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のぼみ~日記2019

2019/02/20


霧の夜


外は霧。窓の外はこんな景色。
寝る前にまた外を見たら、霧はまだ出ていて、一緒に満月も出ていた。霧に覆われても、満月の光で外の景色が見える。

コナラの大木は颱風で倒れたりすると怖いけれど、この木のおかげで窓からの景色がいろいろ楽しめている。

「要介護5」も、いろいろ


大腿骨頸部骨折の後、要介護3から5になった親父。手術そのものは非常にうまくいって、経過良好なのだが、譫妄、問題行動がどんどんエスカレートしていて、もはや手がつけられない状態になってしまった。
様子を見に行くと、日増しに顔つきが変わっている。
今までは調子がよいときは短時間であっても会話ができたのだが、今はもう、何を言っているのかさっぱり分からない。僕のことは認識できているが、その瞬間瞬間で、現実と夢の中の世界が混ざり合ったようなやりとりになっている。
空を飛ぶ、「向こうに行く」、知らない人の名前(どうも陸軍時代の友達とからしい)などを断片的に口にして、24時間絶えず動こうとする。
夜中に大声を出したり壁を叩いたりするのもエスカレートしているという。

必死に何かと戦っているようだ。「楽にして」「何も怖くないから」「す~~っと寝ようよ」など、声をかけるが、もはやこちらの言う言葉は耳に入らず、もちろん理解もしていない。
一方的に意味不明のことを言い続け、時折、大きな声を出して不快感を訴える。

寝ないので、身体は少しずつ、確実に弱ってきている。頬はこけ、体重も落ちている。それでも「戦い」をやめない。
眠るのが怖いのだろうか。「寝ます」と言って目を閉じても、すぐに起きて動き出す。
薬も効かない。今、これ以上強い薬を出すのは怖いと医師はいう。

本当にどうすればいいのか、施設スタッフも疲労困憊しているのが分かる。

同じ要介護5でも、単純に寝たきりで全介助、というのであれば、介護はある意味楽なのだろうが、食事や下の世話の全介助の他に異常行動や譫妄への対応、危険行動の見張りも加わるのだから、スタッフの疲労、ストレスは想像を絶する。
申し訳なくて逃げ出したくなるが、そういうわけにはいかない。




それにしても、90代でも頭がしっかりしている人と、60代、70代でもおかしくなってしまう人の差はどこから来るのだろう。遺伝子に書き込まれているのか? 自分がおかしくなり始めたとき、どれくらい自覚できるのだろうか。自覚できたとして、どう対処すればいいのか? 何もしないでいれば、どんどん自分で自分の始末ができなくなる。
死を考えるとき、肉体の苦痛を避けたいということは誰もが思うが、その対応ができる人は極めて少ない。ましてや、肉体の苦痛を感じないまま、精神が壊れていくことに対応しようとする人は少ないし、手立ても見つからないだろう。
……怖い……。

去年の今頃はこんなだったんだなあ↑



さらに3年前の今頃はこうだった。
レオの最後と親父の今が、どうしても重なる。レオも、最後の最後まで「死と戦う」犬だった。辛いわ。





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