私は三つの立場から新国立競技場建設の今の案に反対です。
一つ目は陸上選手として反対です。新しい国立競技場はサブトラック(ウォーミングアップのためのグランド)がありません。五輪本番は仮設のもので行うようですが、その後は撤去される予定で、そうなると陸上競技の世界大会をルール上(サブトラックが必要)ひらくことができません。陸上選手としては国立競技場は陸上競技場でもあってほしいので、サブトラックがない案に反対です。
二つ目はスポーツ選手として反対です。国立競技場の建設に関するところに関わったと言われるアスリートは少なくとも私の周りにはいませんが、それでももし本当に建設されてしまったら、スポーツ界もしくはアスリートが日本に負担をかけたと言われることが予想されます。スポーツは社会の役にはたっても、お荷物だと思われるのは(仮にそれにアスリートが関わっていなくても)いやなので、反対です。
三つ目は日本人として反対です。新国立競技場は2500億の建設費、年間40億とも言われる維持費、さらに屋根などを今後建設することを考えるともっと予算が積み上がる可能性があると言われています。一つ目と矛盾するようですがスポーツの国際イベントなんて一年に一回あったらいい方で、それ以外のスポーツイベントでも8万人の競技場を満たすことなんてできません。標準規模の建設費で作り、スポーツは頑張って小さめの赤字、音楽などのイベントで黒字化し、せめて日々の維持費はまかなうというのがよいように思います。どう考えても経済的に負担が大きすぎる競技場を作ることは今の日本の状況から見ても反対です。
諸悪の根源である「ドーム型開閉式(屋根付き)」はここで決まった。作曲家の都倉俊一氏が「開閉式ドームをぜひお願いします・・・コンサートその他のイベントでは音響が大切になる」と提案し、それが採用されたのである。
山本太郎議員が14日、参院内閣委員会・文教科学委員会連合審査会で追及した。
屋根付きとした理由について、文科省スポーツ・青少年局長の久保公人局長は「コンサートの遮音のため」とする旨の答弁をした。
JSC(日本スポーツ振興センター)の鬼沢佳弘理事は「コンサートの年間開催日数は12日間」と答えている。
わずか12日間のコンサートのためにドーム型開閉式(屋根付き)競技場になったのである。開閉式の屋根は建設費を高騰させた元凶である。
(田中龍作ジャーナルより)
私のアスリートとしての願いとしては国立競技場は聖域であることをやめ、毎日国民に使われるすべての人にひらかれた国立競技場を目指して欲しいと思います。これまで国立競技場を含めスポーツ施設は、勝手に入ってはいけない、迂闊に触れてはならない聖域のように扱われてきたと思います。その空気は権威のようなものをスポーツ界に与えはしましたが、すべての人がスポーツを気軽に楽しむということを遠ざけてきました。
私の原体験は、海外のスタジアムにカフェとレストランやホテルが併設され、ことあるごとにそこでパーティーが行われ、宿泊し、また毎日そこが地元の方のコミュニティになっていた風景です。朝子供達がサッカーをし、昼間おじいちゃんがペタンクを楽しみ、午後からトップ選手も含んだ陸上チームがトレーニングを始め、近所の方がそこでビールを飲みながらスタジアムを眺めている。スタジアムはどんな建物かではなく、そこにどれだけの人が集まるかで価値が決まります。スポーツをしない人に使われるにはどうしたらいいかを視点の一つに入れて欲しいと思います。
五輪後の未来の街はどうあるべきかというところから議論がはじまって欲しいと思います。1964年の競技場が2014年まで使っていたことを考えると、2020年に作られる新国立競技場は短くとも2070年まで使用することになります。
2070年にどんな社会を目指すべきか。私はその時にはスポーツが一部のチャンピオンを目指す人たちだけの触れ難い聖域ではなく、すべての人にとって身近で親しみのあるものになっていてほしいと考えます。
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