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のぼみ~日記2017たくき よしみつの日記2017


2017/12/03

日光のクリスマス2017


日光のクリスマス2017

阿武隈時代、生まれて初めて(そして生涯で一度だけの)「建物新築」をして、6坪のスタジオ「タヌパック阿武隈」を作った。頑張って作ったのだから、これからは毎年、最低でも年に1曲は新曲を作り続けようと、クリスマスのたびに新しいクリスマス音楽を作ろうと決めた。
そして生まれたのが『阿武隈のクリスマス 2007』。
ところが、翌年のクリスマスはなんとなく過ぎてしまい、毎年クリスマスに新曲を作るという目標は早くもついえてしまった。
裏の山に巨大風力発電施設を建設という、生活の根底からひっくり返される話も出て、落ち着いて創作活動ができなくなったことも大きかった。その計画を阻止するためにあちこち走り回り、そのストレスで心臓発作が起きて茨城の病院にまで通って……という日々になってしまった。
それでも、タヌパック阿武隈では、もっと前から「やれずにいる宿題」になっていた『たくき よしみつ SONGBOOK 1』を完成させ、CDにもした。
『奇跡の星』を作り、この阿武隈の山奥からもう一度世界に向けて音楽を……と夢想していたときに原発が爆発した。

日光に移ってきて、ようやく落ち着いて、クリスマスのたびに1曲作るという、かつて立てた課題を思い出して書いたのが『日光のクリスマス2016』。
『阿武隈のクリスマス』に比べると、メロディがちょっと……と思ったが、とにかく仕上げること、残すことを心がけた。
今年また途切れてしまうと、もう二度とクリスマスシリーズは生まれないと思い、今回は時間的に余裕を持って着手。

でも、メロディが出てこない。ひらめかない。

80点じゃなくてもいい、60点でもいい。赤点ぎりぎりでいいから最後まで仕上げようと決めて、今回はコードから入った。
2007と2016はメロディ先行だったので、メロディが浮かばずにコードから入るというのは、老化が進んでいる証拠かなあ。

今年、音楽に関してひとつ気持ちが変わったのは、音楽はやはり「音」なんじゃないか、ということ。
何を馬鹿なことを、あたりまえじゃないかと言われそうだが、僕にとって音楽はメロディという「言語」であり、音はそれを表現するための手段だ、という考えが強かった。
聴力も落ちてきて、その意固地さはますます強まるかと思いきや、むしろ「やっぱり音そのものに心が動かされる、ってのが原点なのかも」と思い始めた。
それで、歳を取ってキレがなくなった分、経験と味で勝負……次はEWIと打ち込みで『デジタルワビサビ2』をまとめようと決めて、『日光のクリスマス2017』も、そのアルバムに収めることを前提に作り始めていた。

『デジタルワビサビ2』のサブタイトルは My mouse played it にしようと思い、マウスで演奏するピアノやベース、ドラムで、どこまで感動できるか、という挑戦をしようと思っていた。
しかし、これって一流のピアニストやベーシストから見れば、馬鹿の極致であることは間違いない。ピアニストがサラッと一瞬で奏でる音を、ピアノが弾けない僕は何日もかけてマウスでシコシコ打ち込み、結果、ピアニストの一瞬の演奏よりはるかに劣る音……なんの意味があるのか……と、投げ出したくなる。

そんな虚しい?努力を続けているうちに、ふと、この曲、最後のほうで人声コーラスを薄く入れたら効果があるかな、と思いついた。Jane Jane や A Soalin' のことを思い出したことに引っ張られたようだ。

歌詞も、あまり意味がなくてもいい。My Favorite Things みたいに単語を並べただけみたいなシンプルなやつ。
クリスマスだから、ということで、クリスマスキャロルもいくつか参考にならないかと聴いてみた。

で、英単語を並べているうちに、最初に作っていたメロディがその言葉に引っ張られて、少しずつ変化していき、声に出して歌っているうちに、あれ? なんか、これだけでもいいんじゃないかな~、と思い始めたのだった。

それで、試しに、今までやったのは一旦置いておいて、最後の部分だけ、仮歌みたいに入れているうちに、ちゃんと仕上げようと思い……歌として独立したショートバージョンが先にできた次第。

助手さん曰く、
「英語の発音はちゃんと native speaker にチェックしてもらった?」
いや、それは……チェックしてもらったところで、違和感は消えないだろうから、いいの。諦めてる。
それより英語の歌詞としておかしいところがないかをチェックしてほしかったので、フェイスブックに事前に歌詞をのせて、英語を喋っている人たちにチェックしてもらおうとしたのだけど、コメントは1つもつかなかったので諦めて発進。

ギターのアルペジオとEWIでの弦も入れるつもりだったけど、なんか、余計かなという気がしてきて、敢えて打ち込みのピアノ、ベース、かすかなドラムスだけにした。

助手さん曰く、
「ロングバージョンは?」
あたし「……気力が……」
助手さん「歌は途中で薄く入れるだけだったんじゃないの?」
あたし「長いインストはみんな聴いてくれないから……」
助手さん「え~、信じられな~~い」

まあ、今日からまた最初の構想に戻って、EWIを入れてみますかね。

ついでに、過去のクリスマスシリーズもどうぞ↓
『阿武隈のクリスマス』


『日光のクリスマス 2016』





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『So Far Away たくき よしみつSONGBOOK1』

原発が爆発する前の2010年、阿武隈山中のスタジオにこもって制作した自選ベスト曲アルバム
「メロディの価値」を信じての選曲。20代のときの幻のデビュー曲から阿武隈時代に書いた曲まで、全13曲
iPhone、iPadのかたはiTunesストアから、アマゾンmoraでも試聴可能


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