
2017/11/12
宇都宮に彫刻屋台2台を見に行く(5)白沢甲部屋台(その3)

その他、高覧下には飛龍(水龍?)、鯱、玄武、亀など。もともとは白木彫刻だったのかもしれないが、すでに過去に彩色されているのが剥がれてしまっているので、ここはやはり、腕とセンスのある彩色職人さんの手で補修したほうが見栄えはグンとよくなるだろう。

欄間の鶴と栗鼠
鳥いろいろ







高覧下の龍、鯱など

この草などを見ると、最初から彩色彫刻のつもりで彫ったのかもしれない

玄武かな

耳のないやつは普通の亀かな

これは普通の亀だね。かわいい


これは鯱だと思うが、玉眼が取れてしまって盲目。目を入れてあげたい


↑こうなっていたはず

高覧下の龍

高覧下の龍は翼があるので飛龍とか水龍とか、そっち系だろう


鋭い爪
……とまあ、なかなかお目にかかれない彫刻屋台2基を見ることができた。展示にご苦労されたかたがたには心から感謝したい。
今回は奇しくも、修復が必要と思われる屋台と修復直後でピカピカの屋台だったので、彩色修復についていろいろ考えさせられた。
仁良塚屋台の修復は非常にていねいに行われていて感心させられたが、あまりに色が鮮やか(明るい色)なので、時代を経た彫刻ばかり見ていると、違和感も感じる。最初の色はどんなものだったのか……当時の絵の具の色味は分かるはずもないから、再現するといっても極めて難しいだろう。
当時の人たちには動物園や遊園地などの娯楽はなかったから、人工的な色や砂糖の甘みに対する欲求が強かったかもしれない。一方で、現代人にはディズニーランドも高精細カラーテレビもあるから、派手な色の組み合わせを軽蔑する傾向があるだろう。100円ショップに並ぶプラスチック製品を見て、この色づかいはなんとかならんのか、と腹が立つ。
彫刻屋台は、幕府の奢侈禁止令が出てからは彩色を諦めて白木造りとなり、その分、どんどん彫刻の技術、精細さを競うようになっていった。その結果、東照宮陽明門に代表される派手な飾り物彫刻よりも深みを感じさせる世界が生まれた、と思う。
彫刻屋台は貴族や武家社会ではなく、庶民が生んだものだという認識に立てば、当時の庶民が派手な色に心を躍らせたことも想像に難くない。そうした要求を知りながらも、センスのある彫刻師たちは、自分の美学を追求しただろう。
……そんなことを考えていくと、修復作業の難しさを改めて感じる。
それにしても、毎回思うのだが、提灯やらもろもろの札やらはつけないで展示してほしい。特に今回は、展示の後にそのまま夜の曳き回しをするわけではないだろうから、提灯がつけられていたのは本当に残念だった。提灯などがついていなければ、この白沢甲部屋台の特徴である十二支の彫刻なども、もっときれいに記録できたのだが……。

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