09/03/17

雑木林の中の悪魔

明日から仕事で上京するので、その前に、大津辺山と黒佛木山にすでに建ってしまっているという風量調査タワーを確認しに、日没寸前に裏の山に向かった。

途中、こんな障害物に出くわしながら、ところどころ凍った山道を進む


日が落ちる寸前に、目的のものを見つけた


……これだな


この小さなものが風量計らしい
CEF社のやり口は、すでに全国各地から報告が入ってきているので、分かってきている。
自治体の首長も無視して、まずは地元の部落長に金の話をし、あるいは金を渡して籠絡する。
住民はすでに自治体が受け入れを決めた施設だと思いこみ、これは過疎化で困っているこの土地に金が落ちる絶好のチャンスだと飛びつく。
健康被害などが出始め、こんなはずではなかったと気づいたときには、もう小金をもらってしまった後なので何も言えない。
耐用年数17年が過ぎて、撤去しなければいけない頃には、事業者はつぶれているかもしれないし、存続していても撤去費用は知りませんと居直るだろう。そんな基本的なことも決めないまま、とにかく補助金という税金をもらい、この役に立たない巨大なゴミを、貴重な自然環境を破壊して建てようとする。
建ててしまえば業者や官僚たちの目的は達成される。後はどうなっても知らない。

下の写真は、敦賀港に陸揚げされている風車の部品(福井県Kさん撮影・提供)。羽根1枚がこれだけの大きさなのである。

敦賀新港に陸揚げされ、行き場所を探している?巨大風車の部品群


羽根1枚が写真の横幅に収まらない


組み立てると、風車の円直径は100mにもなる



この風車は内灘プラント用と書いてあるのだが、2500kwのものが28基分。内灘で増設を拒否したから余ってしまって行き場に困っているのか?
内灘町の議事録を検索していると、原発に反対している議員が「内灘町にウィンドファームを!」などと言って、積極誘致していたことが分かった。
これだからやっかいなのだ、風車詐欺問題は。
環境派を自認する人たちが、なんの検証もなくイメージだけでこういうものを誘致し、ますます石油を無駄遣いする。それだけでなく、自然破壊と住民への健康被害を押しつける。間違いに気づいたときは手遅れ。

こんなものを押しつけられた土地はたまったものではない。
特に、山は森林伐採を伴うので、一度受け入れたら元に戻すのに数十年から100年単位の時間がかかる。
巨大風車を受け入れた山がどうなるのかは、このブログの写真を見ればよく分かる。

白滝山の風車建設現場風景1   白滝山の風車建設現場風景2
この山口県白滝山は、写真を見る限り、杉などの人工林のようだが、大津辺山と黒佛木山の周辺は、川内村南部やいわき市北部に住む人たちにとっては貴重な水源地になっている雑木林の山なのだ。
ここがずたずたにされたら、沢は涸れ、井戸水が出なくなるなどの被害が出てくるだろう。もっと深刻な、予測不能な事態も起きるかもしれない。建てるほうはそんなことは何も考えていない。
すでに風車を建てられてしまった地域からの情報によれば、風況調査ポールの設置を許可した段階では、誰も何が起きるのか分かっていなかったという。そこからは、風力発電業者が先頭に立ち、国や自治体が後押しして、ありとあらゆる手を尽くして、とにかく風車を建てようとする。
例えば、部落の区長らを接待し、「意見書」という名目の書類に署名捺印させる。その「意見書」を、国の補助金申請や保安林指定解除に必要な「地元の同意書」として使う。実に巧妙な手口だ。
最初誘致に賛成していた人たちも、途中で「これはおかしい」「ちょっと待てよ」と思うが、手遅れ。国策事業だから、スタートしたら止められない。

風次第で発電と停電を繰り返す、まったくコントロール不能な巨大発電装置。耐用年数はわずか17年。日本の突風には合わず、設置後すぐに破損事故も起きている。耐用年数後の撤去費用も計上しないまま、強引に税金と企業からの広告協賛金(グリーン電力証書)をつぎ込んで、貴重な日本の自然を壊し、住民と動物たちに低周波被害を押しつけていく。

全国の「風車ファン」のかたがた、風力発電が「エコ」だと信じ切っているかたがたに心からお願いしたい。
この暴挙を後押しするような軽率な言動はやめてください、と。
「地球温暖化」も「二酸化炭素悪者説」も、頭のいい人たちが金儲けのために全世界的に仕組んだ情報コントロールなのだ。大切なのは、限りある化石資源を少しでも長く使うために節約すること。そこに尽きる。これ以上、こんなふざけた悪事を繰り返して石油を無駄遣いし、環境破壊を進めることは許されない。悪事の度合いからいっても、もっともタチが悪い。
水俣病も薬害エイズも、国が因果関係を認めたのは、さんざん人が死に、取り返しがつかなくなってからのことだ。悲劇を生み出した責任者たる官僚は、苦しんで死んでいった人たちと引き替えに、天下り先を増やし、巨額の退職金や給料をもらい、贅沢な老後を送っている。
国に騙される、情報コントロールにのせられるということは、こうした巨悪を許すだけでなく、助けていることなのだ。実害を及ぼす度合いにおいては、無関心な人たち以上に罪深い。

地球温暖化防止プロジェクトだの二酸化炭素排出権ビジネスだのというものは、貴重な石油資源を無駄遣いしているだけなのだ。もう、いい加減に気がついてほしい。エコビジネスの裏にいる悪魔の正体に。

山に風車を建ててはいけない
マリアの父親 第四回小説すばる新人賞受賞作

マリアの父親

(1992.01/集英社)……  「あまりにも早すぎた、地球への恋愛小説」と評された、たくき よしみつの小説。第四回「小説すばる新人賞」受賞作。
ミステリアスな美女・マリアと、彼女と行動を共にする天才・デンチ。二人と偶然知り合った主人公は、「地球の真相」を知る旅に出る……。
「久しぶりに志のある作品に出会った」と、選考委員の五木寛之氏も賞賛。

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