2014/05/12

5月の庭


怒濤のような日程がすべて終わり、ほっと一息。
喉はまだ痛いが、とにかくこれでちょっと身体も心も一休みできそう。
ぽかぽか陽気の中、家の周りを写して回る。

おとなりの裏手の藤が満開


ツリバナの地味な花


ヤマブキはそろそろおしまい




映画関連が終わるまでは……と、先送りにしていた、X90のタイヤ交換をようやく実施。
なにせ、タイヤ交換のときは爪を割ってしまう恐れがあるから、ライブを控えているときはやりたくない。
プジョーのタイヤ交換に比べるとかなり楽。ラダーフレームのボディなので、ジャッキアップは前と後ろの2回だけで済むし。

昨日ホテルから送った荷物が届く。「楽器等」と書いたら受付拒否されて、「壊れてもいいから」と言って強引に受けてもらった




USスタッフが、助手さんの手料理へのお礼……と、都内のデパートでこんなものを買って贈ってくれた。そんな、いいのに~。
青いお皿は何を盛りつけると映えるのか……と、助手さん悩んだ末に、こんなのを盛りつけて「写真撮って送ってね」と。
はい~。

今日のオマケ

小保方事件、なんだかしょーもない記事やら論評が続いていたが、日経新聞に、突然「お!」と唸らせる長文記事が出た。
「悪意」の源流 小保方博士と理研の迷宮(2014年5月11日)と題した記事で、執筆は編集委員の金田信一郎氏。
上中下と3つに分かれている「シリーズ読み物」とでも呼べる大作だが、特に「上」に読むべき内容が集中しているように思えたので、抜粋。

 次世代スーパーコンピューターとして理研に設置された「京(けい)」が計算速度世界一を達成したのは2011年のこと。民主党の事業仕分けで、「2位じゃだめですか」と指摘されたが、理研理事長の野依良治ら科学者が反発し、「いったん凍結すれば、他国に追い抜かれる」として予算を復活させた。結局、1111億円を投じて、2012年に完成し、民間利用も始まっている。

 だが、京はその後、計算速度を上げる開発が止まってしまった。そして、世界4位に落ちている。それでも、専用の6階建ての巨大ビルには今も210人が勤務し、毎年100億円を超える維持運営費がかかっている。電気代だけで20億~30億円を費消する。

(略)1000億円を超える投資に見合う具体的な成功事例は見当たらない。クルマの流体力学のシミュレーションにも使われているが、「スパコンでF1カーを製作したら、ぶっちぎりでビリになった」と理研計算科学研究機構の職員は苦笑する。

 ところが、そのスパコン開発は今年4月に予算が復活した。2020年ごろまでに「京」の100倍の計算速度を目指して、理研に1400億円が投じられる。

★コンピュータは所詮計算機。道具にすぎない。その道具を使って何をやるか、が問題なのに、道具の性能が目的化してしまっているというお粗末。

「計算速度世界一」や「STAP細胞論文」など、華々しい瞬間は報道陣にアピールする。その裏で理研が手がける無数のプロジェクトに多額の国費が流れ、巨大な組織体の中に消えていく。実態は複雑怪奇で、収入1つとっても、運営費交付金から施設整備補助金、科研費、補正予算などが年度の途中にも積み重なっていく。組織も化学、物理、生物、工学などの研究分野をカバーしているが、近年は生命科学(ライフサイエンス)の研究分野が急拡大して、施設が全国に拡散している。全国7カ所に分かれて生命科学の研究が行われているが、その役割分担は見えない。

★そもそも「生命科学」の探求で、何を実現しようとしているのだろうか。金持ちの不老不死欲求を満たすとか?


科学技術という名目ならば、予算が通りやすい時代が到来した。次の科学技術基本計画は、予算が24兆円に拡大。「科技族」と呼ばれる族議員が生まれていった。

 この予算が、基礎研究の中心である理研に流れていく。(略)「日本唯一の総合科学研究所」は、格好のカネの流し場所となった。

 巨大なカネの流れが、理研に次々と新施設を産み落としていった。「公共事業への支出が厳しくなる中で、政治家が科学技術の予算に目をつけるようになっていった」(元経産省幹部)

★ここでも「諸悪の根源は税金」か。

元衆院議員の福島伸享は経産官僚として、科学技術予算にむらがる人々を目の当たりにしてきた。森喜朗政権時代、生物科学産業課(通称バイオ課)に在籍していると、理研の研究者が次々と福島の元を訪れた。ライバルの研究者が文部科学省の予算を獲得したことが気に入らず、経産省所管の産業技術総合研究所(産総研)のカネを目当てにすり寄ってきた。そして、相手の悪口を、カネの不正から女性問題までぶちまける。

 「理研のトイレットペーパーは一万円札をつなげて作られている、と揶揄(やゆ)されていた。政治家よりも汚い世界ではないかと思った」。その福島は、書類を作成するとき、「理研」と書くところをわざと変換ミスして「利権」と打ち込んだという。

★すごい取材。欧米のドラマっぽい世界だ。

独法になっても、理研には巨額のカネが注ぎ込まれている。中期計画で、運営費交付金は減額されているが、一方で科研費が急拡大しているからだ。「政治家も官僚も、増え続ける科学技術予算の突っ込み先に迷った時は、とりあえず理研を使う」。科技族だった元議員は、そう打ち明ける。
(略)
 予算を獲得した研究リーダーは、そのプロジェクトを動かすために研究員や技術員を採用しなければならない。そのマネジメントも負担となってリーダーの肩にのしかかってくる。
 それでも研究成果を生まなければならない。勢い、部下の論文に責任者として名前を掲載することになる。「カネは潤沢にあるから、実験やデータ作りは、部下や外部業者に丸投げする。そして論文という実績をピンハネする。要するにゼネコンと同じ」。理研の元研究者は、そう構図を解説する。

論文も、影響力の高い雑誌に掲載されるほど、実績として評価される。そのため、雑誌の引用頻度を基に計算される「インパクト・ファクター」を重視する。(略)「ネイチャーとサイエンスには、捏造(ねつぞう)や改ざんではないかと疑いたくなるような論文が見られる。そのリスクを冒す価値があるということ」。理研の研究グループリーダーは、そう研究者心理を解説する。

 そうした「賭け」に踏み出す危険性を、理研は構造的に抱え込んでいる。工学系主体の研究所は産業との結びつきが強く、成果がモノとして見えやすい。だが、物理や化学、生命科学の基礎研究は、「産業化」までの距離が遠い。そのため、論文が評価を決する場となる。それも、与えられた期限の中で成果を見せなければならない。だから、部下に都合のいいデータを作らせて、論文に組み上げようとする研究者がいたとしても不思議ではない。

 STAP細胞論文は、そうした理研をとりまく環境と歴史が作り出した構図の中で生まれた。



…… これを読んで、「ああ~、そういうことだったのか~~」と、もやもやしていたものが氷解したような気分になった人は多いのではないだろうか。
しかしまあ、理解できた後の虚しさ、絶望感も半端ない。
日本という国がどんどんおかしくなっている、その現場のひとつを見せられたわけだ。

笹井副センター長という人物の会見を見て、これは「科学者」ではなく「官僚」の答弁そのものではないか、と感じたのは僕だけではなかったと思う。
この事件は、最初に出てきたのがちょっと特殊な?キャラクターの若い女性だったことで、問題の本質が見えにくかったんじゃないかな。それが、だんだん、我々が「見慣れた」いや~な世界、システムの風景を見せられ続けて、最後は、ああ、やっぱりそういうこと……と理解できていく。
倒叙法のような展開というか、いきなり派手で一般受けする映像が現れて、食いつきのよい嫉妬の裏返し要素が続き、それを紐解いていくと、ドロドロした、救いようのないシステムの崩壊ぶりがはっきりと見えてくるという展開。これは福島第一原発が爆発した事件にも通じるものがある。
まさかそこまでひどくはないだろう、と、漠然と思い込んでいた、最低限度の期待を見事に、想像以上に裏切ってくれる。
やれやれ……なんていう村上春樹流の締めの言葉では締めることもできない、危険な状況なのだなあ。

唯一の救いは、日経がここまで突っ込んで、ズバッと書いてきたこと。昨今のメディア機能不全危機という流れの中で、突然のように出てきたこの記事には正直びっくりした。
こうした記事が出てくるうちは、まだ希望が持てる……だろうか……。

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