12日に回収してきた、地面の上に産みつけられたモリアオの卵塊がまだ孵化しない。
湿度はうまく保たれていると思うし、腐ってもいない。でも、10日以上経っても、中からジュワ~っと液体が滲出してくる感じがない。
もしかして無精卵なのか?
今年はもういいか……と思いつつ、3度目のモリアオチェックに向かった。
重い腰を上げさせたきっかけは、ネットで「モリアオガエル 無精卵」というキーワード検索をしていて、どこかのサイトに馬鹿げた実験報告が出ていたのを読んだからだ。
孵化したモリアオのオタマを4グループに分けて、1つはすぐに乾燥させて重さを量り、残り3グループをシャーレに入れて、1つには茹でたレタスを与え、1つには何も与えず、1つには卵塊の泡を与えて、しばらくしてからすべてのグループのオタマを乾燥させて重さを量ったところ、餌を与えなかったグループは孵化した直後のオタマと重さが変わらず、卵塊の欠片と茹でたレタスを与えたグループは体重が増えていた……とかいう、ふざけた実験報告。
腹が立つやら情けないやらで、気持ちが落ち込んだ。バカか? そんなの、あたりまえではないか。
あたりまえのことを確認するために平気で「乾燥させて重さを量る」とかやっている神経に目眩がした。
それを読んだことで腹が立ち、またまた20kmの道のりを経てモリアオチェックに向かったのだった。
一昨年、田圃に枝をせり出していた木が根元から伐られて、産み場所を失った第1スポットでは、いくつかの卵塊が田圃の脇に点在していて、そのうちの一つは雨で溶けていて、孵化したオタマが地面の上でもがいていた。
傷つけないように注意しながら下の泥ごと手で掬い、田圃の中に入れた。何匹かは生き延びるだろうか。
一つは田圃の中の稲に絡みつけるようにして産みつけられていた↑
苦し紛れというか……リスキーではあるが、地面の上に産むよりはずっとマシだろう。ただ、大雨が降れば簡単に下に溶け落ちてしまい、卵塊の中でオタマになる前に消滅してしまいそうだ。

田圃の真ん中に産みつけられたモリアオガエルの卵塊
いつも卵を産みつけていた木が伐られ、こうした苦し紛れ産卵になって今年は3回目になる。去年も一昨年も、この田圃で無事にオタマとして育ち、カエルに変態できた個体は限りなくゼロだと思う。それでもまだこうして産みに来ているのだから、親ガエル?たちは少なくとも6歳以上の熟年カエルばかりのはずだ。
来年はどうなっていることか……。
前回、「真っ最中」を観察できた第2スポットには行かずに家に戻った。
モリアオガエルは日本全国の規模で見れば、まだまだ絶滅危惧というところまではいかないだろうが、日光市内では確実に絶滅危惧に近づいている。
毎年産んでいた場所で、何年か前からまったく見なくなったという地元の人たちの証言もある。
寂しい。