2011/06/14(2)
捨てられていた子猫2匹
次に、もえの里の田圃はどうなっているだろうと向かった。
イワナの郷に向かう交差点には「この先立ち入り禁止」の看板があるが、その横を抜けて入る。
以前はここにおまわりさんが立ってチェックしていたのだが、村がイワナの郷を30km圏から外せと要求して、おまわりさんたちはイワナの郷のちょっと向こう側まで押しやられた。
もえの里への入り口まで行ければいいのだが、その手前におまわりさんがいたら面倒だ。
……と思いながら運転していたからか、間違って1本手前の林道を入ってしまい、399号に戻ってしまった。立ち入り禁止看板を裏側から見る形になった。
Uターンするには道幅が狭いし、バックするには来すぎてしまったし……と思っていたら、ん? みゃあみゃあと声が聞こえる。
………………ええ~~~? 捨てられているよ、子猫が。しかも2匹いるよ。
まいった。
とりあえず車から降りて確認。
このとき、3匹以上いたら、あるいは逃げていってくれたら、それ以上関わり合わなかっただろう。でも、2匹は逃げるどころか、むしろ寄ってきてしまった。
困った。
悩んだ末に、二匹まとめてトランクに放り込んだ。
困ったねえ
そのままバックして、次の進入路からもえの里に。
放り出された田圃は、一部湿地帯のようになっていて、オタマが泳いでいた。全部の田圃に水が入っていればずいぶん多くの生き物の命が救われるのだが。
貴重な水たまり
線量計が鳴ったので見ると、そこそこ高い数値だった
耕す人をなくした田圃
さて、子猫である。
ものすごく困った。来週にはまた留守にするし、近所の人たちもみんな入院していたり避難していたりで頼めない。そもそもご近所さんたちは産まれた子犬子猫はすぐに川に流してしまう。都会の人たちとは感覚が違うのだ。
ちなみにもともと川内村には獣医さんはいなかったが、今回の原発震災で富岡町や大熊町も事実上消えてしまったので、いわき市や郡山市あたりまで行かないと獣医さんはいない。
野良猫になるにしても、これでは小さすぎて育たないだろう。外に出してご飯だけあげていればシロやしんちゃんたちとうまくやっていけるかしら。
でも、しんちゃんはこのくらいの子猫は動く餌としか思わないだろう。一撃でやられるかもしれない。
テンも来るしなあ。
かといって、家の中ではちょっとなあ……。
まだ乳離れもしていないんじゃないか? 固形の餌を食えないと、このまま餓死するかもしれない。
いろんなことを考えながら、もう一度モンペリに戻り、牛乳を買った。牛乳を買うなんてことは何十年もなかったことだ。
家に着いたときにはトランクの中で死んでいるんじゃないかと思ったりもしたのだが、予想をはるかに超えて元気だった。
普通にネコ用のペレットも食うし、牛乳も飲む。軽かった身体がたちまちパンパンになって、お腹が太くなった。
べったりくっついて回るので、何度も蹴飛ばしてしまった。食器をさがしたり、トイレを用意したりで、倉庫と母屋の間を何往復かしたが、その度にダッシュでくっついてくる。
う~ん、どうしましょ。
みゃあみゃあうるさくて、仕事をしようと机に向かうと、ズボンに爪を立てて垂直登坂してくる。あっという間に肩に乗って耳元でびゃあびゃあ騒ぐ。
これじゃあ、今夜は寝られないじゃないか。
しんちゃん用のご飯の容器の中に入ってガツガツ食う
この子は、登れるところはどこにでも登る。活発で甘ったれ
立っていると靴の上に乗ってくる
動画もど~ぞ↑
すっかり子猫2匹に振り回されたまま夜に。このままではどうにもならないので、倉庫に閉じ込めた。
……で、ようやく少し落ち着いたと思った夜中に、外にいたしんちゃんの横を何か白いものが横切った。
え? ノボちゃんは倉庫の中で寝ているはずだし、なんだ今のは?
……えええ~?
こいつなんだ? しんちゃんの子?
そんなのがいたのか。初お目見え。しんちゃんが、わざわざよその子を拾ってこなくても、うちの子がいるのに……と、連れてきたのだろうか。
新展開。
目が寄っているのでボルグと命名。
ボルグはなれていないので、人間がちょっと動いただけでさっと姿を消す。
ノボルやみーちゃんよりほんの少し早く生まれている感じだ。
なんですか? その白いのは
しんちゃんのおっぱいを探すボルグ
そういう騒動をよそに、シロは能天気に熟睡中。おまえ、責任とれよ、少しは。
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