「ヘ池」のモリアオのオタマは、ほぼ全員が後ろ脚生えた。まだ元気。でも棲みついているヒバカリが今日もいて、こいつ、どのくらいオタマ食っているんだろう。
オタマって、精子に似ているから、自分の命を投影してしまう。オタマのときから、個性がある。俺も、精子のときから個性があったんだろうな。
でも、その個性は肉体の個性にすぎないのかもしれず、もっと深いところでの個性は物質ではないのかもしれない。
往復1時間以上かけて地面の上に産みつけられたモリアオの卵塊を回収して、そのうちの何個かは無精卵で、なんとか孵化したオタマを池に放しても、水との相性なのか、育たずに消えてしまうのがいっぱいいて、今年は「ヘ池」が優秀で、ほぼ全員が元気に育っているんだけど、ヒバカリが同居して、好きなときに御食事で……。ヒバカリにとっては天国みたいな場所なんだろう。
カエルになれるのは本当に奇跡のような確率。そこからちゃんと育って、数年後に子孫を残せるカエルはほぼいないくらいの確率。
元気いっぱいのオタマが生き延びるとは限らない。神経質なオタマのほうが生き延びるのかもしれない。
そういうのを見ていると、自分の命と重ね合わせてしまう。
今、ここで生きているという奇跡。どれだけの確率なのか、と。
ヒバカリも、そういう奇跡的な確率で今生きているわけで、まあ、放っておこう。オタマ全部食っちゃうわけじゃないし。
自分の次の命がヒバカリかもしれないし。
後ろ脚生えたオタマども
2020/08/05
オオキベリアオゴミムシの幼虫
カエルになって池から出ていった後のカエルをまったく見かけないのはなぜなのか?
塀で囲われた庭のどこにもいない。あんなにワサワサ泳いでいたオタマが、脚が生えたと思ったら、ある日まったくいなくなるのだ。
で、今日、ようやく池から上陸したシュレらしきカエルを一匹だけ見つけて写真に撮った。
小さいし、あたしの目も悪いので、部屋に戻って写真をトリミングして拡大するまで、アマガエルなのかシュレなのかよく分からなかった。
首の横に筋がない。シュレだ。
シュレはほんとに緑一色で美しい。
で、それはいいのだが、そばに小さな虫がいる。虫がこんなそばにいるなら食べちゃえばいいのに、何をボ~ッとしているんだろうと思っていたら……。
こいつは
オオキベリアオゴミムシという昆虫の幼虫で、アマガエルにとっては悪魔のような吸血鬼だと分かった。
小さなカエルに食らいついて体液を吸い尽くすのだとか。食らいついたら離さないらしい。
今頃、あの美しいシュレの子は、力尽きていることだろう。合掌。
せっかくここまで育ったのに……。
これはすぐそばにいたアマガエル。運命の別れ道か……。
しかしまあ、オオキベリアオゴミムシの成虫は美しい羽だし、地域によっては準絶滅危惧種に指定されているようだから、みんな生きるのに必死ってことだな。
ネットでオオキベリアオゴミムシを検索すると、世の中には、アマガエルを餌にして与えてゴミムシの幼虫が育つのを楽しみにしている人もいるんだと知った。
まあ、どっちの視点で見るかの違いだけで、あたしも似たようなものか。生き餌っていうのは感覚的にダメだけど、お麩や市販のメダカや金魚用の乾燥餌なんかはあげているからなあ。
そこから先は自然界のシステムに任せるしかない。
ヒバカリも、地域によっては激減しているみたいだし。
全員モリアオ。これだけいる。全員が後ろ脚生えている。前脚生えているやつもいる。前脚が生えたら、あっという間に池から消えてしまう不思議。