ジョンのお散歩がなくなったので、その時間を使って、先日ヤフオクで落札したミッション700LEというスピーカーを設置した。
急遽、デジタルオーディオに関する本を書くことになり、そのために仕事場に簡易的にオーディオ鑑賞環境を構築する必要が出てきたため。
ミッション700LE、通称「Leading Edge)は、イギリス製の小型スピーカーで、1980年くらいにヨーロッパのベストセラーになった製品。
ミュージックデザインの畑野さんが絶賛していて、たまたま秋葉原の某店頭に生産終了後の展示品が19800円で出ていたのを購入。
畑野さんがまだ「ミュージックデザイン」という屋号で個人商店をやっていたときの話だから、1980年代のことだったと思う。
当時日本の音楽スタジオには、たいていYAMAHAのNS10Mという小型モニタースピーカー(通称テンモニター)が置いてあって、「低音に比べて高音が出すぎる」という理由で、ツイーターにティッシュをかぶせたようなモデルをよく見た。うちにもレコードディレクターと物々交換したNS10Mがあって、それと比較してみたところ、700LEのほうが低域がゆったりと出て、自然な音の広がりを感じた。YAMAHAは音が堅くて、長く聴いていると疲れるのだ。
そこでモニターをミッション700LEに交換した。
その後、ある人からイギリスNAIMオーディオのNEIT2という小型のアンプをもらって、これを当時使っていたYAMAHAのプリメインアンプAX-900(1987年発売。当時の定価は79800円)と比較したところ、NEIT2のほうが透明感・開放感が感じられたので、これもYAMAHAと交換。それ以降、川崎のタヌパックスタジオのモニターシステムはずっとNAIM+MISSIONのコンビだった。
この組み合わせは小型のシステムとしては絶妙で、訪れた人(当然みんな音楽関係者)はみんな褒めてくれた。
タヌパック阿武隈では、そのときご用済みになったYAMAHAのプリメインアンプと10モニターが設置されている。
スタジオは壁も床も杉板張り、天井は極端な片流れで、音がライブすぎる。どのみちいい音にはならないので、スタジオのモニターセットはYAMAHAを交換するつもりはない。あそこにミッションを置くと、ただでさえ奔放に鳴る低音が暴れて収拾がつかなくなるだろうし、天井から吊したモニタースピーカーを交換する気力がない。
ミッション700LEはシリーズの初代機で、当時もあまり日本には入ってこなかった。確かオーディオテクニカが輸入していた。
その後、長岡のリサイクルショップで761という後継機が数千円で売られているのを見つけて購入。これは越後の8畳和室でYAMAHAと比べてみたところ、解像度が悪く、モニターとしてはどうかなという感じだったので、その後はずっとしまい込んでいた。
今回、700LEの「台」として、倉庫に入っていた761を持ち出してきて、ついでに700LEと聴き比べたのだが、差がよく分からなかった。違うことは違うのだけれど、どっちがいいのかと問われると返答に困る。
最終的には700LEにしたのだが、どうもこの700LE、コーンがへたっていて音に締まりがなくなっている気がする。
アンプもよくないのかも。上智の教室ライブ用に買ったBOSEの1750という小型パワーアンプで鳴らしているのだが、このアンプも大味であることに変わりはないので、細かなニュアンスとかは伝わりにくい。
BOSEのパワーアンプは小さくて便利。YAMAHAのプリメインアンプと比較したときは、あまり差が分からなかった。微妙にYAMAHAのほうが解像力があるかしら……という程度。
まあ、このへんの機器はすべてオーディオ趣味としてはローコスト製品に属するものだから、あんまりこだわってもしょうがない。
あとは、自分の聴力が、歳とともに落ちているのかもしれない。こればかりは若いときの聴力と比較のしようがないから、どうにも分からない。
ヤフオクで中古で購入したREX Link1という製品が届いた。これはUSBを使ったデジタル音楽信号の送受信機。USBポートにUSBメモリそっくりな送信機を差し、おもちゃみたいな小型の受信機で受ける。受信機側には光デジタルとアナログ出力兼用の端子があり、それを好きなオーディオアンプにつなげば、パソコン内のファイルをそのままオーディオ装置で再生できるというもの。
受信機までは無線だからケーブルいらず。しかも、信号は無圧縮のデジタル信号で送信されるので劣化なし。音の質は受信機側のDAコンバータで決まる。
これが、使ってみるとびっくりするような簡単さ。USBポートに差せば自動的に認識し、ドライバのインストールもいらない。音質も問題ない。これはデジタルオーディオ生活の決定打。
REX Linkは2号機になっていて、その上の高級バージョンREX Link EXというのもある。EXはメーカーに貸し出し依頼したので今日届くはずだったのだが、今日は来なかった。雪だからかな。
先に届いた1号機でも音質はまったく問題なし。ポータブルCDプレイヤーからの再生と、同じCDから抽出したWAVファイルの再生とで何度も聞き比べたが、差が分からない。
デジタル信号は同じだから、差が出るとしたら、CDプレイヤーとREX Linkの受信機側のDAコンバータの質の差によるものだが、この程度の装置だと分からないということだ。
長いこと音楽を聴く生活をしていなかったが、しばらくは1日1回は音楽を聴くことになりそうだ。回春効果がありそうな予感。
……とテストをしていたら、おばあさんから電話がかかってきて、ジョンがまだ戻らないという。2晩行方不明ということで、この低温と雪、それに鎖を引きずったままということで、これはもしや、もう死んじゃっているのではと心配になる。
自転車で気合いを入れて捜索開始。
いつもの散歩コースを中心に二回回ったが見つからない。
遠くへ行ったかもしれないと思い、裏山の間を抜けていく林道を車でゆっくりと走る。寒いけれど両側の窓全開で、「じょ~~ん!」と大声で呼びながらの捜索。
午後2時半くらいから暗くなり始めるまで探したが見つからない。