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 たくき よしみつの 『ちゃんと見てるよ リターンズ』2022

 (週刊テレビライフ連載 過去のコラムデータベース)

 2022年執筆分

日付は執筆日です

2021/11/28

効率のよいBSよしもと録画ガイド

 2020年から突然始まったトンデモな世界も早3年が経ってしまった。世界は少しずつまともな方向を向こうとしているようにも見えるが、日本は未だにおかしなまま。そんな時代のテレビは、危ない誘導を避けて、毒にも薬にもならないけれど、ストレス軽減にはなるお笑い番組あたりを淡々と視聴するに限る……かな。
 以前、BSよしもとのことを書いたが、その後、録画して損はなかったと思える確率が高い番組枠が分かってきたのでいくつかご紹介したい。
 よしもと芸人冠番組の中で一推しなのは『かまいたちの掟』。島根と鳥取を放送エリアとする「さんいん中央テレビ」の制作だが、かまいたちのよさが自然体のままいい方向に出ていて、地上波キー局やよしもと制作の番組よりはるかに楽しめる。
『ニューヨーク・蛙亭のキット、くる!!』も毎回録画している。地上波に出てこない新人・旧人(埋もれたベテラン芸人)が、所属事務所に関係なく登場して「アタリ」も多い。
「よしもとプレミアムアワー」と題した枠では、懐かしい『花王名人劇場』など、60年代から80年代くらいの画質・音質の粗い映像を躊躇なくノーカットで出してきて面白い。特に桂三枝(現・文枝)の若い頃の創作落語などは今見ても唸るクオリティで凄さを再認識させられる。
 吉本芸人が出演しているマイナーな映画を集めた「よしもとMOVIES」というコーナーも、玉石混淆だが、秀作が紛れている。ジャルジャルのシリアスな演技なども見られて、ああ、あの2人はやっぱり演技がうまいんだ、などと楽しめる。
 無料放送なんだから、録画しまくって賢く活用しましょうや。

2022/01/07

恒例?年末年始お笑い特番通信簿

 オミクロンなどという聞き慣れないギリシャ文字が連呼される2022年の年明け。そういう話題は身体に悪いので、ここで軽~く、恒例(?)の年末年始お笑い番組通信簿を……。
 ザックリ評すれば「投げやり無責任粗製お粗末番組」が目立った。
『THE W』(日本テレビ系)は、決勝までの選考がおかしい上に、あまりにもひどい採点にネットが炎上するという滅茶苦茶ぶり。審査員の中には「目立ってダメな芸人」に入れてウケを狙ったのではないかと思うような者が複数いた。あれでは実力もなく優勝した芸人が可哀想だ。
 その点、今年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)は、優勝決定戦に残った3組はどこが優勝してもおかしくない出来で順当だった。
 過去には面白さ抜群だったのに去年あたりから急激につまらなくなってガッカリさせられたのが『爆笑問題の検索ちゃんネタ祭り』(テレビ朝日系)と『おもしろ荘』(日本テレビ系)。特に『おもしろ荘』の堕落ぶりはひどい。過去には優秀な新人を発掘し、世に出してきた登竜門的番組だったのに、スタッフ総入れ替えでもあったのか? 『THE W』の壊滅的なひどさといい、日テレ系お笑い番組のセンスはひどすぎる。
 そんななか、最も満足させてくれたのが『冗談騎士 年またぎスペシャル 冗?1グランプリ2021』(BSフジ)。今回は金の国、スクールゾーン、ゼンモンキー、そいつどいつ、なすなかにし、ネルソンズ&世間知らズというメンツが予選を勝ち抜いてきたが、どれも見応えのある新作を作り込んできていて見応え(笑い応え?)があった。BSでのお笑い芸人育成は重要だね。

2022/01/20


『カムカム~』は『ちりとてちん』以上か?

 昨年末の当コラムで、NHKの朝ドラ『カムカムエブリバディ』は『ちりとてちん』並みの名作になるかもしれないと書いた。今は2代目「るい」編になっているが、予想通り、どんどん面白くなっている。
 『ちりとてちん』は2007年~2008年の放送なので14年前。最終回で赤ん坊が生まれるシーンでは泣いてしまったのだが、『カムカム~』ではジョーがクリーニング屋夫婦のもとに出向き「サッチモちゃん(るい)をぼくにください」と切り出す回(1月19日)で早くも泣いてしまった。もともと緩い涙腺が、老人になってダダ漏れ状態になっていることもあるが、脚本のうまさに加えて、役者陣の細かな表情作りなどがうまいのだよなあ。このまま最終回までダレずに行ってほしいものだ。
 ちなみに『カムカム~』は最近の朝ドラの中でも視聴率が低いというが、ドラマの人気は視聴率とは結びつかない。いいドラマはしっかり見たいのでみんな録画して見るからだ。視聴率は、リアルタイムで視聴している人の数を知りたいスポンサーには意味のある数字かもしれないが、それもNHKには関係ない。
 朝ドラは他のドラマとは違って、あれをするな、それは困るといった「NHKならではの制約」も多いだろうが、逆に、豪華な配役やセットなど、NHKにしかできないこともある。
 私は長年狛犬の研究をしているが、大作、名品は石工の才能と技術だけでは生まれず、施主である旦那衆の援助と理解が必須である。朝ドラの「施主」がNHKの上層部だとすれば、どうか石工にあたる制作陣を縛ることなく、自由に、伸び伸びと作品作りをさせてやってほしい。
 

2022/02/03

意味のないフェイスシールドはやめよ

 今年に入ってから世界ではオミクロン株なる変異種が広まり、日本でも検査すればするほど陽性者(必ずしも「感染者」ではない)が増えていく状況になっている。芸能人が「感染した」(正確には「PCR検査したら陽性だった」)という報道もあふれかえっていて、もはや誰もいちいち驚かない。
 テレビ番組の収録も大変だと思うが、意味のないフェイスシールドを着けさせられている映像がいまだに多いことに腹が立つ。あれがまったく意味がないということはとっくに証明されているのに。鼻と口を塞ぎたいならマスクをすればいいし、それでは絵にならないと思えば何も着けない。この2択しかない。
 ドッキリ番組の屋外撮影でターゲットがフェイスシールドをしている映像に至っては、アホらしすぎて怒る気にもなれない。「隠れて撮影していますので、マスクではなくこれを着けてください」と言っているに等しいのだから。「ああ、ドッキリか。驚いた顔をしっかり見せないといけないわけだな」と分かった上で仕掛けに向かって歩かせられるタレントも気の毒だ。
 スタジオで横一列に並ばせたタレントの間に言い訳のようなアクリル板を置くのも同様だ。息や飛沫を浴びないようにというなら、席を離したほうがまだマシだし、スタジオに入る全員に抗原検査をして陰性を確認するとかすればいい。
 そして何よりも、ウイルスを体内に入れても発病しないように、タレントに十分な睡眠と休養を与えることだ。お笑い番組が増えて、人気芸人はみんな過労状態。免疫力を落とさないことが最も重要なのだよ。
 

2022/02/20

北京五輪中継に感じる一時代の終末感

 コロナ死者数が毎日増えていく中で見ていた北京五輪中継。どんな状況にあっても目標に向かって集中し、超人的な能力を発揮する選手たちの姿には心を揺さぶられる。
 と同時に、大会の政治利用、疑惑の判定(男子スノーボードハーフパイプ、スピードスケートショートトラック混合団体リレー、スピードスケート男子など数えきれず)、理不尽な失格(スキージャンプ混合団体、女子スノーボードパラレルなど)、ドーピング問題(女子フィギュアスケートシングル)といった嫌なシーンを連日のように見せられた。
 今のオリンピックが問題を抱えすぎて末期症状に陥っていることは、2020東京大会のゴタゴタを嫌というほど見せられてきて、ほとんどの人が感じている。しかし、日本のテレビはトラブルや事件が起きても極力見て見ぬ振りをして「事なかれ主義」に徹して実況・解説する。偏った報道は論外だが、おかしな点に目をつぶり、問題の所在そのものをうやむやにするような姿勢は「公正・公平」とは違う。起きていることをありのままに見せる、伝えることがテレビの使命ではないのか。そこから先は視聴者が各々考え、感じればいい。
 あえてこんなことを言うのは、今のテレビは、バラエティからニュース報道まで、ある種の異常な忖度が蔓延しているからだ。全国の医師たちが次々と「有志医師の会」を立ち上げて国の政策に反対している状況をテレビは伝えない。この異様な姿勢を「日本のメダル獲得数」を繰り返すばかりで負の部分に触れようとしない五輪報道にも感じる。選手たちの真摯な姿とは別に、いいようのない「終末感」を感じてしまうのだ。

2022/03/05

ウクライナ関連報道に明け暮れる日々

 2月24日、ロシア軍がウクライナへの攻撃を開始し、日本のテレビでも連日その関連報道が続いている。
 今回のロシア軍による軍事侵攻はあまりにも前時代的なもので、世界中が驚いているのだが、特に日本人はヨーロッパにおける近現代史に疎いので、単に「プーチンはおかしくなったのか?」「戦争反対!」といった反応になりがちだ。しかし、まずはひとつひとつ基本的な知識を得ていく努力から始めたい。例えばウクライナはヨーロッパの中ではロシアに次いで面積が大きい国だということを知っている人は少ない。一大穀倉地帯なのだが、スターリン時代の1932~33年には、収穫した穀物は外貨獲得手段として輸出に回され「人工的飢饉(ホロドモール)」により大量の餓死者が出た。
 第二次大戦でも最大の被害を出した地域だ。それも、戦場で戦死したとか、爆撃で市民が巻き添えになったというだけでなく、大量虐殺や同胞間の分断といったやりきれない悲劇。1991年、ソ連崩壊に伴い何度目かの独立を果たしたが、その時期のヨーロッパでは、スロベニア、クロアチア、ボスニア、コソボ…と、紛争が続き、市民の虐殺も起きた。
 日本では「戦争」というものを他国での「災害」のようにとらえがちだが、背景にある複雑怪奇な要因や、スイッチの入れ間違いによる民衆の暴走といった構図にまで考えを及ぼさないと何も見えてこない。
 現代ではネットで個人が現地からの情報を生で発信でき、何が起きているかをかなり正確に知ることはできるが、背景にあるものが複雑怪奇で見えてこない。無力感と「終末感」が強まるばかり。ふうう……。

2022/03/19


「タモリステーション特別編」の真実?

 3月18日に「緊急生放送」と銘打って放送された「タモリステーション 欧州とロシアの狭間で ウクライナ戦争の真実」。タモリが冒頭と最後にあたりさわりのない挨拶をしただけで、番組中一言も発せず、蝋人形のように座り続けたことが話題になった。その真意とは?
 冒頭で進行役の大下容子アナが「タモリステーションという場をお借りして」「本来別のラインアップも用意されていたと思いますが…」と切りだしたことがヒントだろう。
「タモリステーション」という番組は、テレ朝の看板番組である「ミュージックステーション」(タモリが司会)と「報道ステーション」から派生した特別番組という位置づけで、今年1月28日に「二刀流 大谷翔平の軌跡」と題して第1回が送された。そのときのタモリはいつものように饒舌に会話に絡み、楽しそうに番組を進めていたが、今回は微動だにせず無言を貫いたのだ。そこには、自分の名前だけ利用されたことへの抗議と、複雑な政治問題に口を出すことはエンターテイナーとして拒否する、という姿勢が込められていたのではないだろうか。
 番組はテレ朝のアナウンサー2人と「報道ステーション」の大越健介キャスター、ゲスト解説者2人によって進められたが、今回の紛争の元になっている「ミンスク合意(議定書)」や2014年のウクライナ紛争(マイダンデモの暴徒化事件)についての説明がほとんどないなど、かなり問題の多い内容だった。タモリはそうした「番組の意図」と自分のテレビ人としての姿勢をしっかり切り離したかったのだろう。タモリのすごさを改めて感じた時間だった。

2022/04/08

「カムカム~」は脚本の勝利

 NHKの朝ドラ『カムカムエブリバディ』の最終週は連日大変な話題になった。月曜日はいきなり最終回を予告するようなシーンから始まった。るいもジョーも老けメイクしている。二人が引き継いだらしいカフェの壁には前店主父子らしき写真が飾られている。この「先取り」シーンは、るいの「ジョーさん。朝ドラの時間やで」という台詞で終わるが、もしかして『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ばりのSF風の終わらせ方をする気なのか? と、この時点で視聴者がざわつき始めた。
 ネットでは「これは脚本家が視聴者に突きつけた挑戦状だ。ラストではすごい大どんでん返しがあるぞ」とか「私は今週毎朝泣くから、お化粧を直す時間をみておかないと」とか、盛りあがりまくった。
 しかし、翌火曜日のアニーがラジオの生放送で正体を明かすという「放送事故」回、水曜日の安子が関空から岡山にワープして、70代の老人が延々走って逃げるという「岡山マラソン」回はツッコミの嵐。しかし、その騒ぎがさめやらぬまま木曜日はついに大団円で日本中が泣くという朝ドラ史上に残る「神回」に。
 安子、るい、ひなたが全員突然英語をペラペラしゃべり始めるとか、ジョーのヒモぶりとか、甘すぎる時代考証とか、今まで違和感はいっぱいあったものの、最終的には脚本家の完全勝利だね。今後も、朝ドラはストーリー性重視でいってほしい。
 最終回が2025年という設定は、あっと言わせる「仕掛け」のためだけでなく、「3年後、私にまた朝ドラを書かせてほしい」という脚本家からNHKへのメッセージも込められていたのかもしれない。視聴者もそれを望んでいると思うよ。

2022/04/18


テレビは芸人たちにもっと敬意を払え

 共同通信社の世論調査(4月16・17日実施)によれば、「日本経済や暮らしに影響が広がったとしてもロシアへの経済制裁を続けるべき」という回答が73.7%、「続ける必要はない」が22.1%だったそうだ。メディアのプロパガンダ効果というのはすごいのだなと、改めて戦慄する。
 この秋以降、日本は大変な食糧危機とスタグフレーションに苦しむだろう。そんな暗いご時世を生き抜くのに力を貸してくれるのが才能を持ったお笑い芸人たちだ。しかし、彼らに力を発揮させる番組が少なく、消耗させるような番組ばかり。空気階段や蛙亭などは消耗が心配だ。
 最近になってしっかり「本芸」(ネタといういい方は好きじゃない)を披露させる番組も出てきた。代表は「ザ・ベストワン」(TBS)だろう。出演者の人選も適確だし、テレビでは本芸をやらせてもらえない若手や新人にもチャンスを与えるという配慮も見える。「これでいいんだよ!」と、声を大にして言いたい。
 この手の番組は、なぜか軌道に乗ったあたりで変な演出が目立つようになり、つまらくなって消えていくことが多い。以前、当コラムで絶賛した「お笑い実力刃」(テレ朝系)は、突然「投稿!ツッコメCLUB」というバカ企画が続くようになり、見るのをやめた。その後、迷走を続けながら少し建て直した感もあるが、4月からの衣装替えで「正常化」できるのか。「NETAMI」(日テレ系)なども、正常復活してほしい。
 今の日本が世界に誇れる数少ないものが「お笑い文化」である。テレビはその自覚を持って、芸人たちにもっと敬意を払い、この「文化」を育てていってほしい。

2022/04/27

戦争の最初の被害者は「真実」である

 NHKがBS1で放送している『ワールドニュース』という番組がある。「日本で流れるニュースがアメリカやフランス、ロシアや中国ではどのように伝えられているのか。現地のオンエアから最短で30分の時差で、日本語通訳付きで伝えます」(NHKによる紹介文)というものだが、過去の放送記録を確認すると、それまでは毎日放送されていた「ロシアTV」のニュースが、今年の3月12日を最後にすっかり消えていた。
 今こそ私たちは、ロシアの人たちが毎日どんな報道に接しているのかを知るべきだろう。これだけプロパガンダやフェイク報道が入り乱れている今、視点を複数持って情報に接することが必要だからだ。
 戦時中、日本は英語を「敵性語」として一切禁止した。アメリカは逆に、若者に積極的に日本語を学ばせ、日本からの情報を収集した。
 現在のウクライナ紛争は2014年のマイダン革命と呼ばれるクーデター以後、ウクライナ軍が自国の東部、ドンバス地方を砲撃開始したときから続いている。そのときのロシアのニュース報道は、ドンバス地域の一般市民が自国の軍隊から無差別爆撃を受け、生活を破壊されていることを伝えていた。NHKワールドニュースでも、その映像はそのまま日本語通訳付きで見ることができた。当時のヌーランド米国国務次官補と米国駐ウクライナ大使との電話が盗聴され流出した事件も放送されていた。
 現在の報道規制は日本だけではないようで、カナダ在住の映像作家がこう嘆いていた。
「あらゆる報道は多かれ少なかれプロパガンダだ。戦争の最初の犠牲者は『真実(truth)』である」

2022/05/16

NHKドラマの底力「海の見える理髪店」

 NHKがBSプレミアムで放送した『海の見える理髪店』。柄本明主演ということで「もしかしたら面白いかも」と駄目元で録画したのだが、いい意味で裏切られた。
 原作は短編小説で、今回初めて知ったのだが、著者の荻原浩氏は私と同年代で、私と同じ新人賞を私の6年後に受賞していた。
 原作は読んでいないのだが、とにかくドラマの作りは良質だった。
 海辺にポツンと建つ理髪店を遠方から青年がわざわざ予約して訪ねてくる、というシーンから始まる。最初のほうでなんとなく老店主と客の青年の関係性が見えてくるのだが、随所にていねいな伏線描写がある。
 主演の柄本明の演技も、地味ながらしっかりしていて、撮影に入る前の準備段階から実際の理容師に手ほどきを受けて鋏やカミソリの扱いを練習していたそうだ。
 過去の自分を演じる際の「若返りメイク」も、CGを使っているのかなと思うような出来。舞台となる理髪店は廃屋を美術スタッフが化粧直ししたそうだが、必要最小限の外観リフォームがいい感じだった。
 地味な題材のドラマでもふんだんに現代の技術や、役者、スタッフの経験を投入することで、見応えのある作品に仕上がるという好例だろう。今の朝ドラの軽薄さとは大違いだ。
 主演の柄本さんには、38年前に本誌の記事を書くためにインタビューしたことがある。「笑いをとる、なんて考えてやってたら下品で見てらんないよね」「そこへいくと志村けんさんは凄い。天才だ」などと仰っていたことを懐かしく思い出した。
 柄本さんが演じる良質のドラマを、あと何作見られるだろうか。

2022/05/30

新機軸アイデアを生み出せないテレビ

 最近のバラエティ番組はアイデアが枯渇して粗製濫造ぶりがひどい。制作陣には「もっと頭を使って新機軸を考え出せよ。おまえらそれでもプロか」と言いたくなる。
 例えば、5月23日に放送した『バカ桁TV』(テレ朝とABEMAの共同制作)では、まったく同じ味の料理を形を変えて食レポさせ続けたらどうなるかという実験企画が面白かった。1軒目はホワイトシチュー、2軒目クリームパスタ、3軒目お好み焼き、4軒目カレーライスと続くのだが、実はまったく同じホワイトクリームソースを固めたり着色したりしているだけで味は同じ。それをどのように言葉を変えて食レポするのか観察するというもので、これは今まで見たことがないアイデアで秀逸だった。
 しかし、感心していたのはそこまでで、同じ番組内で、強烈に臭いにおいを嗅がせて起こす寝起きドッキリを連続してやるという、質の悪いドッキリの見本みたいなものも出てきてガッカリ。視聴者はそういうのを面白がると決めつけている制作者側の品位のなさが不快だ。
『水曜日のダウンタウン』(TBS系)も同様で、「10から1へのカウントダウン 7を「しち」と言う人 マジで0人説」などの「0人説」シリーズなどは名作?が多いが、「〇〇10秒に1粒なら永遠に食える説」とか、密室に閉じ込めて課題をクリアしないと出られないなどの、ほとんど拷問系シリーズは不快なだけだ。
 今の時代、みんなストレスを抱えている。人の苦しみを見てストレス解消するような人が増えていったらこの国はもう終わりだよ。芸人はどう粗雑に扱ってもいいという風潮も、いい加減改めなさいね。
 

2022/06/13

BSよしもとに「伸びしろ」はあるか?

 先日、ある地方新聞の取材を受けたことで掲載紙が送られてきたのだが、テレビ番組欄の主役はBSで、地上波は脇に追いやられていた。地方では地上波(UHF)電波が入りづらい場所がかなりあるし、入ったとしてもキー局の番組を遅れて放送したりするケースが多いので、全国共通のBSのほうがありがたいのかな、と思ったりした(知らんけど)。
 で、そのBSに今年3月からBSよしもとという新しいチャンネルが登場した。名前の通り吉本興業の芸人が多数出てくるバラエティ専門チャンネルだが、残念なことにちゃんとネタを見せる番組はほとんどない。テレビにはあまり呼ばれないけれど才能ある若手などをじゃんじゃん出せばいいのに、地上波番組の悪いところを真似ているのが情けない。
 それでも『かまいたちの掟』などは、地上波番組のようなしょーもない演出があまりなく、二人が気楽にやっている感じが独特の面白さを出していて、一応毎回録画している。これは吉本の制作ではなく、島根と鳥取を放送エリアとする「さんいん中央テレビ」の制作らしい。ロケ番組はやはり地方局制作のほうが面白いという好例か。『U字工事の旅!発見』(栃木テレビ)とかも、なんてことないゆるい感じがいいしね。
 それにしても、全国放送のハイビジョンチャンネルをまるまる一つ持っているのだから、もっと頑張ってほしいよね。吉本の宝といえる千原ジュニアや空気階段・水川かたまりなどの知恵者からアイデアを出してもらうとかすればいいのに。
 さて、BSよしもとはこれから面白くなるのか、それともダラダラとこの調子を続けるのか? う~みゅ

2022/06/27

テレ東とNHK、ロケでの地元対応の違い

 テレ東の人気番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』を見ていると、撮影隊が進むルートを予測して、道沿いや立ち寄りそうな場所に多くの地元の人たちが集まって待機しているシーンがよく出る。
 これはSNSでロケ地の住民にあっという間に情報が伝わっていくために起きる現象で、かつては考えられなかった。番組ではそうした野次馬観衆を排除することなく、集まった人たちと出川やゲストらが記念撮影するシーンなども積極的に取り入れて編集している。
 これを見ていてふと思ったのは、同じようなロケ番組でも、NHKではこうしたシーンがまず出てこないことだ。有名タレントが歩いてロケしている番組などでは、すぐに人が集まってきそうなものだが、画面に野次馬が映り込むことは滅多にない。つまり、あらかじめその場所に人が集まらないように徹底的に「管理」しているのだろう。
 と考えると、『充電~』のような番組のほうがヤラセや事前の演出が少ないということなのだろう。実際、ホテルを何軒回っても満室で夜中の1時半になってしまったり、銭湯だと思って訪ねていったら何かの工場だったり、営業時間外で店に入れなかったりということが普通にある。
 その構造を理解すると、NHK的な「管理された触れ合い旅」はますます白けて見える。台本にビッシリ台詞が書き込まれていて、事前にリハーサルまでやらされるロケなんて、見ていて面白いはずがないものね。
 でも、テレ東も最近では「これは仕込みだな」と思えるようなシーンが目立つようになった。初心を忘れないでやってほしいな。

2022/07/07

選挙特番は投票日前にやりなさいよ

 この原稿を書いているのは7月7日で、参院選の投票日前である。本誌が出るときにはもう結果が出ているわけだが、今回ほど投票意欲を削がれた選挙はなかった。
 コロナ騒動やウクライナ紛争(というよりも、ロシアへの制裁問題)が世界に及ぼした危機的状況といった大問題に対してしっかり振り返り、日本の対応が正しかったのかを争点としている既存政党がほとんどなかったからだ
 本来ならそうした論点に斬り込んで政党代表や候補者たちから意見を聞き出す役割をテレビは担わなければならないと思うが、テレビが選挙特番を組むのは開票が始まってからだ。投票が終わってからの特番では文字通り「後の祭り」でしょうが。
 さらに言うなら、選挙前になるとどのテレビ局も「公平中立」を意識しすぎて、気の抜けたビールのような(死語かな?)報道しかしない。特定の候補者や政党を露出させないようにするというなら、候補者以外の学者や文化人などが特定のテーマに対する意見や分析を述べる形の「選挙特番」があってもいい。今の日本はこういう危機に直面していて、それに対してはこういう施策が必要だという情報を分かりやすく伝えようとする人たちの姿を見て、それなら○○党に投票しようか、と考える視聴者が増えるような特番だ。
 テレビは「投票に行きましょう」と呼びかけるが、その前に「今直面している危機を真剣に考えましょう」「このままでいいんですか?」と呼びかけて、問題の本質を真剣に考えさせることが先なのだ。そうした行動が取れないテレビは、投票に行かない国民と同じではないのか。
 

2022/07/25

新機軸の落語番組はなぜできない?

 個人的な話だが、昨年は長くおつきあいのあった先輩がたが次々に亡くなって寂しい年だった。3月にアニメーターの大塚康生さん、5月に作詞家の伊藤アキラさん、そして年末には三遊亭円丈師匠までも……。
 円丈師匠とは10歳違いで、主に狛犬関係の交友だったが、「悲しみの大須」などの作品に「赤ペン添削」を頼まれたり、師匠が55歳、私が45歳のとき(22年前)には、師匠から「二人合わせてちょうど100歳だし、共同事務所を立ち上げませんか?」と誘われたこともある。
 東京かわら版という演芸専門誌が最近「闘う落語家三遊亭円丈」という特集を組んだので購入してみたら、思いのほか中身が濃くて驚いた。
 で、テレビがお笑い番組、お笑い芸人に溢れていて、過剰供給に喘いでいるのに、落語はNHKでたまに演目を流すだけの「普通の番組」があるだけで、全然進歩がないなぁと思いあたった。漫才やコントなどの芸人には「普通の」ネタをやらせてやれよと常々思うのだが、落語はそれではダメだろう。大昔のことだが、春風亭昇太と立川志らくが組んで、漫才をしていたのを見た。毒舌言いまくりの志らくを昇太が必死で止めるというツービート風スタイル。あれは時代を先取りしていた。
 落語界にも埋もれた才能を発掘する意欲的な「落語番組」があってもいい。手始めに、新作落語の演者を集めて、円丈落語と自作新作を並べて演じ、「アフター円丈時代」の新作キングを探し出す企画とかはどうだろう。一門に関係なく、円丈を慕う若手が同じ土俵で競い合う。最後に喬太郎や昇太がダメ出しして模範演目をやる。そういうのが見たい。
 

2022/08/04

日本吃音協会の「抗議事件」に思う

 NPO法人「日本吃音協会」が7月6日放送の「水曜日のダウンタウン」(TBS)の内容について抗議文を送ったと発表したことで、ネット上で「逆炎上」現象が起きた。
 問題にされたのは「説教中の『帰れ!』額面通り受け取るわけにはいかない説」という企画で、チャンス大城が仲のよい後輩芸人・インタレスティングたけしと食事中にわざと怒り出し「もう帰れおまえ!」と告げるが、怒られたインたけは訳が分からずあたふたし、なかなか帰ろうとしない、という場面。これを吃音協会は「吃音者に対する差別と偏見を助長するものであり、再発防止と番組制作の基準・指針の見直しを要求する」と抗議した、と公表した。
 この番組を私も見ていたが、インたけが吃音だということなどまったく気にならなかった。慕っている先輩から訳の分からないいちゃもんを付けられてアワアワしている図が可哀想で、大城も演技しながら心を痛めているのが伝わってきて、この二人は本当に仲がいい先輩後輩なんだなあと思って見ていた。
 案の定、吃音協会には「無分別な抗議活動によって、障害を持つ芸人はテレビに出られなくなる。むしろ差別を助長する愚行だ」といった抗議が殺到した。まったくその通り。
 拙著『マイルド・サバイバー』のあとがきに錦鯉の「町の治安を守る」というネタを引用した。「あ! セーラー服を着た爺さんがいる!」と騒ぐ長谷川に、渡辺が「それは別にいいだろ。そういう人もいるだろ」と諫めるシーン。この「そういう人もいるだろ」の精神こそ大切だと。
 お笑いに学ぶこともできないような息苦しい社会にしてはいけない。

2022/08/23

ドラマ『空白を満たしなさい』の意味

 少し前の放送だが、NHK土曜ドラマ『空白を満たしなさい』は大変な力作だった。最初はサイコパスが出てくる重苦しいミステリーかと思ったのだが、そうではなかった。
 原作となった平野啓一郎の小説は、2011年から2012年にかけて漫画雑誌「モーニング」に連載されたものだという。10年前といえば、東日本大震災と原発爆発によって、放射能の危険性、家族のあり方などをめぐり、人々の「生き方」が分断され、混迷を深めていた時期だった。
 10年経った今、新型コロナパンデミック(あるいは「インフォデミック」)やウクライナ紛争を巡って、再び社会は分断され、混迷を深め、底が見えない虚無感に包まれている。終末感漂うこの時期にこうしたドラマが放送されたことは意義深い。
 私は原作を読んでいないのだが、原作では自殺している登場人物がドラマでは死にきれず包帯ぐるぐる巻きになって一人自宅に戻っていたりする不自然な再構成も見られた。これは「自殺防止」というコンプラを意識しすぎたあまりのことだろう。
 そうした制作現場での「混迷」も含めて、視聴者はこのドラマのテーマ(原作者の平野氏は「分人主義」と呼んでいるらしい)や意義を様々に解釈することになるのだろう。
 アジア発のドラマはこのところずっと韓国に負けている気がしていたが、このドラマなどはそのまま世界に出しても高く評価されるはずだ。
 ただ、ここまで閉塞感が強くなってくると、テレビドラマにはもっと軽い、知的な笑いやユーモア、風刺を取り入れたものを求めたいなぁ。その手の質の高い作品も、NHKドラマ班なら「やればできる!?」

2022/09/06

長時間ロケ旅番組とマスク問題

 太川陽介がやっている「ローカル路線バス乗り継ぎ対決」番組をはじめ、テレ東にはタレントや番組スタッフが長時間ロケ旅をする番組がいろいろある。『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』『千原ジュニアのタクシー乗り継ぎ旅』。どれも長尺になることが多いのだが、なんとなく最後まで見てしまう不思議な中毒性がある。
 太川陽介には若いとき本誌の人物紹介記事でインタビューしたことがある。1984年5月というメモがあるので1959年1月生まれの太川は25歳のときだ(今は63歳なんだね)。
 性格のいい青年だけれど、個性や芸が弱く、芸能界を生き延びるのは難しいんじゃないかと思ったが、還暦を超えて面白い「居場所」を見つけたものだ。ただ、番組にヤラセ疑惑などがよく浮上して、難しい時期に来ている感じではある。それに比べて出川の電動バイク旅はヤラセ感が少なく、気楽に見ていられる。
 また、どの番組でも共通して気になるのが「マスク問題」。外でバイクに乗っているのに意味のないフェイスマスクさせられたり、出会った一般人に番組側がマスクをさせたりする映像を見ていると「日本がいつまで経ってもマスクの呪縛から解き放たれないのはテレビのせいでもあるんだよ」と言いたくなる。スタジオ内ではノーマスク、外ではマスク。芸人が漫才やコントをしているときはノーマスク、ネタが終わって離れたMCとやりとりする段になると突然マスク。もう滅茶苦茶。いい加減にしようよ。小さい子がマスクしたまま外で遊んでいるのを見たりするたびに心が痛む。この子は人の顔や口元を見ないまま育つんだなあ、と。

2022/09/21


チューナーレスTVと録画用チューナー

 テレビ誌でこんなことを書くのは御法度かもしれないが、最近、チューナーレステレビが売れているそうだ。Amazonで調べてみたら、24型が2万円前後、32型が2万円台半ばくらいからある。しかし、ダブルチューナー搭載の32型テレビが2万円前後からあるので、チューナーレスだから安いということでもない。単体では地上波、BS、CSテレビ放送は受信できないので「ネット動画やゲームにしか使いません宣言」という意味合いしかない。
 一方、私は地上波・BSトリプルチューナー搭載(同時2番組録画しながらさらに別番組を視聴できる)大画面テレビで録画した番組ばかり見ている。夜の時間帯などは2番組同時録画では足りないことがあるので、トリプルチューナー単体製品(チューナーのみの小さな箱。外付けHDDやSSDに録画可能)もつないでいる。
 テレビ中毒と笑われても仕方がないが、この「6チューナー体制」は、むしろテレビをダラダラと見ないための工夫なのだ。録画したものしか見ないため、CMはすべてスキップする。マラソンなどのスポーツ中継でさえ録画して、スタートから30分以上経過してから「追っかけ再生」でCMをすべてスキップしながら観戦する。リアルタイム視聴するのは災害時の天気情報くらいだろうか。
 録画すると、結局見ないままどんどん溜まるだけだからやらない、という人がいるが、冒頭だけ見て、つまらないと判断すればその場ですぐに消去すればいいだけだ。逆に重要な情報や確認したい場面は何度でも繰り返し再生する。単体チューナーはパソコンのモニターなどにもつなげられるのでお勧めだ。

2022/09/30


『トゲトゲ』はやっぱり生き残ったね

 以前このコラムで『空気階段の空気観察』とぺこぱの『ぺこぱポジティブNEWS』を比較して、番組制作スタッフの熱意と知恵が違いすぎて空気階段が気の毒だ、というようなことを書いた。どちらもテレ朝の「バラバラ大作戦」と題した深夜のバラエティ番組枠に組み込まれていたが、案の定『ぺこぱ~』は放送開始後半年で放送時間帯が繰り上がる出世(?)を果たしたが、『空気階段の~』はこの9月に終了となった。
 視聴者は正直だなぁと思う。空気階段にとってはあの番組が早く終わったことはよかったんじゃないかな。実力ある彼らがエネルギーを注ぐべきものは他にある。
 で、この「バラバラ大作戦」の中でもいちばん面白いのは『トゲアリトゲナシトゲトゲ』だ。Aマッソ加納、3時のヒロイン福田麻貴、ラランドサーヤという毒舌がウリの才女3人が様々なひねりのある企画を打ち出して実践するというもの。当たり外れはあるものの、3人それぞれの個性がうまく絡み合っていて面白い。毎週予約録画してパラパラと見ているのだが、ネタ番組のときより気合いが入っているのではないかと感じるような回もある。
 これまた視聴者は正直で「第4回バラバラ大選挙」なる人気投票で1位になり、10月からは10分拡大して0時15分からの枠に昇格だそうだ。
 この番組の企画に3人がどのくらい関わっているのかいないのかは分からないが、他の番組の「こんなもんでええやろ」的な内容に比べるとかなりの差がある。ただタイトルを『トゲトゲTV』に変える必要はなかっただろうな。気を抜かずにより面白くしていってほしいわ。

2022/10/17

フランスの刑事ドラマを気軽に楽しむ

 欧州の刑事ドラマというと英国ものの屈折ぶりや北欧ものの暗さ、陰惨さを「国民性の違いって面白いなぁ」と楽しむことが多いが、最近、立て続けにフランスの刑事ドラマを見て、これまた別の味が楽しめた。
 まずは『アストリッドとラファエル 文書係の刑事録』。現在シーズン3まで制作されているそうだが、日本では先日までNHK総合でシーズン1が放送されていたのでご覧になったかたも多いかと思う。
 欧州刑事ドラマでは主人公の刑事が必ず性格や家庭事情に問題を抱えているのだが、このドラマでは破天荒な性格の女刑事と自閉症の犯罪資料局文書係の女性というコンビ。
 フランスらしいシモネタや皮肉、自虐ギャグなどが満載。英国のドラマにも通じるが、それよりはソフトで明るいところがフランス流か。
 もう一つは『心配性刑事ワーグナーの捜査』。こちらは心配性というよりは完全に神経症の二枚目刑事と、彼を積極的色仕掛けでものにしようとする女性監察医のコンビ。現在、無料BSチャンネルのBS11で放送されている。BS11はほとんどが通販番組なので無視している人が多いと思うが、たまにこういうのが紛れ込んでいるから油断ならない。
 どちらも主役コンビの一方が自閉症、神経症で、他人とのコミュニケーションがうまくいかないが頭脳明晰。その相方はがさつだったり性に奔放だったりするが、とにかく楽天的に物事を見て前進するという設定が共通している。なんだか現在の閉塞感溢れる世界で生き抜くための処方箋(多様性を認め、寛容に、かつ悲観しすぎずに困難に向き合い、前進する)という感じで、いいね。
 

2022/10/31

朝ドラやめて夜ドラを昼見る生活に

 本ミニコラムを書いていることもあり、NHKの朝ドラはどんなにつまらなくても録画して全部見ていた。しかし、前作があまりにもひどくて、ついにこの「我慢してでも朝ドラを見る生活」は終わってしまった。
 その代わりに「夜ドラ」を録画して、昼飯時(起きるのが遅い我が家ではこれが1食目)や夕方の珈琲タイム、夜食のときにまとめて見るという生活スタイルに変化した。
 NHKで「夜ドラ」と呼ばれた作品枠は過去にもあるが、今年4月からは新たに月~木の22時45分から15分の連続ドラマ枠が設けられ、これがかなり評判がよろしい。
 現在放送されているのは『つまらない住宅地のすべての家』という軽めの推理ドラマのような作品で、6週(24回)構成だそうだ。平凡な住宅地に刑務所を脱走した若い女がやってくる(かもしれない)という話で、気楽に見ていられる。
 この15分連続ドラマの質が朝ドラを上回り続ける場合、今後は朝ドラをやめて夜ドラだけ見るという視聴者が増えていくのではないだろうか。今はテレビ番組、特にドラマのようなものは録画して好きなときに見るという視聴スタイルがあたりまえになっている。朝だの夜だのと区分けする意味はない。NHKの地上波では「土曜ドラマ」の枠も面白い作品が多いが、これも我が家では録画して都合のいいときに見ている。
 また、これは前から書いていることだが、朝ドラの視聴率と人気は反比例していると思ったほうがいい。朝にリアルタイム視聴しているのは、録画してしっかり見る価値がないので「時計代わり」につけておいているだけなのだから。

2022/11/10


モザイク処理に見るテレビの「忖度病」

 以前、このコラムで「ロケ番組のマスク問題」を書いたことがある。屋外でタレントがマスク姿で長時間歩いているような映像を見せられると、それだけでストレスになるという私見だが、その後もほとんど改善されずに続いている。
 過剰な言葉刈り、発言封じなどをする一方で、芸人に激辛、メガ盛り、ビリビリなどの苦痛系ドッキリや罰ゲームをさせるというセンスのない番組はなくならない。コンプライアンスの意味をはき違えている。
 で、今回もう一つ取り上げたいのが「モザイク処理問題」だ。裸のアソコをモザイクにするというのではなく、昔の写真や映像などで、写っている人の了解が取れなそうな顔はことごとくモザイクにしてしまうという過剰な処理。
 タレントの家族など、本人が顔を出したくないとしている場合などは分かるが、何十年も昔の寄席番組で一瞬映し出される客席の笑顔が全部モザイク。もはや歴史的資料ともいえる昭和のニュース映像に映っている人波やインタビューされている通行人などもモザイク。何それ?
 パンダが初めてやってきたときに上野動物園に押しかけた人たちが長蛇の列を作っている映像にモザイクをかけるという感覚が理解できない。
 戦時中の兵士が並んでいる写真などで、当該人物以外の顔にすべてモザイクをかけていたりするが、その人たちの存在を否定しているようで、むしろ失礼ではないかと思う。
 なんでもかんでも隠しておけば問題ないだろうというお役所仕事的な制作姿勢があたりまえになると、番組からどんどん魂が抜けていき、感動も面白さも消えていくよ。


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