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のぼみ~日記2018


2018/11/14

ローランド エアロフォンという楽器



さて、昨日ラパン用の補修材などと一緒に届いたいちばん大きな箱には、エアロフォンGOというローランドのウィンドシンセサイザーが入っている。
エアロフォン(ローランド AE-10)が出た当初は、動画を見たり、商品紹介サイトを見た後に「これは自分には合わない」と判断し、購入はしなかった。


形も悪いし、EWIよりいいとは到底思えない。動画を見ても、音に魅力を感じなかった。

しかし、その後、小さくしたエアロフォンGO(AE-05)というのが出てきて、これはちょっと興味をそそられた。
デイホームでの慰問演奏みたいな経験をした後だったことが大きい。ああいう場所でEWIを余興のように演奏するとき、アンプとスピーカーは持っていけないので、以前に買ってあったAG-03Mという中国製の小さな電池式アンプを持っていき、腰にぶら下げてケーブル接続していたのだが、軽くて小さいとはいえ、楽器の他にもう1つ必要というのがちょっとスマートじゃない。
エアロフォンGOであれば、本体のみで音が出るし、EWIよりずっと小さくて軽い。コンサートでは使えないとしても、慰問演奏くらいならこっちのほうがスマートなんじゃないか、と考えたのだ。
でも、そのためだけに5万円超はどうなのか……と、これもずっと見送っていた。
が、このところストレスフルなことが続いたので、どうせ長くない人生なんだから……と、例の悪い癖が出て、酔っ払った勢いで、夜、寝る前にポチしてしまった。

で、さっそく試奏。


まあ、↑こんな感じなのだが、文章でまとめると……



音色切り替え(1)、移調(2)、ボリューム(3)が全部ダイヤルつまみになっているのはシンプルでいい。EWIやAE-10では液晶パネルを見ながらタッチキーでアップダウンさせないといけないのだが、こっちのほうがずっと分かりやすいし、間違えない。



しかし、ベンドキー↑がとても押しにくい。人間工学的に煮詰められていないというか、ただここにボタンをつけましたというだけ。せめてもう少し右側に寄せてつけてほしかった。慣れればいいだけなのだろうが、親指を横に動かさずに済むEWIのほうがはるかに楽に操作できる。



本体横のこのスイッチをONにすると、バイトセンサー(リード部分を圧迫すると反応する)が有効化されて音程が変わるのだが、噛むのをやめて元に戻しても音が戻らない。これはアプリで感度調整するとうまくいくという話もあるが、そもそもこのリード(振動するわけではないので、疑似リードとでもいうか……)を噛むというのがどうにも馴染めない。ヤマハのWX(とっくの昔に製造終了)のときも、これは馴染めなかった。EWIのシリコンゴムの吹き口のほうがずっと微妙な反応をする。



さらにはこのオクターブキーがとても使いづらい。しかも上1オクターブ、下1オクターブしかないので、7オクターブ出るEWIに比べると、演奏していて限界点に達するのが早すぎてつまらない。



運指はSAX風、リコーダー風、ウィンドシンセサイザー風(おそらくEWIのこと?)の3つから選べるが、基本はみんな同じで、サイドキーなどを有効にするかどうかという違いにすぎなかった。ウィンドシンセサイザー風を選んだが、例えばこのポジションでEWIはC#の音が出るが(移調しない場合)、エアロフォンでは出なかった。これはアプリでカスタマイズできるので、設定してみたらうまくいった。10個までしかキーカスタマイズできないようだが、まあ10個追加すればEWIと同じにはなるのかな。しかし、サイドキーの位置や形状が慣れなくて、最初はどうしてもミスタッチする。エアロフォンになれると、今度はEWIの演奏でミスタッチしてしまい、両方をパッと持ち替えて確実に演奏するのはかなり難しそう。


演奏での最大の違和感は音階キー操作で、EWIに慣れている僕が触るとカチャカチャと大きな音がする。
でもこれは、サックス奏者にはむしろ歓迎されているようだ。サックスなどの管楽器奏者は、キーの上に指を置いたまま緩めるだけで穴が空くので、「置き指」があたりまえになっている。その感覚でEWIを吹くと、EWIのキーはタッチセンサーで完全に指を離さないと音が変わらないから、とても苦労するという。
僕はサックスなどの管楽器の経験がまったくなくて、小学校のときに吹いたリコーダーが最後のまま40年以上経過してEWIを始めたから、指を完全に離すことはあまり違和感がなかった。リコーダーでは「置き指」はありえないから。
サックス奏者が「置き指」でエアロフォンを吹けば、僕が吹いているときのようにカチャカチャという音はあまりしないのだろう。
サックス奏者たちは「エアロフォンはでかい音を家で出せないので、これで練習するためのもの」というとらえ方をしているようだ。なるほど、それなら分かる。でも、ローランドの売り方、宣伝の仕方を見ていると、サックス奏者向けの練習器というよりも、この手の楽器に馴染みのない人たちを広く取り込みたい、という意図が感じられる。気軽に楽しめる新しい楽器ですよ、と。
その意味では、あまりにも敷居が高いと思う。価格も、お遊び感覚で買えるようなものではないし。

それと、本体内蔵スピーカーからの音のしょぼさに萎えてしまった。まさかこんなにショボいとは……。
昔、CASIOのデジタルホーンDH-500という楽器をしばらく楽しんでいたことがある。

デジタルホーンは数年で製造を終了してしまった。DH-500はリバーブも内蔵されていて、そこそこの音がした。デジタルホーン自体、「気軽に吹ける新しい吹奏楽器」として魅力的だったし、プロ志向?のDH-500は、今の技術で音源を入れ替えれば十分に使える楽器だったと思う。
その経験があるから、現代の楽器であるエアロフォンは、DH-500の進化版のような楽器に仕上がっているのだろうと想像したのだ。
だから、当然、そのまま吹いてもデジタルホーンよりはいい音がするんじゃないかと期待していたのだが、DH-500に比べてもはるかにショボい音だったのでガックリきたわけだ。こんなんで「スピーカー内蔵」「単体で音が出る」とかいっていいのか? ローランドは玩具メーカーではないだろうに……と。
音程キーのカチャカチャという感触にしても、デジタルホーンやWXのときはこれほど気にはならなかったような気がする(今ではどちらも手元にないので確認できないのだが……)

ともあれ、外部のアンプとスピーカーにつながなければまともな音がしないというのでは、「サックスの代用」という考えがまったくない僕にとってはEWIに対しての長所はない。
外部スピーカーにつないだときの音も、EWIのほうがはるかに表情豊かだし、音域も広いのだから。
演奏しているときの満足感というか、達成感がまるで違う。多分、これはエアロフォンを練習してもっとずっとうまく吹けるようになったとしても変わらないだろう。指先から伝わってくる音との一体感、リニアに反応してくれる満足感のようなものが根本的に違うのだ。

3000円で買える電池式ミニアンプ。これを腰につけてEWIをつなげば、エアロフォンよりずっとまともな音が出せる



さらには、こんなのを持っていたことを忘れていた。これも電池式アンプ内蔵スピーカー。このタイプの中国製もいっぱい出ていて、3000円くらいで買える。これだと上のAG-03Mよりずっといい音がする。



これはAmazonで購入で13000円だが……



似たようなこれだと3000円Amazonで購入
エアロフォンGOはBluetooth接続でiOSやアンドロイドアプリとつながり、そのアプリから音を出せるというのも売り。
これも実際に試してみた。まあまあ使えるレベル。iPhoneなどだと反応が遅れたり微妙に音切れしたりする感じで、スムーズさがないが、高性能のiPadあたりだともっといけるかもしれない。その端末のヘッドフォン出力に電池式スピーカーをつなげば、楽器本体もスピーカーも電源なしでOKになる。

それと、キーカスタマイズが自由にできるというのがいい。EWIではこれはできないから。

でも、やはり演奏のスムーズさを重視するとEWIだなあ。
サックス経験者なら、「初めてのEWI」より「初めてのエアロフォン」のほうがずっとスムーズに取り組めるのだろう。もしかすると、サックスやフルート未経験で、小学校時代のリコーダー体験もすっかり薄れている人でも、タッチキーのEWIよりもエアロフォンのボタン方式のほうが馴染みやすいかもしれない。
だから、EWIがいいかエアロフォンがいいかは人による。

結局、僕にはやっぱりEWIが合っているということが再確認できたのだった。このところずっとEWIにも触っていないので、改めてEWI愛を復活させるきっかけになればいい。
ということで、エアロフォンはさっそくヤフオクへ出すことに……。

☆浮気はいけないね

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