2011/08/11

ここにもいたトウキョウダルマガエルとツチガエル


チャッピーと散歩していて、県道から少し入った家への進入路脇に防火水槽を発見。
水がどろどろで、ヘドロのようになっている。そこにトウキョウダルマガエルとツチガエルが棲みついていた。
見つけられて嬉しいというよりは悲しい気持ちのほうが大きかった。
カエルをシンボルマークにしている村なのに、平伏沼以外、カエルのための環境を保全しようという意識が皆無で、カエルの棲息地を壊してばかりいる。
この村には、尾瀬や奥入瀬なみの観光ポイントがいっぱいある。
小白井から川内村に入ってくる県道36号線沿いの渓流は、道路の拡幅、新設工事で完全に破壊され、三面張りにされている。
この村に移住しようと思ったきっかけにもなった美しい風景が壊されるのを見ているのはたまらない。
整備の仕方があるだろうに、風景を美しく保ちながら利便性を上げるということを考えていない。金が入ればいい、工事ができればいいという姿勢。
壊してしまったら、せめてその何分の一かでもいいから、代替の環境を作って生物が棲み続けられるようにしよう、ということも考えない。税金使えればいいなら、そういう事業に注ぎ込んでくれればいいのに。
こんなに広い土地があり、山もあるのに、なんでこんな汚い水、それもコンクリートの防火用水貯水槽に希少種のカエルが避難して棲みつかなければいけないのか。単純に水場がないからだ。池、沼、水たまりがどんどん消えているからだ。
しかも、今年は田圃に水が入らなかったから、少しでも水のある場所を求めて移動していくしかない。
下川内の399号線沿いには小さな水たまりや沼がいくつかあって、モリアオガエルが産卵していたが、道路工事のたびに消えていき、モリアオガエルたちは水のある場所を求めて、田圃の縁にも産卵するようになった。
そのうちに下川内のモリアオガエルは絶滅するかもしれない。
上川内では平伏沼以外に2箇所の産卵場所を知っているが、そのうち一つは今年、平伏沼同様に渇水して産卵した卵は全滅した。
もう一か所はぎりぎり水が残っていたが、例年より卵の数が少なかった。
今年は平伏沼が全滅なので、上川内のモリアオガエルもこのままだと危ない。
田圃に水が入らなかったので、シュレーゲルアオガエルは完全に産卵場所を失い、これまた大ピンチ。
体力のあるトウキョウダルマガエルは一部が移動していき、今まで一匹もいなかった我が家の池にも、目下、10匹くらい棲みついている。
ツチガエルは福島県レッドデータブックでは準絶滅危惧種になっている。これも水場から離れずに暮らすカエルなので、水が通年ないと生きていけない。
こんなひどい水しか残されていないのかと思うと、悲しくなる。

池を持っている農家は多いのだが、ほとんどの池に鯉を放してしまっている。これが最悪。鯉は悪食、大食漢だから、カエルの卵やオタマを食い尽くしてしまう。カエルもそれを分かっていて、鯉のいる池には産卵しない。
無頓着に産卵するのはアズマヒキガエルくらいで、モリアオなどは絶対に産卵しない。
防火用水の池もあちこちあるのだが、たいてい鯉を放しているため、カエルは棲みつかない。
ここは水が汚くなりすぎて鯉が窒息死したのか、最初から放さなかったのか分からないが、鯉がいなかったことで希少種のカエル二種が棲みついたというわけだ。
もっときれいな池や沼を作ったり保全したりしていれば、蛙の郷になるのに、本当に残念だ。
基本的に、カエルが好きだという村民に会ったことがない。トウキョウダルマガエルっていうと、「それってたくきさんが勝手につけた名前ですか?」とか言われる。んなわけないって。僕ならもっといい名前をつけるさ。
シュレーゲルアオガエル⇒サトアオガエル(里青蛙)
トウキョウダルマガエル⇒ショウヤガエル(庄屋蛙)
……とかね。
東北には日本固有種のカエルが10種いて、そのうち、川内村でまだ確認できていないのはカジカガエルだけ。他の9種は全部我が家の池やその周辺で写真に収めている。
カエルの郷としてアピールできるチャンスは今までいくらでもあったのに、平伏沼以外にはまったく目を向けようとしなかったのはもったいないとしか言いようがない。足下の宝物が見えていない哀しさ。
水を失い、トロ箱の中で佃煮状態で死んでいったオタマの姿は、この村の現状を象徴しているようで見るに堪えないと言う人がいるが、その通りだろう。

トウキョウダルマガエルはすぐに逃げてしまい、ツチガエルだけ


よく肥えているな


アカハライモリもいた。イモリはかなり水質が悪くても生き延びるようだ

平伏沼が渇水するのは今年が初めてではない。過去にもあって、そのときは村人動員で水を入れたりオタマを避難させたりしたそうだ。
今年も、6月はじめくらいまでは普通に水があったのだが、その後、空梅雨で、うちの前の沢なども干上がる寸前までいったし、付近のいくつかの沼や池も渇水した。
だから、単純に雨が降らなかったから、と言ってしまえばそれまでだが、涸れない沼もあるので、原因は小雨だけではなさそうだ。
平伏沼の場合、だいぶ前に周囲の雑木林を盗伐に近い形で伐採した馬鹿者がいたそうで、それ以来、渇水騒ぎが起きるようになったという。その前は今よりずっと水があって、一回り大きな沼だったとじいさんばあさんたちは言っている。

平伏沼周辺は今、1μSv/hくらいあるのだが、除染はありえない。やりようがない。
除染という理由をつけて木を伐採したりしたら、それこそ致命的。沼は復活しないかもしれない。
万太郎山から大滝根に向かって、尾根筋が全部刈り取られて大型風車23基が建てられたことも大きく影響を与えている気がする。
今までは雨が降るとじんわりと染みこんでいたのが、大型風車建設で広い道を造ったために、雨が降るとその道が水路のようになって泥水が一気に滝根側に流れている。おかげで夏井川上流は泥水で濁り、岩魚、山女が産卵できなくなって釣りも不可能になり、夏井川漁協がユーラスエナジーに補償を求めるという事態になった。
それも、入漁券をまとめ買いしてもらって話をつけたというようなことを聞いている。情けない。
取り付け道路はその後どんどん荒れていき、今は車も走行が難しいほどデコボコができてしまったので、下から舗装している。本来、舗装する計画はなかったと思うが、山の上から流れてくる水が止まらず、どんどん道が掘られてしまうので、どうにもならなくなったというわけだ。
無論、舗装すれば車は快適に通れるようになるが、保水できない状態は変わらない。夏井川に流れ込む水が少しは泥水ではなくなるだけのこと。
こうした工事が原因で、平伏沼周辺の水脈、地下水系などが変化したということは大いに考えられる。

この現実と、武田教授の「自然エネルギーは日本の自然を壊すのでなるべくやらないほうがいい」という話(あの人もときどき極めて正しいことを言う)を重ね合わせて考えられる人が増えてくれるといいのだが、都会の人たちは田舎で何が進行しているのか知らないで、ますます自然破壊を助けるような動きをする。これが怖い。
滝根小白井ウィンドファームが、与えたダメージ、注ぎ込んだ税金に値するだけの電力を生み出し、日本の電力事情に貢献しているのか……データを出させない、検証しないで「再生可能エネルギー(そもそもそんなものはない)」高額買い取りという亡国の法律を作る。これを通さないと俺は辞めないぞと首相が開き直り、反原発団体や自然保護グループなどに「一緒に頑張りましょう」とアピールする。
バカもここまでくると悲惨を通り過ぎてただただ危険。菅直人は東工大出身だそうだが、何を学んできたのか。
バカな首相は日本史上たくさんいるが、期待を裏切った度合で言えば、断トツのワースト首相だろう。
若い頃は、菅直人が首相になるような時代が来れば、日本も少しはまともな国になるのだろうか、と期待していた。それだけに、今、あの人の顔がテレビに映るたびに憂鬱にさせられるこの現実とのギャップが激しすぎて、きつい。


         
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