2014/09/30

小代の環境保全活動


地図を見ていると、我が家の周辺には、開発したまま半分塩漬けになったような造成地がいくつもあることが分かる。
うちもそういう造成地の一角にあった空き家(最初のオーナーは地元の個人不動産屋で、倒産して夜逃げ。物件はその後競売にかけられ、前オーナーの手に渡り、その前オーナーが3.11後、手放した)だが、ここは小さな規模で、家は全部で十数軒しかない。空き地になっている区画のほうが多い。
他の住宅地も、空き地区画がかなり多い。別荘代わりに家を建てたものの、その後ほとんど来なくなったり、オーナーが亡くなったりして廃屋になっているものもある。
「リゾート地」「別荘地」という概念では、信州や阿武隈、富士山や伊豆周辺のほうがずっとブランド価値が高いのだろう。同じ栃木県でも那須高原のほうがリゾート地としては有名だし、観光施設なども集中している。

「日光」は東照宮や華厳滝など、かつては小学校修学旅行の定番観光地だったが、今はあんまりそういう話も聞かないし、実際、観光地エリアに行っても、小学生の集団はほとんど見たことがない。

バブルのときに造成された住宅地は、地元の定住者向けにはあまり人気がなく、投資目的で都会人が土地を買ったり、羽振りのよかった人が別荘を建てたまま、その後、バブル崩壊で維持できなくなって手放す……というケースが多いから、首都圏の住宅地のように家がびっしり建っている風景にはならなかった。

そんな中、地図では明らかに造成された住宅地だと分かるのに、今まで通った記憶のない場所があるのに気づいた。
確かめてみようとその方向に行ってみた。

ところが、よく分からないまま、違うものを見つけてしまった。

このへんからその住宅造成地?に入っていける道があるはずなのだが分からない


あれ? こんな看板、気がつかなかったな


へえ~


阿武隈にいたとき、僕もこんな図鑑を作ったっけ
⇒阿武隈カエル図鑑(ここをクリックするとPDFをダウンロードできる)


この地域には同じような気持ちの人たちがいるんだなと分かって、なんだか嬉しくなった


圃場整備のときに、生き物の住処を残すための配慮をしたことが分かる。
こういうことが、全国で行われていたら、今頃ずいぶん気持ちのいい国になっていただろうに


例のシモツケコウホネが見つかったのもこのエリア。頑張った人がいたので、この場所もこうして残ったのだな


この看板がなければ気がつかなかった。ここがそうみたいだ


これこれ。こういうのが必要なんだよね。カエルやイモリ、ドジョウたちには


あれ? シモツケコウホネだ!


ここにも残っていたのだな。もしかすると例の保全場所から移植したのかもしれない


コスモスが咲き乱れる先には栗林


あれ? ツチガエルじゃないの?


間違いなくツチガエル。復活の沢周辺以外で、初めて見た
ここの湿地のおかげでこの場所では生き延びているんだな


接写しようとカメラを近づけたらぴょんと逃げた。逃げた後の水の跡がカエル型になっていてにんまり


木道とコンクリートを入れていない水路。ほっとする


車で通っていたら気づかない場所だ


その道をさらに進むと、例のシモツケコウホネ保全エリアに出た


シモツケコウホネの季節はそろそろ終わり。これから寒くなると見られなくなる。

世界で、ここを含めて栃木県の数か所でしか確認できていないというのだから、ものすごい希少種。国のレッドデータリストでもトップランクの絶滅危惧種A指定。
ある意味、東照宮の彫刻群より貴重な存在なのではないかという気がするが、ほとんどの日本人は東照宮は知っていてもシモツケコウホネなんて知らない。僕自身、つい先日まで知らなかった。

かつては日本中どこにでもあたりまえにいたツチガエルが、今は田園地帯でも滅多に見ることができなくなっていることも、みんな知らない。
そういう「知らないうちに消されていく」生命がいっぱいある。

環境保全のために助成金や補助金が出ると、木を伐ってなんとか公園みたいなものを造成して、道路脇の湿地や小川、沢をコンクリートで固め、公園の駐車場にしてしまったりする自治体が多い。
本当は、ここ、小代のささやかな環境保全エリアみたいに、地元の人でさえ気づかないくらいのささやかな保全活動のほうが、生き物たちにとってはありがたいのかもしれない。
今日はとても学ぶことの多い散歩になった。

ちなみに、見つけられなかった造成地は、この場所に隣接する山の上に広がっていて、こちら側からは入れないということが後日分かった。地図では1本、入っていく道があるのだが、その道は獣道みたいに埋没していて、事実上はないみたいだ。



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