毎日いろんなことがあって、書き忘れていることがたまっていく。
昨日いちばん腹が立ったのはこの新聞記事だ。
福島県は、3月13日の時点で、SPEEDIのデータを受け取っていながら、各自治体や住民になんにも知らせていなかった。つまり隠蔽していたという事実!
放射能汚染がひどいとシミュレートされた地域(飯舘村や浪江町、葛尾村など)に知らせて、いち早く避難させていれば、住民はひどい被曝をせずに済んだのだ。これはもう人殺しとしか言いようがない。
記事は⇒これ
県、爆発翌日公表せず 国の拡散予測図
福島県は非常時の初期段階で放射性物質の広がりや濃度を予測する国のシステム(SPEEDI)のデータを東京電力福島第1原発1号機が水素爆発を起こした翌日の3月13日に確認したが、公表していなかった。6日の自民党県議会議員会政調会で県が明らかにした。
(略)県は「放射性物質の放出量や時間が特定できない段階で、予測データは活用できなかった」と説明している。
予測データは県が国に提供を求め、ファクスで受けた。3月12日の時間ごとの風向きをベースに、放出されたヨウ素が拡散する予測が地図に掲載されていた。(略)地図は県に30枚示された。
県は「市町村の避難の参考になったかどうかは分からない。もし、市町村が必要とする情報だったとすれば、反省すべき点だった」としている。
(2011/05/07 10:02)
隠蔽を指示した部署、責任者、そして知事がこのことを知っていたのかどうかを明らかにせよ。
こんなことを絶対に許してはいけない。
今回の原発震災後、いちばんひどい対応をしているのは福島県だ。各自治体に必要な指示をせず、見殺しにした。
それどころか、国よりも先に「20km圏内を立入禁止にしろ」とか「30km圏内+α(計画的避難地域)は全域作付け禁止」など、率先して風評被害を助長し、住民の生活を奪っている。
無能なだけでなく、悪意があるとしか思えない行動だ。
そのトップにいる知事は、老朽原発の実態を隠し、さっさとプルサーマルを認めた責任をとろうともせず(まずは謝れよ!)、被害者の代表のように振る舞っている。あんたがいちばんの犯罪者なんだよ!
……と、激高してしまったので、少しここで深呼吸して……(放射性物質を吸い込みそうで、深呼吸もろくにできないのだが……くそ……あ、また血圧が……)。
何か書き忘れていたなあと思っていたのだが、まず、井戸水のこと。
3.11の後、うちの井戸は水が白濁した。うっすら砂のようなものも混じった。
地下水脈が変化して、井戸に新しい経路で水が入ってきたのかもしれない。
それを裏付けるように、水が徐々においしくなっているのである。
今まではただの蒸留水を飲んでいるような味気なさだったのだが、このところ、水に多少「うま味」が加わった感じがする。ミネラル分……だろうか。
うちの井戸は70mまで掘ったが、結局深い部分からはほとんど水が出なくて、12m~15mくらいの層からの水がほとんど。しかし、取水パイプは70mまで埋めてあり、深いところから出ている水も混じるようになっている。その割合が変わったのではないかと思う。
まあ、いい方向に考えよう。最初から深いところの水がど~んと出てきていれば、上のほうは止水して、深い層からだけの水を汲み上げられたのだが、残念。
もうひとつは、先日たまたま近所で会って立ち話をした青年の話。
彼は20代半ばで、第一原発の下請け会社に勤めている。今も、あのぐちゃぐちゃの第一原発に入って仕事をしているという。
テレビでよく紹介されている免震棟に詰めていて、現在は6勤4休ペースだという。
テレビでは4勤2休と紹介されていたが、勤務形態は仕事の種類や所属企業によってまちまちだということがまず分かった。
以下、彼の話を忘備録的にメモしておく。
- 会社には80人いたが、事故後、40人がやめていった。
- つき合っている女性がいるが、こうなるといつ自分も発病するか分からないし、将来、家族を守っていく自信がないので結婚は諦めた。
- 生命保険や医療保険、癌保険など、入れる保険には全部入っている。生命保険は、自分が死んでも、親が生命保険金を受け取れるならいいと思って入った。
- 事故後、給料が上がった。特別手当もつく。だから金はある。他に仕事が見つかるとも思えないので、会社を辞める気はない。こういう運命なのだと思う。
- 毎晩、いつ死んでも後悔しないようにと、みんなで飲みに繰り出す。酒量が増えて20kg太った。
- 事故後の3週間で自分の被曝量は積算4ミリシーベルトになった。20ミリシーベルトになると自動的に働けなくなる。
- そこまで被曝する前に、なんとか別の原発に異動してもらえればいいと思う。青森あたりがいいかな……と、なんとなく期待している。
- いとこが東電社員と入籍したが、直後に事故が起きて、式を挙げられない。その相手の社員とは、先日、免震棟のトイレで顔を合わせた。
……淡々と話す姿は、最近の若者共通の虚無感、諦観のようなものが漂っている。
彼はたまたま福島第一原発で働いているが、普通の仕事に就いている若者たちや学生たちにも、共通して強い諦めムードを感じる。
古い「出世モデル」に乗っかった大人は腐っていき、それ以外の大人は人生を諦め、流されるままに生きている。
村内に住むKさんは「体内被曝より恐ろしい脳内被曝」と言った。
//これはかなりの時間をかけて頭が冒される。
1 先ず地域を疲弊させる
2 飢えたところに中央願望心(自立心の削除)を醸成する
3 迷惑施設を国策として押しつけ、金を落とする
4 補助金なしでは生きてゆけない体質を育てる
//
5月5日付けの阿武隈日記を読んでの感想だそうだが、言い得て妙だ。
政治家、学者、大企業経営者たちは日本を売ることで腐った金を回そうとする。その意向にメディアや自治体が忠実に従って工作する。下々の者たちは胡散臭さや不正義を十分知りながら、それを跳ねのける力をつけようとしない。結果としてできあがる、夢のない国。
日本中が「脳内被曝」しているに違いない。