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のぼみ~日記 2020

2020/01/21

日光線とオフコース


助手さんが横浜髙島屋美術工芸サロンでの雛人形展示のために上京。駅まで送って、直売所で野菜と昼飯用の焼きそばを買って戻る途中、珍しく日光線の踏切に引っかかった。
電車の動画撮っていたら、ラパンのスピーカーからは1960年代のオフコースの歌声が流れていた。
鈴木康博、小田和正、地主道夫の3人が、小田薬局の二階の小田さんの部屋で練習しているときの録音。この『水たまり』という曲は、オフコースにとって初めてのオリジナル曲だと思うのだが、レコードになることはなかった。
あれから50年。彼らも今では70代の「高齢者」。それを17万円のラパンの運転席で聴いているあたしも今年から65歳の高齢者ゾーン入り。

この録音は、オープンリールテープデッキにマイク2本突っ込んで生録音したものだと思う。そういうシンプルな録音が、50年後の今もこうして鑑賞の対象になっているのは感慨深い。アナログの音って、強いな。
1976年の自宅録音デモテープ↑ まだデジタル録音技術がなかった時代

↑これは44年くらい前の録音。やはりオープンリールテープデッキで録っている。あたしのエレピアンやてっちゃんのベースはアンプを通さず、TEISCOの卓にダイレクト入力。リバーブはホーク技研というメーカーのスプリングリバーブをミキサーに外付けして使っていた。
こういう完全アナログ時代の録音が、今聴くと、オールデジタルの録音より力強く、クリアーにさえ聞こえるのはとても皮肉だ。
演奏そのものにこもっているエネルギーも違うんだろうけどね。

AKGのヘッドフォン


ずいぶん前に買ったAKGの折りたたみ式ミニヘッドフォン。携帯用にいいかなと思って買ったのだが、典型的なドンシャリサウンドで、これがAKGかよ、と呆れるような音の代物。当然、普段は使っていないのだが、最近、Windowsマシンのオーディオインターフェイスのヘッドフォン端子につないで、ときどき音を確認するために使っている。
Windowsマシンにつないでいるミニスピーカーは自然な音でいいのだが、高音はやはりぼやけるというか、埋没する。自分の耳がダメになっていて、ただでさえ高音が聞こえないので、ちゃんとミックスダウンできたのだろうかと不安になる。
そこでこのミニヘッドフォンで聴くと、今度は極端に高音と低音が強調されたバランスの悪い音が頭に直接響いてくる。
今は多くの人がスピーカーで音楽を聴かなくなってしまった。イアフォンで聴いている人たちにはどんな音で聞こえるのかを確認するためのモニター用にしているのだ。
それはまあいいのだが、このミニヘッドフォンのイアパッドが劣化してボロボロになり、黒いカスがばらばらと剥がれ落ちる。耳は真っ黒になるし、机の上は黒いカスだらけになってかなわないのだが、音はするので捨てるのも惜しい。考えた末に、履き古した靴下の爪先を切り取って輪ゴムでくくりつけた。これでカスがこぼれ落ちるのは止まったが、靴下の内側にはどんどんカスが溜まるんだろうな。

ちなみに、メインにつかっているヘッドフォンはAKGのK-501というやつで、1998年に大阪で買った。
K-501音は繊細で美しく、観賞用としては文句なし。昔、百合丘の4畳半スタジオに清水翠さんを呼んで数曲歌ってもらったとき、清水さんがまったく同じ501を「マイヘッドフォン」として持参してきた。ああ、音の趣味が同じだなと思ったものだ。
で、鑑賞したり、自分のヴォーカルを確認するには最高なのだが、ミックスダウン用だと、低音のボリュームが分かりづらい。低音がス~ッときれいに出るので、音圧がよく分からない。高音も超高域までしっかり出るので、このヘッドフォンでミックスして一般的なスピーカーから音を出すと、モコモコ感があって、あれ? こんなひどい音だったのか? ってことになる。
そこで、ミックスダウン用にはグレードを落としたK141とかK242といった機種を使っていたこともある。501より高音が伸びないので、その分、しっかり高音を出そうとするからいいかな、と。でも、今は自分の耳がグレードダウンしたので、もっぱら501でやっている。

↑今持っているヘッドフォン  ↓これがメインに使っているK-501

ちなみに多くのスタジオで標準機とされているのはSONYのヘッドフォンだが、音がきつすぎて、こんなんでモニター、ミックスダウンしていいんだろうか? と思ってしまう。
ヘッドフォン以上に難しいのはモニタースピーカー。
タヌパックスタジオのモニタースピーカーは、30年くらい前から英国Mission社のLE-700という安いスピーカーが不動の地位を保っている。
これは本当にバランスがよく、ヌケも素晴らしい名機。
かつてはどこのスタジオに行ってもオーラトーンという、誰がどう聴いてもモケモケの音の小さなモニターがあって、「普通の人がラジカセやポータブルステレオなんかで聴いている音はこんなもの」というシミュレーション用に使われていた。
そのうちにそれがYAMAHAのNS-10M(通称テンモニター、テンモニ)というスピーカーに取って代わった。テンモニはオーラトーンとは正反対で高音がシャリシャリできつくて、これまた「一般的なオーディオ装置のシミュレーションにはならんだろうなあ」という代物だった。スタジオによっては、ツイーターにティッシュ被せて音を柔らかくしたり、完全密閉型のエンクロージャに少し隙間を作ってバスレフっぽい音に変えたりするエンジニアもいたが、そんなことするくらいならもっとマシなスピーカーにすればいいのに……と思ったものだ。
テンモニはうちにも1セットまだ残っているが、かわず庵の和室に隠居している。

まあ、とにかくミックスダウンに使うスピーカーやヘッドフォン選びは難しい……という話。アンプやマイクは、純粋にクリアな音を出してくれればいいのでそんなに悩まないんだけどね。

↑これ、パサパサパサというかすかな音で、最初は何かが風でこすれているのかと思った。キツツキが木をつつく音も高音が聞こえなくなっているのかと思ったが、多分、木の幹が柔らかくて、硬質な音がしなかっただけなんだろう。そう思いたい。


フロッピーのアイコン


アナログ時代を知らないデジタル世代の人たちには、「ファイルを保存」のフロッピーディスクを象ったアイコンがまったく意味不明になっているというのは有名な話だが、そろそろ受話器のマークで電話、というのも通じなくなってきているみたいだ。
受話器の形が分からないとなると、どうなるんだろうねえ。ものの「形」が意味をなさなくなるようで、寂しいというか、空恐ろしいというか……。




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