　2019/08/16　サウスフォレストと「うたんふ」

食材がすっかりなくなったので、買い物に。ランチはどうしようか。まだお盆期間ということで休んでいる店が多そうだな。とりあえず山本鉄筋に行ってみるか……。
途中、カルフールを横目で見たら、やっぱり灯りがついてない。「えいま」も。まあ、そうだろなあ。
で、山本鉄筋の社員食堂も閉まっていた。やっぱりなあ……。
しょうがないから、さがみやで買い物して、弁当買って家で食うか……と引き返したら、道沿いに「OPEN」の看板が目に入った。
前から気にはなっていたが、ジビエ料理を看板にしているらしいので、助手さんが拒絶反応を起こしていて、入ることがなかったお店。
オーナーシェフが海外の大使館公邸料理人の経歴を持っているという情報も知っていた。
それがかえって入るのを躊躇わせていた感もある。
しかし、外に出ている看板のメニューには普通に親子丼とかハンバーグという文字も見えたので、「え～？」という助手席の声を無視してクルマのステアリングを左に切って入って行った。
「ハンバーグとか親子丼とか書いてあるよ。普通のメニューもあるんだよ」と説得。なんか、「何もしないから。休憩するだけだから……」と言って、駐車場に無理矢理車を突っ込んでいく感じに近かったかな。いにしへの感覚というか……。

周囲のお店がことごとく閉まっているので混んでいるかと思いきや、駐車場はガラガラで、中に入ったら、カウンター席に男性が一人だけ。
奥へ案内されたが、掘りごたつ式ではない座卓が並んでいたので、カウンターにしますと言って、戻った。
ちなみに奥の部屋には１つだけテーブル席があって、そこには数人の客（家族連れ？）がいた。

さて、メニューは？
見回してもメニューがない。待っていると、奥さんらしき女性がメニューを持ってきてくれた。
これがよく分からないメニューで、「ししまる」とか「いただきます」とか書いてあるのだが、そのときはなんか洒落でつけただけかと思っていた。
あとから分かったのだが（なんたる失態）、要するに、

●那須郡中川町の猪の肉を使用したメニュー

　カレーライス　800円
　ハンバーグステーキ　1500円
　すね肉のシチュー　2000円

●足尾町の神山漁業が開発したブランド鱒「頂鱒（いただきます）」を使用したメニュー

　ネギトロわさび丼　1000円
　アボカド丼　1500円
　ミックス丼　1800円

●鹿沼の栃木軍鶏を使用したメニュー

生卵かけご飯　500円
手羽先のグリーンカレー　1000円
親子丼　1500円

……というラインアップがランチのメイン。かなりザックリした価格設定。
生卵かけご飯以外はランチタイムはコーヒーとデザートがつく。

しかし、注文する際、相当時間をかけたのに、基本的にご当地食材の「猪・鱒・軍鶏」から選ぶ、というコンセプトが理解できていなくて、ちゃんと分かったのは帰宅してからふぃふぁ山荘さんやここあさんのサイトを見て確認してからだった。

で、散々悩んだ末に、あたしはハンバーグ、助手さんはグリーンカレーを注文。

「えいま」もそうだったけど、厨房はマスター一人だから、混んでいなくても結構待つ。余裕のあるときに、その時間も楽しむつもりで入るお店なのだな。

事前に予習をして訪れるお客さんは分かっているのだろうが、今回のようにふらっと入った客は、メニューの内容を理解しないまま注文することが多いのではないだろうか。「高い」という客もいるそうだが、確かに材料費のことを知らないままだと「ハンバーグや丼物が1500円は高い」という感覚になるのも理解できる。今日はスペシャルなランチを楽しむのだ～、という気持ちで訪れないと、客も存分に楽しめないかもしれない。
しかし、オーナーシェフが腕をふるう猪肉のカレーが800円（税込）でサラダ、デザート、珈琲がつくのであれば、単純に考えてもものすごくお安い。近隣でボリューム満点・内容豪華・格安定食の山本鉄筋の社員食堂がついに値上げしたことを考えれば、ここサウスフォレストでゆったりと猪肉のカレーを800円（税込）で食べられるのは、ものすごいことだ。かつての「千とせ」のワンコインランチ（厚労省認定の「現代の名工」が作る500円の鶏天丼）に匹敵する。

紅鱒の丼物が気になるので、チャンスがあればまた……。
ただ、ここも税込価格なので、消費税が10％になった後はどうなるのか……。相当苦しいことになるのではと心配してしまう。
消費税が上がるのを機に、夫婦だけでやっている安くておいしい飲食店が続々と廃業に追い込まれるのではないかと、今から憂鬱になる。大手のチェーン店だけになっていく日本の外食文化……。寂しいねえ。

ところで、サウスフォレストのオーナーシェフは「うたんふ」（宇都宮短期大学附属高校）の卒業生で、イギリスやスイスなどの日本大使館公邸料理人を歴任しながら世界中を回ったという経歴の持ち主だが、うたんふといえば、さいもんくんが通っている。
さいもんママ曰く「宇短附調理科出身は大使館に就職する人がけっこういますね」。
え？　「調理科」？？
高校なのにそういうのがあるの？　と思って、うたんふのサイトを見たら、

普通科
生活教養科(女子)
情報商業科
調理科
音楽科

……とある。
で、この「調理科」というのは、

『調理師免許(国家資格)』を卒業と同時に、無試験で取得し一流シェフをめざす

というのを売りにしているのだった。
調理師免許を卒業と同時に無試験で取得？　高校でそこまで即戦力養成を意識した学科を作れるのか、と、ビックリしてしまった。
普通は、高校を卒業してから、改めて看護師とか看護助手とか歯科衛生士とか理容師、美容師とか、専門職の資格を得るために専門学校などに入って数年……その学費が払えなくて泣く泣く諦める子も多いのに、高校卒業と同時に調理師免許がもらえるなんて、いいじゃないの。
卒業生の就職先には、国内外の一流ホテル、レストランなどの名前がズラッと並んでいて、さらには「在外日本大使館・領事館(フランス・イギリス・スコットランド・オーストラリア･カナダ・ベルギー・ポルトガル・スイス・香港・ドミニカ共和国など)」という記述もある。

学費が気になって調べてみたら、
授業料（月額） 24,000円・教育充実費（月額） 6,000円・施設費（月額） 10,000円で、入学時には入学金130,000円と施設充実費140,000円。
初年度は13万＋14万＋4万×12＝75万円、2年次以降は48万円かぁ。もちろんこの他にいろいろかかるんだろうけれど。
学校の設備はものすごく立派だし、卒業と同時に調理師免許がもらえるというのなら、これは結構お安いのでは？
調理師専門学校に1年以上通って卒業し、都道府県に調理師免許を申請するという一般的な取得方法の場合、大体費用は百数十万円らしいので、それを考えればこの「高校の調理科卒業資格で調理師免許取得」は非常に魅力があるように思う。
普通高校に3年間通うだけでも当然学費はかかるし、そこを卒業してから調理し専門学校に通うと、なんだかんだでプラス200万円と1年間が追加されると考えれば、中学卒業時にしっかり自分の進路を決めておくことで、この金と時間を節約できる。就職先にしても、学校が今まで培ってきたパイプがあるだろうし、

……なるほどなあ。

猪肉のハンバーグがきっかけで、いろいろと勉強になった1日だった。

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