2016/05/24
小休止(こやすど)のうか

農家の縁側で蕎麦を食う……というコンセプトの蕎麦屋
連日いい天気。
屋根工事が終わり、足場が撤去されるのはまだ先、工事疲れも少し取れたので、こんな日はどこかに「遠足」……と、起きた直後に思いついて、実行。
さて、どこへ行くか……川俣方面ってまだ行ってなかったかな。
小百(こびゃく)を通って北上するルートを考えてみる。となると、ランチはまだ行ったことのない「小休止のうか」で蕎麦にしようかな。今日は暑いから蕎麦もうまいだろう。
……ということで行ってみた。
正月に日光のはじめちゃんめぐりをしていた数日間、通り過ぎたことがあるので大体の場所は分かっていた。でも、いざ行ってみると、進入路の狭さと店の場所の分かりにくさで面食らった。
看板や案内板はいくつも出ているのだが、肝心の店(建物)が見つからない。奥へ進んで関係ない農家の軒先に突き当たり、道が狭くてUターンするのも大変な苦労をし……「臨時駐車場」というところに車を停めて降りて、さらに場所が分からず……。ようやく見つけたのは、ほんとに普通の農家だった。
「農家」そのものという佇まいは想像していたとおりなのだが、店の雰囲気はまったく想像していたのとは違った。
農家の熟年夫婦がのんびりやっているのかと思いきや、全然違う。都会のプロデュース会社が関わっているのかと思うほど、すべてがきっちり計算し尽くされているのだ。
つまり、「農家で蕎麦を食う」というコンセプトを演出する空間作り。
それがいいとか悪いとかではなく、想像とあまりに違っていたのでびっくりした。

こんな感じのところを入っていく……

クロネコヤマトのおじさんの後をついていくと……あった

時間はお昼ちょっと前。給料日前の火曜日。ガラガラかと思いきや、すでに客がそこそこ入っていた。すべて観光客風。
縁側の席につき、メニューを見ると……わ、高級店なんだ~。
どうしましょ。もりそば×2と山菜天麩羅……と思ったが、それなら1つは「小休止すぺしゃる」というのにしてみるかと思いついて、そのように注文。

縁側からは土蔵が見える。この土蔵の正体は後ほど……

ししおどし。数分に1回カコーンと鳴る。カコーンの直後に少しだけ水が入り、その後はずっとほとんど入らない。で、数分後にまたカコーン。調整が凝っている

納屋は基本的にディスプレイ用途だと思う。よく見ると「待合室」という表示もあるので、混雑時はここで順番待ちするのだろう

雑然と置かれているようで、実は計算されていたりして……

こういうのも嫌みのないうまい演出だなあ、と感心してしまう

10分ほどで出てきた。今日は混んでいなくてラッキー。小休止すぺしゃる。湯葉刺し、麦とろ飯、山菜天麩羅がついて1850円

こちらはもりそば。850円。器が凝っている。こういうところも徹底している

蕎麦はおいしかった

天麩羅もサクッと揚がっている

入り口に置かれた桶にはサワガニ。天麩羅になる運命か

まるでテレビCMの絵みたい。混雑時はビールを飲みながら待つ人もいるのかな

土蔵は氷屋さんだった。今日は営業していなかった

付近の風景。都会からの観光客には、まさに田舎に来た~、という雰囲気が満喫できそう

田んぼの中にはオタマもいっぱい泳いでいた。あまり農薬も使っていないのだろう。いい環境
蕎麦屋は実に難しい。いろいろな店に入ってきたが、味がよければ繁盛するというわけでもないようだ。
天候や季節によっても味が変わるし、組合で運営している店などは日によって蕎麦を打つ人、茹でる人が変わるので当たり外れもある。
もちろん、人によって好きな蕎麦も違うから、「うまい蕎麦」と簡単にはいえない。
僕は骨太で荒々しい、蕎麦の風味がしっかり味わえる固ゆでの蕎麦が好みだが、細くてつるつるっと、喉越しのいいしなやかな蕎麦が好きだという人もいる。
小休止のうかの蕎麦は細いほう。最初の一口の清涼感とじわっとくる蕎麦の風味がウリ、という感じ。万人向けの蕎麦だと思う。
で、この店は、
ふぃふぁ山荘さんのブログリポートによれば、小百2608というところにあったが、2007年7月に火事で全焼し、その直後の10月に今の場所に移転して再開したそうだ。
農家コンセプトを生かした店構え、営業方針も全部店主の強い意志のもとで実現したのだろう。
その意味では、「田舎で永続的な食べ物商売を成功させるためのビジネスノウハウ」を見事に具現化した好例といえそうだ。
次から次へと訪れる客はほぼすべて観光客。給料日前の火曜日で、この後、川俣温泉や戦場ヶ原、中禅寺湖を回っても人が極端にいなかったことを思うと、こんな観光スポットから外れた田舎にこれだけの客が訪れるというのは驚異的だ。
休日ともなれば車がすれ違えない進入路は車が鉢合わせして大変なことになる、と、食べログなど、いろいろなところで書いている人がいるから、訪れるなら平日狙いがいい。
都会生活しかしてこなかった人には、贅沢な時間が流れることだろう。
しっかりしたイメージと戦略を兼ね備えて勝負しているという点では、日光珈琲の蕎麦バージョンのような印象を受けた。こういう店が増えていけば、日光はもっともっと奥の深い、リピーターが定着する観光地になるだろう。
小休止(こやすど)のうか
日光市瀬尾2937 tel:050-5589-9690 (予約専用)090-7736-3354 (問い合わせ専用)
11:00~売り切れ次第終了
木曜定休
あなたの知らない日光がここにある! 山奥にひっそりいる幻のはじめ狛犬なども網羅。
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「福島問題」の本質とは何か?
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『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書 240ページ)
『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言。
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第2章 日本は放射能汚染国家になった
第3章 壊されたコミュニティ
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『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ)
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第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
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第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
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かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛
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