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のぼみ~日記 2021

2021/01/17

今冬のインフル感染者数激減の意味を考える


今冬は、驚異的にインフルエンザ感染者が少ないという↑(国立感染症研究所発表のデータより)。
厚労省によれば、1月4日~10日における全国の定点医療機関からのインフルエンザ発生報告数は73人。去年の同時期は90,811人だったので、1000分の1以下ということになる。
これはほぼ間違いなく、今年はCOVID-19のせいで人々の交流が減り、手洗いやマスク着用を徹底しているからだろう。
つまり、SARS-CoV-2の感染力(人の体内に入り込む「能力」)は従来型インフルエンザウイルスよりはるかに強い、ということであり、いつもの年のようにノホホンと過ごしていたら、コロナ患者の数はとんでもない数になっていた可能性がある。

今冬の超過死亡者数はどうなる?

さらに考えてみよう。
この1月4日~1月10日の1週間は、SARS-CoV-2のPCR検査陽性者数が爆発的に増えた時期だった。全国累計で42,882人にのぼる(厚労省サイトのデータより計算)。
この間、陽性者で死亡した人の数は389人にのぼる。
この数字は例年のインフルエンザ発生数と死亡数に比較してどうなのだろうか。

厚生労働省が毎年発表している人口動態統計によると、2018年のインフルエンザによる死亡者数は3,325人だが、これはインフルエンザが直接的に死の原因となった人の数だ。
WHOは「インフルエンザにかかったことによって自分が罹患している慢性疾患が悪化して死亡する」ことも含めた死を「超過死亡概念」として提唱しているが、この超過死亡概念も含めると、日本におけるインフルエンザによる死亡者数は、毎年およそ1万人前後ではないかと厚労省は推計している。

1月20日時点で、COVID-19による日本国内での死者数累計(昨年の新型コロナ症例が初めて見使った時点からの累計)は4742人である。
これは、新型コロナウイルス感染によって、それまで抱えていた持病などが悪化したり、老衰の度合が進んで亡くなった人も含まれている(WHOが提唱している「超過死亡者数的な統計」)と考えられる。
とすると、今年はコロナ対策のおかげでインフルエンザによる死者は激減しているはずだから、従来型季節性インフルと新型コロナによる死者数を合わせても、去年よりも「ウイルス感染が直接、間接の原因」の死者数が少ない可能性もありそうな気がする。

誤解してほしくないのだが、私は「COVID-19は怖くない」などと言っているわけではない。逆だ。
これだけウイルス対策をしても、インフルは劇的に減らせてもSARS-CoV-2はしっかり人にうつっていく。
ということは、この冬、人々が今までのような生活スタイルであったら、感染者数も重症化~死者数も、1000倍とは言わないまでも、軽く100倍以上にはなっていたのではないか。
低く見積もっても累計死者数は5万人、多ければ5万~10万人くらいになっていてもおかしくない。つまり、何の対策もしない冬を迎えていたら、従来のインフルエンザによる死者数約1万人より一桁多い数のコロナ死者がそこに加算されていたかもしれない

新型コロナがやっかいなのは、無症状者がウイルスを拡散させるという、従来型インフルエンザウイルスにはない特徴を持っていることだ。
従来のインフルは、感染すると高熱が出て寝込んでしまうため、感染者が市中や職場に出てウイルスをばらまくことは少ない。周囲の人も、あ、この人はインフルにかかっている。うつされないように注意しよう、と意識できる。新型はそれが難しい。
さらには、無症状で済んでしまう人がいっぱいいる一方で、それまで元気だった人がサイトカインストームで急激に病状が悪化して、何も手を施せないまま死んでしまうという事例が一定数出ることも恐ろしい。これは心理的にかなりの恐怖としてまとわりつく。
年齢層によって重症化率が大きく違うというのも、世代間の分断を加速させる要因になるのでいやらしい。

社会構造や生活習慣の変化は避けられない

以上のことは、何も専門的な知識や高度な統計技術を持たなくても容易に理解できる。
この「分かっていること」を踏まえて今後のことを予想してみると、
……ざっと思いつくことだけでもこれだけある。
こういう社会変化はもはや避けられない
それを理解した上で、ではどうやって生き延びていくか、犠牲を減らして、幸福感を維持できるのかという具体的な方法を探り、新しい価値観を構築していかないといけない。
緊急事態宣言を出す出さないだの、飲食店の時短営業要請だのといったことだけ声高に議論していても、今後の道筋は見えてこない。このウイルスが人間社会に与えた影響の大きさや内容をもっと巨視的にとらえて、社会をどう作り直していくか、を考えないといけない。
しかし、今のところ、政治にそうした力がないのは明白だし、メディアにも道を示す力は期待できない。
自力で考え、工夫しながら、自分の周りの小さな地域社会を大切に、優しく、柔軟に育てていくことから始めるしかないのかな、と思う。
卵を2個割ったら1つは「双子」だった、と助手さんがわざわざ見せに来た。


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