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のぼみ~日記2019

2019/03/27

棚倉・浅川を再調査(8)春日神社 (石川郡浅川町小貫)


カーナビに従って小貫の春日神社到着。昔は「藤衣神社」といっていた神社。氏子は50戸あまり。
ここは初めて訪れると思う。GoogleマップにUPされている写真に石仏群と狛犬があったので、一応寄ってみようということでリストに入れていた。
狛犬は地元の石工さんが彫った素朴なものだったが、それより興味を惹いたのは境内の隅にズラッと並んだ石仏群。
「淡島講ですね」と神宮寺の高久住職。
女人講のひとつらしいが、如意輪観音の石仏を道端などにひっそり建てている女人講とは少し性格が違う感じだ。
調べてみると、和歌山市加太の淡嶋神社を「本社」とする信仰で、末から昭和にかけて主に婦人病などに効験あらたかとされた民間信仰らしい。
加太の淡嶋神社には1998年3月に訪れている。人形がいっぱいあって一朱不気味な雰囲気の神社だった。
↑1998年3月24日に訪れたときの和歌山市加太の淡島神社の光景


江戸時代、淡島願人と称するほとんど乞食のようなスタイルの宗教者が、淡島神の人形を祀った厨子を背負って各地を回ったという。信仰の証として、女性たちは淡島願人に自分が使っている櫛や衣類の一部、さらには髪の毛などを渡し、願人はそれらを背負った神棚にくくりつけて歩いていたというから、異様な雰囲気だったろう。今ならたちまちスマホで写真を撮られてネットに上げられるかもしれない。
福島でも白河周辺は特に「淡島さま」の信仰が広まった地域で、現代でも針供養、雛祭りの日、3のつく日などには「淡島さま」にお参りをし、講の当番の家で夕食会のような集まりを開いているという。ママ友会のようなものだろうか。

この「淡島さま」の起源には諸説あるが、Wikiによれば、
『古事記』において国産みの際、イザナギ(伊耶那岐命)とイザナミ(伊耶那美命)との間に生まれた最初の神。しかし、子作りの際に女神であるイザナミから先に男神のイザナギに声をかけた事が原因で不具の子に生まれたため、葦の舟に入れられオノゴロ島から流されてしまう。次に生まれたアハシマと共に、二神の子の数には入れないと記されている。棄てられた理由について『古事記』ではイザナギ・イザナミ二神の言葉として「わが生める子良くあらず」とあるのみで、どういった子であったかは不明。後世の解釈では、水蛭子とあることから水蛭のように手足が異形であったのではないかという推測を生んだ。あるいは、胞状奇胎と呼ばれる形を成さない胎児のことではないかとする医学者もある。
Wiki「ヒルコ」より)

とか、
淡島神は天照大神の6番目の御子神で住吉明神に嫁いだが、婦人病にかかったことにより粟島に流されてしまったため、そこで婦人病の人々を救うという誓いを立てたという。これは和歌山市加太と対岸の友ヶ島が住吉神社の社領であったことから後世に附会されたものと考えられる。(Wiki 「淡島神」より)

とか、
16歳の3月3日に歯を染めて住吉明神に嫁いだが(その際に紀伊国の紀の岬から摂津国の住吉浦まで干潟と化したのでそこを通行したという)、その後婦人病を患ったために夫婦の仲に障りを来す事を嘆き、形代を作ってその障りを除いたといい、加太の淡嶋神社に女子から人形が奉納されるのはそれに縁る。 (Wiki 「淡島神」より)

などなど、おどろおどろしい伝承がいろいろ出てくる。

「淡島さま」の石仏は、淡島講のメンバーが講から抜けるときに奉納するのだという。
ズラッと並んだ「淡島さま」の像は、左に行くにしたがって時代が新しくなる。一体だけ、奉納年月日が読み取れない古いものがあり、その像だけがポツンと離れておかれていたのが印象的だった。

ズラッと並んだ「淡島さま」の石像。左に行くほど新しい。


↑一体一体、奉納者の名前(すべて女性名)と奉納年月日が刻まれている。これが右端で、いちばん古いのは明治33(1900)年。

↑これが左端で、いちばん新しい。

↑これだけが奉納年月日が読めず、一体だけ離れて置かれていた↓ なんだか寂しそうだ。



狛犬。ここまで平業の怖い顔の狛犬ばかり見てきたので、ちょっと可愛い顔にほっとしたり……。



奉納者名だと思うが大正12(1923年)年から昭和3(1928)年までの5年間の日付が記されている。


石工は地元の八木沼茂治。



籠彫りの珠も、平業のものと比べるとだいぶ違う。



現在の社殿。













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