意味はまったくない。サンプリング音源を使う録音なら、入力機はなんでもいいのだから。
↑入力は軟弱デジピのヤマハピアジェーロでやったけど、録音はもちろんピアジェーロの内蔵音源ではなく、ソフト音源。これはLogicにオマケで付いているスタインウェイのグランドピアノの音源だったと思う。

柏木玲子はヤマハ音楽教室が生みだしたファントムというかゴブリンというかミュータントというかハイブリッドというか……特殊な、そして一時的な「音楽変異種」かもしれない。
昔(60年代~80年代くらい?)は、幼児音楽教育というとヤマハ音楽教室と鈴木メソードがあって、どちらも当初はメロディ音感をつけさせる教育をしていたように思う。
だけど、両者共にだんだん初期の理念が形骸化し、ヤマハはエレクトーン教室が中心になっていき、バイエルをやらせる町のピアノ教室と2大潮流を作り、鈴木メソードはただのバイオリン教室みたいになっていってしまった気がする。

ヤマハ音楽教室的な教育から正常進化した天才型の代表は樋口康雄かなあ。
彼の実家にはスタインウェイの高級グランドピアノがあった。象牙と黒檀の鍵盤で、すごく軽い。乾いた音で、それが何十畳もある部屋に響く……大野雄二も大野屋の社長の息子だし、ああ、こういう家に生まれないと、音楽はできないのかしらと、ため息が出たものだ。

雪が谷の豪邸に、買ったばかりの13万円のギャランで乗りつけたときの体験は、今思えばとても貴重なものだった。
樋口さんに「13万円です。安いでしょ」と言ったら、無表情で「……安いよ」と一言。
そのとき一緒にいたてっちゃんはもっと貧乏で、ギブソンのSGベースをお茶の水の須賀楽器で月賦で買ったばかり。
ベースアンプを持っていないというと「そんなんじゃダメだよ」と樋口さんに怒られてた。
でも、金ないのはしょうがないもんなあ……と、隣にいて、気の毒に思ったものだ。

今は楽器も安くなった。ギターもベースも、安い韓国製や中国製でもしっかりしている。録音機材もデジタル革命のおかげで驚くほど安くなり、機材によるプロとアマの質の差がなくなった。実に羨ましい。
でも一方で、音楽とは何か、いいメロディとはどういうものか、音楽の感動を作っている構造的なものは……ということを考える機会も、創造的な音感を脳の中に熟成させる機会もないままにプロやセミプロになっていく人たちが増えた気がする。
片や特定の楽器の演奏家として養成された人たち、片や、コンピュータの打ち込みでゲーム感覚で音楽を作るマニピュレーター、音効さんみたいな人たちという、両極端に分かれてしまい、いびつな構造ができあがってしまったような……。

……なんて言うと、またまたジジイの戯言だと言われるけどね。

ともあれ、音楽って、結局はとても孤独なものだというのが、一つの悟りかなあ。
他人に理解してほしい、共感してほしい、感動してほしいとか思うところから悲劇が始まる。
それを十分分かった上で、軟弱音楽宿なんてやり始めて、慣れないピアノを弾いてたら、根を詰めすぎたせいか、帯状疱疹になってしまった。30年近く前に一度やっているので2度目。2度、3度とやるのは高齢者だそうだ。特に辛い生活をしているわけでもないのに、そんなに免疫力が落ちているのか……と、ガックリきた。
軟弱な我が肉体が恨めしい。
これもLogicに付属しているスタインウェイのピアノ音源で録音。入力はピアジェーロ。


           


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