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のぼみ~日記2016

2016/04/25

カエル産卵の季節





今日もシュレスキュー。大雨の後などはきれいに(?)損傷なく流れ出している卵塊が見つかることがあるが、この時期はトラクターに粉砕された破片で流れていることが多い。形が壊れていると、その後、ていねいに扱っても孵化に失敗する確率が高くなる。それでも、放っておけば100%ダメなので、何匹かでも孵化することに期待して持ち帰る。

パッと見ただけで、あ、これはダメっぽいやつ……と分かる



こちらはトウキョウダルマガエルの卵。派手に産んでる



これだけ集まっているから、アカガエルってことはない。このへんではアカガエルはもはや絶滅寸前なのだ



シュレスキューに専念


原因は狂犬病ワクチン注射だった


ここ数日、様子がおかしいレオ
今日もレオは立ちあがろうとしない。
「どしたの? お散歩行かなくていいの?」と、しゃがみ込んで3分くらい話しかけてみたが、動かない。
諦めてまた帰ろうとしたが、ちょっと腰を動かしかけたので、またしゃがみ込んで「大丈夫なのか、おまえ」と、話しかける。少し反応があったので、リードに付け替えて立ちあがると、嫌そうにようやく腰を上げた。
最初はゆっくり歩く。
家のすぐそばで大量の放尿。これだけおしっこを我慢しているのに散歩に行こうとしないというのはやはり異常だ。
しかし、その後、少しずつ調子が出てきて、その日は結局、1kmちょっとは歩いた。

戻したところに買い主さんが戻ってきたので、ここ数日様子がおかしいけれど大丈夫なのかと訊いてみた。
「そうですか?」と、全然心配していない様子。で、話していて「そういえばこのまえ狂犬病の予防注射打ったんですよ」と言われた。
「じゃあ、そのせいですかねえ」ということで、家に戻ったのだが、ネットでいろいろ検索してみたら、ほぼ間違いなくそれが原因らしいと分かった。



サクラソウですかね



歩いているうちに少しずつ調子が出てきたのでホッとする



若葉の季節







のぼるくんもお散歩



動かない。で、家に入れようとすると狂暴になる。ネコのお散歩はとっても面倒くさい


「狂犬病」とは何か?


レオが急にぐったりした原因がどうやら狂犬病の予防接種のせいらしいと分かり、改めて「狂犬病」について調べてみた。
今までも、なぜ何十年も発生していない日本で狂犬病の予防接種が義務化されているのか疑問に思ってはいたが、子供の頃しか犬を飼っていないので、あまり深く考えたことがなかった。
たぬにはフィラリアの薬だけはきちんきちんと飲ませていたけれどね。

で、調べてみて、今まで知らなかったことや曖昧なままの知識だったことがいろいろ分かったのでまとめてみる。


こうしてまとめてみると、まず第一に「狂犬病」という名称がまずいだろうということが分かる。そういう名称にしているのは日本だけだ。
東南アジアなどでは犬を放し飼いにしているのがあたりまえで、しかも特定の飼い主がいない(なんとなく地域の人たちが餌をあげている)ような状況が多いので、ワクチン投与がなかなか進まない。だからアジアでは犬に噛まれて感染するケースが多い。
南米ではコウモリがいちばん多いし、アメリカではアライグマなどの野生動物がいちばん多い。
犬猫をペットとして飼っている環境が日本と近いと思われるアメリカでは、犬よりネコのほうが感染例は1桁多い。

アメリカの例では、こんな記事を見つけた。
米国ではアライグマ、狐、スカンク、コウモリリが狂犬病ウイルスの宿主となっていて、動物での狂犬病の87%を占めるといわれています。コウモリによる狂犬病は急には拡がらないので、流行の原因とはみなされていません。最近、問題になっているのはアライグマの狂犬病です。

 アライグマの狂犬病は以前は米国南東部フロリダ州に限局していました。しかし1989年10月にニュージャーシイ州でアライグマの狂犬病がみつかり、1990年だけで37例がみつかっています。地図を見るとフロリダからノースカロライナを飛び越して狂犬病が拡がったことがよく分かります。
この理由としては、ハンターが狩猟用のアライグマの数を確保するためにフロリダから3500頭のアライグマを1977年にバージニアに放したためと考えられています。人為的な流行の拡大です。
公益社団法人日本獣医学会 連続講座第17回「野生動物の狂犬病」 より)


以上のことから分かるのは、日本に再び狂犬病ウイルスが持ち込まれる可能性があるとすれば、海外から持ち込まれた動物を介して以外はまず考えられないということだ。
日本にいる犬が感染するとしたら、海外から感染した動物が持ち込まれ、その動物に咬まれたり引っ掻かれたりした場合だ。室内飼いされている犬、つながれている犬にそんな可能性があるだろうか?
それよりも、海外から持ち込まれる動物の徹底的な検疫体制を作ることが先ではないか。
「人間を噛む可能性がある動物は犬がいちばん多い」というが、そもそも、まずは飼っている犬が感染している動物(人間を含む)に接触しなければ感染することはありえない。
ワクチン注射は、すでにウイルスが存在している場所で、感染動物を根絶させるためには最も効果的な方法だ。これは間違いない。しかし、一旦根絶した後は、感染していない動物、しかも犬だけを選んでワクチン注射を続ける意味が見つけられない。
感染の可能性が高いのはむしろ海外渡航した人間である。ワクチンを打つ必要性があるとすれば、人間のほうだ。
海外で感染した人間が帰国後に犬に噛みつくことはまずないだろうから、犬に注射しても意味がない。
また、検疫体制の不備を突いて海外から感染動物(可能性が高い例としてはフェレットなど)がペットなどとして持ち込まれてしまった場合も、最初に感染するのはその動物と接する機会がない犬ではなく、そのペットの飼い主である人間だろう。
ロシア船にのせられた犬が港で放されて云々という話もあるが、それとて、もしその犬が感染していたら、最初に噛まれるのは犬ではなく人間だろう。港に日本で飼われている犬が放されていることはまずないが、人間はいっぱいいるのだから。
ましてや、都会の犬のように室内飼いされている犬、放されていない犬が感染する可能性は限りなくゼロだ。
一方で、狂犬病のワクチン注射をすることで老犬や幼犬が体調を崩し、下手をすればそのまま死んでしまうというケースはいくらでもある。

誤解しないでほしいのは、ここで言いたいのは、まずは海外から入ってくる動物の検疫を徹底せよ、ということだ。それをしないで、限りなく安全な国内の犬にせっせと毎年注射しているのはおかしいでしょ、と。
そもそも、野生動物をペットとして輸入・販売することを全面禁止にすれば、どれだけ狂犬病再侵入の危険を減らせることか。なぜできないのか。

オーストラリアでは狂犬病のワクチン注射は「禁止」されているという。犬への負担もさることながら、ワクチン注射で下手に抗体を作ってしまうと、ウイルスが国内に入り込んだときにすぐに発見できなくなる可能性があるから、ウイルスがワクチンへの適応性を持って変異してしまうこともあるかもしれないから、ということらしい。
すぐに発見できればすぐに処置できるので、感染が広がる前にブロックできる……と。
なるほど、そのほうがはるかに合理的な考え方だ。
酪農大国オーストラリアでは、ウイルスの侵入を防ぐことは国の産業を守る上で最上位重要項目だ。真剣に考えてそうしているのだ。

日本では、一旦決めてしまったことを変更するのは怖い、面倒だ、責任を取りたくない……という精神が、行政のあちこちで不合理を生じさせている。それによって被害を被るのはいつも弱者だ。
要するに、意味のないことは明白だけれど、「犬のことだし、費用は飼い主の全額負担だからいいや」「やめたら製薬会社や獣医師界から猛烈な突き上げが来るから放っておこう」ということなのだろう。

ちなみに、獣医さんによっては「病弱なので狂犬病予防接種は避けたほうがよい」というような証明書を出してくれるらしい。






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第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
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