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のぼみ~日記 2022

2022/03/12

プーチンはおかしくなったわけではない?

↑ロシアへの「制裁」には加わらないと意志表明したブラジルとインド。(画像はWSWS.ORGとロイターのWEBサイトより)

これは基本的には「想像」なので、自分への備忘録として書いてみる。

ロシア軍、というかプーチンがウクライナへの侵攻を始めてからずっと、プーチンは認知症になってしまったのだろうかと考えていた。晩年の豊臣秀吉のように。
こんな前時代的な戦争をしでかしてロシアに何の利があるのか。誰も得をしないではないか……と。

しかしここ数日、岡氏のWEBサイトなどを読んで、実際に情報元の記事などをあたっていくうちに、もしかしてプーチンは狂ったわけではなく、以前から考えていた壮大な計画をついに実行に移してきたのかもしれない、とも思うようになった。

その計画とは一言でいえば、中国と一緒になって世界経済の新機構を作るということだ。

現在の世界経済はいうまでもなくアメリカ中心に構築されている。決済通貨はドル建てが基本であり、GAFAの力なしで現代社会の便利で快適な生活は成り立たない。
しかし、それを支えている地下資源(エネルギー資源と金属資源)や穀物生産(土地と肥料)という基本的な資源をアメリカが独占しているわけではない。ロシアと中国の資源抜きでは多くの国がたちまち飢餓や産業壊滅に陥る。
そうした視点を持ったとき、アメリカと協調してきた西欧諸国、そして日本、韓国、台湾といった東アジアの工業国は極めて脆弱だと気づかされる。

まず、西欧諸国だが、どの国も国土が狭い。
我々世代は学校で「日本は国土が狭い国だから……」云々ということを習ってきて、その思いこみからなかなか抜け出せないでいるが、ロシアを除くヨーロッパで日本より国土が広いのはウクライナ、フランス、スペイン、スウェーデンだけなのだ。

(図はhttps://graphic-data.com/ より)

人口はどうかというと、日本より多い国は1つもない。5000万人を超える国はドイツ、イギリス、フランス、イタリアの4国だけ。

(図はhttps://graphic-data.com/ より)

人口密度で見ると、↓こうなる。

(図はhttps://graphic-data.com/ より)

モナコやバチカン市国、マルタといった小国を除くと、ベルギー(383人/㎢)、イギリス(281)、ルクセンブルク(242)、ドイツ(240)……あたりが上位にくる。
ちなみに日本は347人/㎢だ。

なにをあたりまえのことを言っているんだと叱られそうだが、こういう基本的なことを普段はあまり意識していない人は多いのではないだろうか。
で、こうした国々は当然ながら日本同様、エネルギーや穀物などの基本的資源を輸入に頼っている。
EUのリーダー的存在であるドイツは「再エネ大国」などと言われているが、実際にはロシアからくる天然ガスがないと死活問題であり、今回の「ロシア制裁」でも、エネルギーに関しては「制裁には加わらない」と明言している
ちなみに、
欧州の天然ガス調達は島国の日本と異なり、液化天然ガス(LNG)よりも輸送コストが安いパイプライン経由が主流だ。欧州の天然ガス消費量の3分1程度はロシアからの輸入に頼る。大部分が同国と欧州諸国を結ぶパイプラインで輸送されている。(日本経済新聞 2022/02/09

図表は日本経済新聞社のサイトより

西欧諸国、特にドイツはすでにロシアに生殺与奪権を握られているのだ。

第二次世界大戦前と似た構図?

こう考えていくと、今のドイツが置かれている状況は、第二次世界大戦前に似ていることが分かる。
第二次世界大戦は、ザックリ言えば、第一次世界大戦の敗戦による多額の賠償金や領土の喪失で経済的に追い込まれたドイツが起死回生をかけて起こした戦争だった。
今のドイツも、人口密度が高い割には資源に乏しく、食料自給率も高いとはいえない。

世界各国の食糧自給率比較 (農林水産省のWEBサイトより

また、ドイツの人口8400万人はヨーロッパで第一位だが、そのうち1200万人が移民、2000万人が元移民というかなり特殊な人口構成になっており、この移民受け入れ政策に反対する国民の不満も大きい。
この状況でエネルギー危機、食糧危機に襲われたらどうなるのか。EUの優等生、模範国のように見えていたドイツが、パニックで一気に変身してしまう危険性はないのか。
新コロ問題でも、ドイツはワクチンパスポートをいち早く打ち出して国民を分断させるなど、何かあると極端な行動に出る傾向があるように見える。
今のウクライナ問題でも、ドイツが今後どのような対応をするかによって流れが大きく変わる可能性があるような気がする。

ロシアと中国が本気で手を組み動くとどうなるか

こうして見ると、先進国といわれている西欧諸国は、エネルギーや食料の安全保障という点では極めて脆弱な「小国」なのではないかと思えてくる。
日本人は今もロシアや中国はアメリカや西欧諸国に比べると、民度、文化度が低い国というイメージを持ちがちだが、世界的な環境の変化、経済情勢の変化に対する適応力という意味での「国力」は強いのではないか。
資源に恵まれていて、専制国家であるがゆえの即応性がある。強大な軍事力も持っている。権力者の一声で大国がひとつの方向に一気に動き出したら……。
先日の北京五輪では、中国はプーチンを特別扱いで迎え入れ、秘密会談もしている。どんな密約が交わされているのか。その密約はどの程度大胆で、かつ強固なものなのか……。想像するだに恐ろしい。

もしかして、ロシアのウクライナ侵攻は、アメリカと西欧諸国にロシア制裁をさせるための誘い水なのではないか? ……そんな想像をしてしまうのだ。

現在、アメリカが音頭をとっている「ロシア制裁」にはっきり同調している国は、EU諸国(ドイツとハンガリーはエネルギーに関しては明確に否定)とスイス、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、チェコ共和国、日本、韓国、台湾などだ。
それ以外の国は中立・静観の立場をとっている。
特に、ブラジル、インド、中国、メキシコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、アルゼンチン、ベネズエラ、トルコ、エジプト、イラン……といった国々は、明確に「ロシア制裁には参加しない」と表明している。
これら「制裁には加わらない」と意思表示している国の多くは、穀物生産やエネルギー資源に恵まれている。
ロシアから肥料などが入ってこなくなったら穀物生産ができなくなるし、IT強国であり世界の工場となっている中国との仲も大切にしたい。ヨーロッパでまた何か起きているようだが、そんなものに関与して自国の安全に悪影響があったら大変だ、という判断であり、政府としては当然のことだろう。

ロシアをSWIFTから除外することでロシア経済が破綻すると論じる記事もあるが、ロシアと中国が手を組んで別の国際決済のルートを構築すれば、ドル建ての流通機構そのものが破壊されるかもしれない。ルーブルの為替レートがいくら落ちようとも、ドル建てでない取り引きルートをデジタルネット上で確立してしまえば、中南米やインドなど、穀物生産自給率が高い国々は、ロシア+中国の経済圏へシフトしていくかもしれない。もしかしてロシアと中国は最初からそれを望んでいるのではないか。そのくらいの覚悟で動いているのではないか。

つまり、アメリカ+西欧がロシアに「制裁」をすればするほど、自分たちの首を絞める結果になりかねない。
特にアメリカの権威は失墜し、ドルの信用も落ちていく。
中国には他国の技術をコピーして、気がついたら追い越しているという特技?がある。
目下、ロシアから欧米企業が引き揚げていっているが、その後、残った工場や店舗をロシアがそのまま乗っ取って「国営化」するなんてことになれば(実際そう宣言している)、ロシアにとっては痛手どころか丸儲けなのではないか。
特許侵害や外国資本が残した設備資産などの乗っ取りも「アメリカとその支配下の国による攻撃から自国を守るためだ」と正当化するだろう。
資源とコピー技術を持っているロシア+中国が、今までのアメリカ中心の世界をひっくり返して、別の世界経済システムを構築する……そんな壮大なシナリオのために、ウクライナやウイグルの人々が犠牲になり、利用され続ける。そして、利用される人たち、地域はどんどん広がっていく……。
これは妄想だろうか? もちろんそうならないことを願っているのだが。

日本にとって急務なのは大豆と小麦の自給率を上げること

ここまでの分析が妄想であってもなくても、これから先、資源と食料が外から入ってこなくなることは確実である。
↑ロシアとウクライナだけで世界の穀物輸出量の4分の1を占めている。アメリカをはじめ、他の穀物輸出国は目下肥料が入ってこなくなったために農業生産の現場が危機に面している。農作機械を動かすためのエネルギーも高騰している。

日本の食料自給率の低さ(30%台後半)は、韓国と共に世界でも最低レベルにある。
特に大豆、小麦、トウモロコシなどの穀物類の自給率の低さは壊滅的で、目下、価格上昇が止まらない。
トウモロコシは別に食わなくてもいいや、などと考える人もいるかもしれないが、日本では米と小麦の消費量を上回る量の輸入トウモロコシが家畜の飼料に使われている。国産の畜肉が高いのはそのせいだ。
米だけは自給率100%というけれど、それは小麦の消費が増え続けて米の消費が劇的に減ってきたからだ。小麦が入らなくなったら、米に頼らざるをえず、そのときはもう遅い。
日本の水稲の収穫量推移(グラフは「クボタのたんぼ」より。数値は農水省統計)

上のグラフを見れば分かるが、現在の米の収穫量は「平成の米騒動」が起きた平成5(1993)年と同じなのだ。あのときは米が足りずに東南アジアから品種の違う米を輸入し、「炒飯やカレーにすれば美味しい」などとやっていたのを覚えている人も多いだろう。
あのときと同じ収穫量でもまだ減反政策とかやっているのは、食事が小麦中心に変わってしまったからだ。
小麦が入らなくなればパンはもちろん、パスタも中華まんもたこ焼きもラーメンも餃子も食えなくなる。ほとんどの加工食品も小麦なしでは作れない。菓子類も煎餅とか以外はほぼ全滅。醤油にだって小麦は使われている。
大豆が入らなくなると納豆、味噌、豆腐といった、日本人の健康を死守してきた食事ができなくなる。免疫力も落ちて病気にもなってしまう。
今からでは遅いが、一刻も早く、日本の農業を穀物中心に転換させる必要がある。
農家は食うために換金性の高い果物などを作りたがるが、ミカンやイチゴだけ食って生きていくわけにはいかないし、国民の所得が落ち込んでいく一方なのだから、そんなものを買う余力もない。
高級車をエコカー減税したり、再エネ賦課金でソーラーパネルをベタベタ敷き詰めて国土破壊している金を全部やめて、命がけで穀物自給率を上げていかないと、「令和の大飢饉」に襲われることは間違いない。

それだけではない。
レアメタルや石油、天然ガスが入らなくなれば工業生産も全滅だ。
日本はもはや「工業国」ですらなくなってしまう。

飢餓、暴動といった忘れられていた言葉が、連日のようにメディアに登場する日はすぐそこまで来ているのではないか。

その頃には、アジアの貧困国になった日本はアメリカから見放され、中国・ロシアが主導する自由のない世界に組み込まれ、低賃金で働かされる労働力として利用し尽くされているかもしれない。

……え? いくらなんでも卑屈になりすぎだって?
いやいやいや、いくらなんでも、もう「平和惚け」は許されないよ。

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