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のぼみ~日記 2015

2015/10/22

筍生活



川内村の家と倉庫から運んできたスピーカー群とアンプ


前回の日記で「百合丘と川内村の家を売却して、荷物は大量に廃棄処分になったのだが、断捨離しきれずに持って来たものが四畳半に山積みになっている。
これを少しずつ片づけよう……と、重い腰を上げたところ」……ということを書いたが、大きなもの、価値のあるものは誰かに使ってほしいから、面倒でもヤフオクに出すことにした。
まずは5セットあるスピーカーとBGWの重量級パワーアンプ。
音出しチェックして、汚れを落として、写真を撮って、寸法を測って……梱包までするのに一苦労。

で、久々に(何年ぶりだろう)ヤフオクをじっくり見てみたら、一時期よりずっと低調なのにびっくりした。
オーディオ関連の出品などは、入札がないものがいっぱいある。値段も一時期より低い。この価格でも入札がないのか? と驚くようなものばかり。
日本全体が活気を失っている、というか、食うのが精一杯で趣味どころじゃない、余裕がなくなっていることがよく分かる。

中古車市場もそうだ。
いつもお世話になっていた鹿沼の中古車屋兼修理工場は億単位の負債を抱えてつぶれてしまった。
高級外車専門の中古車屋の営業マンに訊いたところ、売れるのは、売る側でさえ驚くような高い車ばかりで、「普通の中古車」はめっきり売れなくなったという。
軽自動車や商用車の価格は崩れていないが、趣味性の高い車や「普通の乗用車」は売れなくて値崩れしている。
新車販売もそうだ。1000万円を超える高級車が売れまくって納車何ヶ月待ちなんてことになっている一方で、「普通の車」は売れない。若い人たちは車を所有するなんて生活はとても考えられない。田舎では車は必需品なので家族の数だけ必要だが、みんな軽自動車に乗っている。
つまり、格差社会が急速に進んでいるのだ。
庶民は低収入、支出増大にあえぎ、ごく少数の富裕層はますます富を蓄えて超高級な消費生活をしている。


アメリカのアンプメーカーBGWのパワーアンプ



古いテニスラケットが何本も出てきたが、さてどうするか……。こういうものもほとんど値がつかない。少し前までは活発に取引されていたのに

都会が基準という勘違いについて



300万円を超える高級車でも「エコカー」認定して税を軽減。逆に古い車を大切に乗り続けている人には自動車税増税という馬鹿げた施策をしている政治家や官僚たちはみな都会に住んでいる。
中には普段スーパーで買い物をしないような人もいるだろう。生まれてこの方、金槌や鋸を使ったことがないという人もいるかもしれない。
田んぼで生きる生物をじっと見ていた経験がないとか、アメンボとミズスマシの区別さえつかない人だっているかもしれない。
そういう人たちが机上の論理で地域振興だの農業政策だのを議論している馬鹿らしさ、怖ろしさ、気味悪さ。

……しかし、こうした「ズレ」はなにも政治家や官僚に限った話ではない。一般庶民においても、都会で育ち都会で暮らす人たちと田舎で生まれ育った人たちとのズレ、すれ違いは大きい。

例えば、週刊女性に「イマドキ奥さんタイプ別」というシリーズ記事があり、ネット上でも、

……という3本の記事が読める。
この中の マイルドヤンキー妻「地元愛が止まらない、車は2台で夜露死苦」  という記事。タイトルに大いなる違和感を感じて読んでしまった。
マイルドヤンキーという言葉、語感も意味も最初から気に入らなかったが、まだこういう感じで使われているのだなぁ。
記事の内容はどうということもない。あたりまえにいる家族の話で、ドラマがあるわけでもないし、珍しさや驚きもない。それなのにわざわざ記事にするというのは、この記者(おそらく都会育ち)にとっては新鮮な、というか、記事にする価値があると思えるくらい不思議な生き方(異文化)だと感じられるのだろう。だからこそ、これだけ失礼で上から目線のタイトルをつけて平気でいられる。(もしかするとタイトルをつけたのは書いた本人ではなく、上司かもしれないが)

要するに、都会の生活が「基準」だと勘違いしている。都会人が、実はいちばん危うい生活をしているんだと気づいてない。
その「感性」に、こちらは逆に興味を抱いてしまった。これぞまさに都会と田舎(地方都市)の生活感、人生観、価値観ギャップなのだなあ、と。

この記事と対照的な位置として書かれているのが ニューセレブ妻「生活費は月100万、保育園の送迎はタクシー」 だろう。
これもまた、都会では珍しくない話だ。生活費が月に100万円はやや片寄っているとしても、こうした生活感、価値観で暮らしている人たちは多い。

僕は両方のタイプをよく知っているし、実際につきあいもある。
だから、この記事を読んでも、あたりまえの日常があたりまえに書かれているだけじゃないの、と思う。(まあ、そういう意図のシリーズなのだろうが……)
今は「ニューセレブ妻」よりも「マイルドヤンキー妻」のほうがいっぱい知っているかもしれない。
で、敢えて言わせてもらえば、都会に住んで、ブランドや買い物情報、ファッション情報には詳しくても、基本的には教養がない「ニューセレブ妻」がいっぱいいる一方で、学歴や収入は低くても、知識欲旺盛で新しいものを知ったり経験したりすることに貪欲な「マイルドヤンキー妻」もいっぱいいる。後者のほうがはるかに人間として健康な生き方をしていると思うし、人として魅力的に映る。

要は、自分の頭で考え、常に新しいことに興味を持って自分からそれに働きかける力を持っているかどうかということ。それが「生き方の魅力」につながっているのではないかな。新しい世界や価値を知ろうとしない、世の中の流れに身を任せたままで毎日を過ごしている人は都会にも地方にもたくさんいる。日々の生活の中でどれだけ金が使われているかとか、学歴がどうとかは関係ない。



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「福島問題」の本質とは何か?


『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』(岩波ジュニア新書 240ページ)
『裸のフクシマ』以後、さらに混迷を深めていった福島から、若い世代へ向けての渾身の伝言。
複数の中学校・高校が入試問題(国語長文読解)に採用。大人にこそ読んでほしい!

第1章 あの日何が起きたのか
第2章 日本は放射能汚染国家になった
第3章 壊されたコミュニティ
第4章 原子力の正体
第5章 放射能より怖いもの
第6章 エネルギー問題の嘘と真実
第7章 3・11後の日本を生きる

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裸のフクシマ  『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社 単行本352ページ)
ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。驚愕の事実、メディアが語ろうとしない現実的提言が満載。

第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛

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