『てっぱん』は、『ちりとてちん』以来の良品だと思う。毎週泣かされる。歳取ると涙腺弱くてダメだわ。
まず、キャスティングが素晴らしい。真面目にオーディションをしたのだろう。日本のテレビ放送を代表するドラマなのだから、とことん真面目にオーディションして選ばなくちゃね。これからもずっとこうあってほしい。
脚本もよくできている。話がどんどん展開していき、飽きさせない。
そしていちばん感心するのが、これだけ明るく作っていながら鼻につかないこと。薄っぺらな演出で明るさを出すと鼻につくのだが、このドラマにはそういうところがない。
オープニングのダンスもそうで、振り付けをやったコンドルズの近藤良平氏は「本物」なのだろう。
ネットで検索していたら、
こんなブログを見つけた。
あのオープニングのダンスを見ていると「自分が純粋だった頃を思い出す」のだという。
この人は特に、若い男女が手を組んで回っている1コマが好きらしい。
経営コンサルタントという、世の中の汚さ、ずるさ、理不尽さ、残酷さを目一杯見なければいけない仕事にありながら、あの男女のダンスを見ると心が熱くなるとブログで告白している人がいる。すごいなあ。
このブログの主が、踊っている若い男女ではなく、振り付けをした近藤良平氏を誉めているところに注目したい。
一般視聴者の応募ビデオではないのではないかと内心思いながらも、そんなことはどうでもいいと言っている。計算された演出だとして、その演出を通して自分を熱くさせてくれる近藤良平の振り付けは本物だと言いたいのだろう。まさにその通り!
エンターテインメントの仕事というのは、そういうことなのだ。とことん計算して作るけれど、根っこが本物じゃないと感動は生まれない。押しつけがましくなく、でも、なによりも自分自身が楽しめなくては本物にはならない。
……うんうん。こうありたいものだと、改めて自分に言いきかせるのであった。
不思議な存在感の人たちがいっぱい出てくるあのオープニングは、なんとも言えない魅力を持っている。
その不可思議ワールドを生み出した近藤良平の名前は、なぜかタイトルバックに出てこないが、その代わり本人がいつも出ている。花屋の前で
「かつおぶし〜 かつおぶし〜 かつおぶし〜がワッサワッサ トントントン トントントン 陽気な陽気な私です」と踊っている人が近藤氏でありますね。