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のぼみ~日記2017たくき よしみつの日記2017


2017/05/20

幻の沼を探しに



うちからいちばん近いモリアオガエル棲息地は小来川なのか? 2012年から毎年この時期になると、モリアオガエルが産卵しそうな場所を探して走り回っている。遠目に卵塊らしきものが見えて、鳴き声らしきものも聞こえた堰堤があるが、確認まではいっていない。もっと近い場所に隠れた沼があったりしないものか……。
Googleマップを何度も見ては出かけるのだが、人工的な用水池だったり、地図にはあっても実際にはなかったりで、今まで空振りばかりだった。

例えば↑この場所。地図には沼らしきものが描かれているが、近くまで行ってもそんなものはありそうにない。でも、諦めきれずに、今日は森の中にまで入ってみようと決意して、涼風号MarkIIで出かけた。

そこに向かう途中、「ウサギが原」がつぶされていたのを見てショックを受けた。その話は前回に書いた通り



今日はここから山の中にまで入ってみる



人工的な杉林。地図にあるような沼は見つからない



やっぱりないなあ……。諦めて引き返した



入り口付近に落ちていた長靴。他にも煙草の空き箱とか空き缶などがあちこちに散らばっていたので、人がときどき入っていることは間違いない。先日も測量をしているらしい人たちを見た


もう一か所をめざす


ここはどうか。そばを何度も通っているが、こんな大きな沼は見えない……




もう一か所、こちらはGoogleマップの航空写真で見ても、しっかり沼らしきものが写っている↑ しかし、地図に出ている真ん中の折れ曲がった道は実際に行ってみると存在しない。かつてはあったのかもしれないが、今は消えている。そういう道がGoogleマップにはしょっちゅう出てくる。
地図に出ている場所と航空写真に写っている沼らしきものの場所が少しずれているので、今回は慎重に探してみた。
すると……。

北側の道から、林の合間に一瞬沼らしきものが見える場所があった



水に間違いない。しかし、どうやってたどり着けるのか……



その先の林道を入ってみたが、どんどん遠くなるばかり



元に戻って、林の切れ目の藪に踏み入って、上から見下ろせる場所まで到達。しかし、ここから降りるのはかなり厳しい



そこで来た道を戻り、上から見て見当をつけたあたりから半ば藪漕ぎのような形で田んぼの横を抜けていくと……なんとか沼の縁までたどり着けた



しかし、人が歩いた跡もなく、長靴を履いているわけでもないので、沼の周囲を巡るのは諦めた



正面には立派なフジが。枝を張りだしている木々もあるから、こんな沼ならモリアオが産卵してもおかしくない
ここまで来て、なんだかデジャ・ヴュに襲われた。もしかしてここ、前にも一度来たことがあるのでは? 田んぼの横を抜けて、その先に金網があって、小さな沢をまたいで……という記憶がなんとなくある。ここだったのか? いよいよボケがひどくなっているのか……怖いな。
まあ、神社と同じで、似たような場所で似たようなことをしてきたということはいくらでもあるからなあ。
さて、この沼にはモリアオはいるのだろうか。陽当たりは悪くないし、水は流れ込んでいるがちょろちょろだから水温もそんなに低くないはず。魚やイモリなどの天敵はいそうだが、これだけの広さなら十分オタマジャクシが生き残れそう。
6月になったらまた来てみようと思う。

この嫌な景色を見ながら帰る



ふと目にとまった家の軒下



こりゃまた立派だねえ。あまり崩れていないから去年くらいの巣かな



刺されると痛い、といえばこれ。家の中でみ~が弄んでいたのを助手さんが発見して絶叫してた



家の前の草むらに放したが、また向かってきたので慌てて捕まえ直し、離れた場所へ……



ある場所で毎年産卵していたモリアオガエルがその産卵場所を失うと、新たな産卵場所を求めて移動する。川内村にいたとき、毎年注意深く観察していたが、工事などで水たまりを埋められたモリアオが移動して、今まで産んでいなかった別の沼を見つけたり、沼がない場合、ある年から田んぼの縁など、木が生えていない場所にも産むようになったりする。
中にはいい場所が見つからないまま国道の脇の木の枝に産んだりするのも出てくる。

モリアオガエルの♀が卵を産めるまで成熟するには少なくとも3年はかかるらしい。川内村での経験では、もう少し長く、4~5年かかるかもしれない。でも、♂は若いうちから♀を求めてさかんに鳴くから、今までモリアオがいなかった場所で孵化した兄弟たちは、翌年や翌翌年から♂がその気になって鳴いていても、同時期にカエルになった♀はまだ卵を産めるほど成熟していないから、カップル成立には至らない。
自分が生まれ育った池や沼が3年後にはもう消えていたとすれば、成熟した♀は産卵場所を見つけられずさまようことになるだろうし、一足先に大人になっている♂も、♀と出逢える確率が下がる。カエルにとっては何年も生き抜くだけでも大変なことだから、ある程度まとまった数がいないと種は続かない。
そんなこんなで、モリアオの地域絶滅は簡単に起きると考えられる。

土地のじいさんの話では、以前はこのへんでもモリアオガエルの卵は見られたというのだから、この幻沼にまだ生き延びていてもおかしくはなさそうだが……。
   


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