09/09/28

イモリ大量死の謎



前にも書いたが、ジョンの小屋から県道に出て行くまでの道沿いに、イモリの子が大量に死んでいる。
なぜこんな現象が……と、ずっと疑問に思っていたのだが、どうも答えが見えてきた気がする。

大きさが分かるように、ジョンの足をそばに置いてみた


こんなに小さい


切れ目なく続く縁石。これに阻まれて、イモリにとっては「死の谷」になっている

死体は、道路の縁(縁石……というか、長く続いている突起)に沿って点々とある。どうやら、移動中、この道路に出たイモリの子たちは、この縁石を上れないまま干からびて死んでしまうのではないだろうか、と思いあたった。
数メートルおきに隙間を空けておくとかすればまだしも、長い距離、この壁が切れ目なく道の両側にそびえ立っている。変態した直後のイモリにとっては、万里の長城のようなものなのだろう。
ほぼ垂直に立った壁を登れず、しかも、どこまで行っても切れ目がない。そのうちに力尽き、身体が乾き、死んでしまうのではないだろうか。
U字溝が多くの生物にとっては命を奪うトラップになってしまうことは知られているが、こうした道路の舗装の仕方にも問題があるということだ。
そもそもこの道は、舗装されていたのをわざわざ引っぺがして2年越しでこのように舗装し直した。まったく意味がない工事。
今年はこの先、もう人家がない部分を舗装していくそうで、その工事を落札したのは村外の業者だ。
多分、村内の土木業者へ仕事を与えるために作り出した工事だと思うが、落札したのが村外の業者であれば、お金は村から外に出て行くわけで、何をやっているんだかさっぱり分からない。
村の職員に工事の意味を訊いたところ、「しょっちゅう道が崩れるので、全部舗装したほうが、長い目で見れば金がかからない」という説明だったが、崩れる場所は大体決まっている。そこだけを集中的に補修、改修すれば済む話だ。
工事は「ふるさと林道工事」などと名付けられていたが、この林道が全部舗装されてしまうと、こうした野生生物がどんどん死んでいくことになるだろう。
舗装するにしても、野生生物への影響を最小限にする工夫や研究をすべきだ。
U字溝と縁石で固めてしまうと、上から流れる雨水を吸収する部分がなくなり、雨水は全部U字溝を伝って下に流れてくる。場合によっては、かえって水害を増やす。田畑にも、途中の吸水クッションがないまま、まとまった水が土砂と一緒に流れ込む。
保水という見地からは、部分的な破綻(崖崩れ、道の崩落など)がないように、うまく水の逃げ道を作りながら、崩れやすいところだけを改修し、水は極力、山全体、土地全体で吸収するように設計していくことが大切なのではないか。
千翁川の無粋な堰堤などを見ていても、そうした配慮、気配り、センスというものが感じられない。ただ金を使えば村の経済が回るということではないだろうに。結局は、作ってしまえばいい、お金が入れば(回れば)いいという心の荒廃が、最終的には村民の気持ちを貧しくさせていっている気がしてならない。
金の使い方に心がこもらないと、あらゆるのもの持続性や創造力が奪われ、つまらない土地になってしまう。
最近、そのことを深く考えるようになった。住んでいる人たちや行政に人間が、この「心」を持っている土地と、そうでない土地があるような気がするからだ。

09/09/29

火事

今日も曇り空。このところ朝が不調だ。毎晩嫌な夢を見る。
昨夜(というか今朝)は、てっちゃんとデュオをやるステージで、演奏しようと思ったらギターの弦が切れていたという夢。この手の夢はいつも見る。
正確には、弦が切れていたのではなく、糸巻きが根元から外れていて、それを直そうと舞台の上で四苦八苦しているという夢。聴衆は、まだかよ、という顔で黙って見ている。

……昨夜は、似たような窮屈な夢の中に鈴木康博(聖光学院の8年先輩)が出てきた。鈴木さんがどういう状況で出てきたかは忘れてしまったが、とにかく出てきた。
ステージがうまくいかない夢は、本当によく見る。車がうまく運転できず、コントロール不能になる夢と同じくらいの頻度で見る。

その夢で起きたのが8時くらいだったか。しょんしょんをして二度寝したら、もう11時。電話のベルで起こされた。
その後、パソコンを立ち上げてメールチェックしていたら、外で消防車のサイレンが鳴った。
しばらくしたら、村の防災メールで、近所で火事があったと知らせてきた。

夕方、ジョンのお散歩の際に、現場を探して行ってみた。
よく、散歩の折り返し点にしている家だった。つい昨日も、この家の前まで来て引き返した。
昨日の夕方には人気がなく、いつも停まっている車もなかったので、長期不在なのかと思った。
たまに庭で子供が遊んでいるのを見かけるが、誰の家という認識はなかった。
集まっていた近所の人たちの話で、顔見知りのFさんの、息子さん一家が住んでいる家だと、今日初めて知った。
見事なまでに焼け落ちていて、こうなると、中途半端に燃え残りがない分、後かたづけが楽だなとさえ思う。実際そうなのだが。
隣町に、中学のテニス部の試合で行っていたという子供が帰ってきたところだったようで、呆然としていた。
この子とはときどき散歩の途中ですれ違うことがあった。
「帰ってきたらこれじゃあ、呆然とするよなあ」
と声をかけたら、黙って小さく頷いた。
気の毒に。
「人生、いろいろあるから……」と言いかけて、いやあ、子供には言葉の真意が伝わらないだろうな、と思った。普段、子供とコミュニケーションしていないので、こういうときには特に困る。困ったあげく、とんちんかんな言葉を口にしていたりして、後ですごく後悔する羽目になる。
「頑張ってな」
とその子に声をかけて離れたが、ちょっと違うよなあ、と、歩きながら、すぐにまた後悔した。
日頃からいつも寂しそうにしている子だっただけに、これからが心配だ。今夜は祖父母の家に泊まるのだろうか。眠れないだろうなあ。
なんだか、火事の現場だけがすっぽりと日常の空気から抜け落ちた異空間のような感じがした。自分も含めて、そこにいた人たちの淡々とした様子。これはなんなんだろう。自分の家だったとしても、外から見れば同じ光景になるのだろうなあと思う。人の心の中にまでは入れない。気持ちも分からない。あたりまえだけれど、こういうのって残酷だ。都会の火事とはまた少し違うものを感じ、考えさせられた。

それにしても、留守宅での出火。原因が分からないと気持ちが悪い。

消防車の先にある、いつも見ている家が消えていた


家財道具の痕跡もない


素早い炊き出し?のおにぎりが哀れを誘う


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