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のぼみ~日記 2025

2025/12/25

電撃地下通信


FBで、古い友人が元気そうに写っている写真を見つけた。
彼はオウム事件の受刑者と同姓同名で、何年か前にALSになったという知らせが共通の友人から届いていたので、心配していた。
その写真へのコメントを読んだ本人とメッセージのやりとりができた。余命宣告の期間を大きく過ぎた今でも、本業のイラストレーターの他に、カメラマンとしても活動しているという。
当初は絵以外の仕事は断っていたが、病気の宣告を受け、残りの時間を精一杯生き抜くために、絵以外の仕事も請けるように切り替えたのだという。
すごいな。NK細胞が人一倍豊富で、病気の進行を遅らせているのだろうか。

その彼が昔作っていた『電撃地下通信』という雑誌があった。販売もせず、知人に送りつけるだけというゲリラ雑誌。それを国会図書館に納本したという話を読んで、そうか、国会図書館は納本される本はどんなものでも拒否はしないのだと知った。
国会図書館データベースで確認してみると、今でもちゃんと所蔵されている。

1994年5月~1997年2月まで、5巻あるようだ。30年前なのだなあ。
その5巻は全部、我が家の本棚にもある↓

創刊号の目次



編集部にも数部しか残っていない貴重な創刊号だけれど、たくきさんは特別なので謹呈します、みたいな手紙が添えられていた。



電撃地下通信の中で、記憶に残っているのがこれ「闘う車いす」。スポーツ用のホイールチェアという世界があるんだと知って、小説の中でも使わせてもらった記憶がある。どの作品だったかは忘れてしまったけれど。

電撃地下通信の前身?として、「季刊さるすべり」というのもあったようだ。

電撃地下通信は続いていたらとても貴重な雑誌として多くの人に支持されたんじゃないかな。
30年前というと、あたしは「小説すばる新人賞」を受賞できて、「これで音楽も売れるかもしれない」と、吉原センセにギターを習い始めた頃だ。
あれから30年経ち、あたしの寿命も秒読み開始になっている今、何をすべきか……。
『電撃地下通信』に倣って、出版社に頼らずとも本を作る作業を本格的に始めたのは10年前くらいだった。この作業は頭が動くうちはずっと続けるつもりだが、音楽はどうするか……。

人はこの楽器を「玩具」だと笑うけれど

そう、音楽はどうするか……。
70歳台に入った今、歌うのも声が出なくなってきた。ギターはもともと向いてないというか、うまい人が星の数ほどいる。
自分の宝は幼いときに叩き込まれた「相対音感」だと思う。コード理論とか、譜面の読み書きとかはまったく苦手。
歌わなくても、メロディだけで価値のあるものを残したい。
なんとか使えるのは、人からは「玩具」だとバカにされるEWIだけ。
でも、ウッドジャズカフェでEWI4000Sを吹くと、「いい音ですね~」「感情がこもった演奏ですね~」などと言ってくれる人もいる。EWIでも聴衆の心を動かせるのなら、もう一度この楽器に真面目に向き合ってみるというのもアリではないか?

EWIは最初に買った4000Sを皮切りに、EWI-USB、EWI5000、EWI Solo と、4000S以降のEWIはすべて買って試してみたのだが、いちばん表現力のある演奏ができるのは4000Sじゃないかと思う。
5000は内蔵音源の音が薄っぺらだし、安定性に問題がある。EWI SOLOは5000よりもずっとよくできた楽器だけれど、内蔵音源の音は生楽器に似せようとしすぎて、安っぽい(木管系の音はかなりいけるが)。4000Sは「これがEWIだ」と開き直っているところがあって、それが骨太な音につながっている。
今はもう手に入らないEWI4000S。この楽器の表現力を少しでも発揮させられるようにと、今回初めて、ライン入力ではなく、ミニスピーカーから出した音をマイクで録音してみた。

違いはほとんど分からないけど、こんな工夫をしてみることに意義がある??

2025/12/26

『Orca's Song』に自分史を込めて


そんなわけで、とりあえずいちばんの自信作を、70歳の今、改めてEWIで吹いてみた。

Set Me Free

ちなみに、Orca's Song は曲ができて何年もしてから、大学の1年先輩の茅野美ど里さんに頼んで英語の詞をつけてもらった。
私のデビュー小説『プラネタリウムの空』に出てくる1シーン。男女が海沿いの水族館でシャチのショーを見ているときの会話をモチーフにして書いてくれ、とリクエストした。
シャチが高くジャンプすると、プールの塀の向こうに大海原が見える。そのシャチの気持ちを込めて、最初は Set me free. で始めてほしいとも伝えた。
とても哲学的な詩ができあがってきた。

Orca's Song
        Lyrics by Chino Midori

Set me free,
Rushing waters fall fast away.
Go with me
To a deep blue world way beyond.

High winds blow
Over orcas and men both alike.
The cries of woe
Drowning out the moaning winds.

All the unhappy ones go rushing by,
Far and so far away they'll go.
Can you hear me cry, see my eyes,
Feel my hands, and share all my heartache?
Let me go, please I only want to go.

Can you see
Tumblin' waves so green and so blue?
Ride with me
On the crest of white foaming pain.

Bright clouds fly,
The changin' shapes oh strange yet so true.
I climb sky high
By myself all alone.


無理矢理日本語に訳せばこんな感じだろうか。

----------------------------------------------------
私を自由にしておくれ
うねる流れはすぐに去っていく
さあ、一緒に旅立とう
遥かかなたの深く藍い世界へ

オルカも人間も共に暮らすこの世界の上に
強風が吹き荒れる
嘆きの叫びが
うめく風の音を掻き消す

不幸なことはみな駆け抜けていく
遠く、遥か彼方へと消えていく
私の叫びが聞こえるか?
私の瞳が見えるか?
私の手に触れられるか?
そして、私の心の痛みすべてを一緒に感じてくれるだろうか?
さあ行かせてくれ 私はただこの世界から旅立ちたいだけなんだ

深い緑と青に揺れる波が崩れるのが見えるか?
白く泡立つあの痛みの頂きを 一緒に乗り越えよう

明るい雲が飛んでいく
雲は奇妙な形に移り変わるけれど、あれが本当の姿なんだ
さあ、天高く登ろう 私一人で たった一人きりで
----------------------------------------------------

小さな介護施設で親父が息を引き取ったとき、私は枕元でこの曲を流した。
私が死ぬときは、多分、たった一人で死んでいくんだろうと、漠然と思っている。
消えいく意識の中で、 Set me free…. と、歌っているだろうか。

……まぁ、そんなきれいなもんじゃないか、人生は。
これは7年前(2018年)の演奏


           



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