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のぼみ~日記 2020

2020/01/20

Second Amour


昨年、「シ」から始まる、「ファ」から始まる、「レ」から始まる……という「あらかじめ縛りをかけてメロディを書く」ということをしていたのだが、「レ」から始まる『日光のクリスマス2019』は、最初の音が弱起なので、完全には「レ(2度)から始まる」メロディとはいえなかった。

↑『日光のクリスマス2019』は2度から始まるが弱起

ところが、昔書いた名曲?『Second Amour』が、完全にレから始まるメロディだということに気づいた。

この曲は様々な実験というか、挑戦的な方法を試した曲だった。
まずは、当時、日本語の歌詞ではカッコいい歌は作れないんじゃないかという疑問を抱いていた。かといって英語の詩は書けないし、自分で歌うとどうしても日本人の発音になってしまい、かっこわるい。
いっそタモリがやっていたハナモゲラで歌ったらどうか……という、開き直りで歌詞を書いた。ただのデタラメではつまらないので、超簡単な暗号というか、仕掛けも入れた。
ボサノバでやりたいというのもあったが、メロディの1拍目3拍目が休符になるような変則的なリズムにしてみた。よく覚えていないが、これは多分、ジョビンの『One Note Samba』が頭にあったのではないかと思う。
これだけ挑戦的な曲だから、「レ」から始まるというのも意識してやったのかもしれない。

↑完全に2度の音から始まるメロディ


百合丘の4畳半スタジオでこの曲を録音(ミックスダウン?)しているとき、たまたま配達に来た宅配便のお兄さんが、流れてきたこの曲を玄関で聴いて「ものすごくいい曲ですね~!」と感動していた、と、助手さんが後から言っていた……というのを、今回聞かされた。(あたし自身は忘れていたが、なんかそんなことを言われたような気もする)
で、この曲は『Second Amour ~たくき よしみつ Songbook2 女性vocal作品集』というアルバムのタイトルにもなっている。↓
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その後、KAMUNAのファーストアルバム『Gray's Keyboards』にもギターデュオで収録した。
↑これもまたAmazonのプライム会員なら全曲無料で聴けるようだ ⇒こちら

早い時期にアルバム収録しているので、自分でも自信作だったのだと思うが、今ではほとんどその頃の気持ちは忘れている。
そこで、気力回復とすっかりなまっている指のリハビリを兼ねて、改めて自分で歌ってみることにした。20年くらい前に自分で歌った録音は1つあるのだが、デモ止まりでちゃんとしたものではないし、出来も気に入っていないので。
今回は、凝らずに、素直にボサノバで歌う……ということに徹してみた。
それが冒頭の動画。

クレモンティーヌとかダイアナ・クラールあたりに歌ってほしいなあ。

Macは難しい

── ここから先はオタク向けの細かな裏話 ──

先日(去年の年末だっけ? それとも今年になってからだっけ?)、老眼が進んで文字がよく見えなくなったので、メインのPC(Windows7)のディスプレイ(24型)と音楽録音・編集用のMacminiにつけているディスプレイ(27型)を入れ替えた。使っている時間の比率は100:1くらいだから、長い時間見つめている画面を少しでも大きくしよう……と。
どちらもAcerの安物だが、色味がかなり違う。27型のほうがきれいかなあ。
で、Windowsでの仕事はやりやすくなったのだが、今回、Macでディスプレイ交換後初めて音楽作業をやったら、画面が小さくなった分、疲れる。
MacではLogicとFinder以外は使わないので、文字を読む時間はあまりないのだが、タイトルバーやメニュー表示の文字が小さくなってきつい。
そこで文字を大きくしようとしたのだが、どこにもその設定が見あたらない。
ネットで調べたところ、なんと、Macはフォントだけを大きくすることはできず、ディスプレイの解像度を変更して大きくするしかないらしい。そうすると当然作業領域は狭くなる。やってみると、映像もなんか滲んだ感じになってクリアさがなくなる。
ほんとにメニューやステータスバーのフォントだけ大きくする方法ってないの? Macってそうなの? ちょっとひどくない?

さらにまいったことに、録音がほぼ完成かという佳境に入ったところで、突然動きがおかしくなった。いいソロが弾けたと思ったときにガリガリガリ……と異音がして、メモリが足りません、とか出る。
実際にはメモリが足りないのではなく、CPUクーラーファンが回っていなくて熱暴走していた。前にも何度か経験がある。2度ほどファンを交換したのだが、純正ファンは高すぎて、中国製のに交換。これがときどき回らなくなる。
裏蓋を外して、手でファンを回すと、何回かやっているうちに回り出す。一度回り始めると後は止まらないので、回っていないときというのは、起動したときにすでに回っていないのだろう。
これもやっかいな症状。

MacはOSが無料でアップデートされるのはいいのだが、アップデートしていいものかどうかいつも悩む。アップデートした途端に重くなったり、動作不良が起きることもあるから。しかし、Logicそのもののアップデートはしたい。OSをアップデートしないとLogicもアップデートできないときは、仕方なくアップデートするのだが、ひやひやする。

さらにとどめを刺されたのは、突然、オーディオインターフェース(YAMAHAのn12)を認識しなくなったこと。再起動で認識することが多かったのだが、今回は何度再起動しても、結線を替えてもダメ。まいった。
YAMAHAのサイトを見ると、どうも2017年にドライバがアップデートされているようだ。これも、別のページでは2007年くらいでアップデートが終わっているように記載されていて、非常に不親切。
駄目元でそのドライバをダウンロードして再インストールしたところ、復活した。

ミックスダウンそのものをLogic内でやってしまっている今となっては、n12のようなでかくて重いミキサーを使う必要はないのだが、いろんなものをつなぎ直すのが面倒だし、見た目、最低限「スタジオです」みたいな雰囲気作りのために使い続けている。
これでも、イギリスのSoundTracks社のPC-MIDI24という100kgを超えるような鉄の塊コンソール~YAMAHAの定番コンソール02R……と変遷してきたタヌパックスタジオの歴史からすれば、n12に替えたときは「こんなちゃちなコンソールで大丈夫なのか?」と思ったものだが……。

タヌパックスタジオの歴代ミキシングコンソール

TEISCOの MX800 という8チャンネルミキサー。家から持ち出してPA用としてもよく使っていたが、アンプは内蔵されていない。素直な作りで使いやすかったが、そのうちに1チャンネル壊れて7チャンネルしか使えなくなった。まだタヌパックを名乗る前、久末の実家にいたときに使っていた。まさかもう画像は見つからないだろうと思ったら、見つかった! 40年以上前の製品。


英国Studio Master社の 16-4-2 タヌパック百合丘時代初期
FOSTEXの8トラMTR(9mmオープンリールテープ)で自宅録音を始めた頃に買ったが、音質はよくなかった。下手するとTEISCOより悪かったかも。2年くらいで手放してPC-MIDI24に乗り替えた。


↑英国SoundTracks社のPC-MIDI24 タヌパック百合丘時代前期
音は最高だったが、とにかく重くて、1人ではまったく運べないという代物。結線端子が特殊で、ケーブルを全部自作せねばならず、泣かされた。最後は代理店の松田通商がつぶれてしまい、修理も不能となって、完動品だったが200万円の製品なのに3万円で手放した。AKAIのDR-4という4トラックデジタルレコーダーと組み合わせて使い始めた。MIDI楽器類はすべてLINE出力をそのままMIXしてDATにミックスダウンするという方式。KAMUNAの2枚目『アンガジェ』あたりまではこの方式だった。


↑YAMAHAのO2R タヌパック百合丘時代後期
デジタルレコーディングの時代になって、小さなスタジオやゲネプロでは定番となったコンソール。デジタルMTRをFOSTEXのD16という16トラックのものに変更したことで、光入出力端子がついているこれに変更した。フェーダーオートメーションがかっこよかったが、音質は確実にDR-4 + PC-MIDIよりも悪くなった。


↑YAMAHAのn12 タヌパック百合丘最終期、タヌパック阿武隈~現在
Cubaseを使うようになって購入。このタイプとしては非常にコスパが高い傑作だと思うが、今となっては中途半端。

n12はCubaseというDTMソフトと連動させるための専用コンソールで、タヌパック阿武隈時代には百合丘と阿武隈の両方に同じものを1台ずつ置いていた。
音はパッとしないが(音質は確実にPC-MIDI > O2R > n12 と、変更するたびに悪くなってきている)、使いやすく、壊れにくいので重宝していた。
川内村と百合丘を引き上げてからは、余分になった1台をヤフオクで売った。5万円だったかなあ。今なら1万円くらいかもしれない。
DTMソフトをWindows+CubaseからMac+Logicに乗り替えてからは、n12のDTMソフト連動機能は使えなくなり、右下の操作パネルはまったく無意味なスペースになってしまったが、この部分はもともとあまり使わなかったから、それほどガッカリはしなかった。しかし、ズラズラと並んだボタンやつまみ、スライダーにほとんど触れることもないまま、単なるオーディオインターフェースとして使っている現状はかなり不合理ではある。
イコライザーやリミッター、リバーブなども、録音の際にはほとんど役に立っていないというか、Logic側でやってしまうので、もっと省略されていてもいい。
これがアナログミキサーならまだ意味があるのだが、デジタル処理でやっているミキサーだから、Logic側でやっているのと変わらない、というか、CPUの処理能力やソフトの改良具合などを考えても、Mac内部で処理したほうがいいのだろう……ってことになる。

今回、認識しなくなったのは、最近MacのOSをアップデートしたこととも関係がありそうだ。このまま認識しないとなると、このn12が粗大ゴミになるのか? と、ひやっとしたが、なんとかまだ使えそうだ。

以前、n12のオーディオインターフェースとしての性能(特にマイクプリアンプ部分)に疑問を持ったことがある。12入力で、これだけ金属を含めた材料を使っている大きな機械が12万円というのは安すぎる(安いのはもちろん嬉しいが)。最低限必要なアナログ部品(コンデンサとか)や肝心のA/D、D/Aコンバーター部分の電子素子なんかをケチっているのでは? と疑ったわけだ。
普通に考えれば、12入力でエフェクター類がいっぱいついている大きなデジタルミキサーより、5万円以下でも、せいぜい4入力くらいで、余計なものはついていないオーディオインターフェースのほうが部品の品質はいいはずだ。
そこで、FocusriteのSaffireというインターフェースも中古で購入してみた。これに乗り替えれば、机の上もスッキリする。
両方でマイク録りテストした結果、微妙にSaffireのほうがいいような気もしたが、その差はあたしの劣化した耳ではほとんど聴き分けられない程度のものだった。それならn12を使い続けよう……となった。
でも、若い人が聴いたら、はっきり音質の差が分かるのかもしれない。歳を取るのは辛いね。

その後、n12のMIDI入力端子が物理的に壊れてしまい(端子が割れた)、今はSaffireはMIDI入力機&EWIをMIDI録音するときのインターフェースとして使っている。Logicにはn12をつなぎ、EWIの音源ソフトにはSaffireをつないで別々に音を再生させて、Saffireからのアナログ出力をn12に音声信号としてリアルタイム入力させてLogicに渡している。こうすることで、EWIの音源ソフトをLogicのプラグインとしてではなく、独立した楽器の音として入れることができるので、生演奏している感覚で作業ができるわけだ。

あ、それから、重宝していたデスクに取り付けるアームスタンド型のマイクスタンドの根元が折れて、針金でぐるぐる巻にしてなんとかぶら下げるなど苦労していたが、先日、Amazonのタイムセールで5%引きになっていたので思いきって買い換えた。思いきって、といっても1035円だけどね。
↑1150円の5%引きで買ったアームスタンドだが、その後、重いマイクにも耐える改良型が出ていることを知って後悔した↓
↑買い換えるならこっちすべきだった!! 無念! 次に壊れたときはAmazonで購入こっちしよう


ちなみにマイクは、阿武隈時代にヤフオクで中古を買ったAT3060(Audio Technica)というのを使っている。よくある48Vファンタム電源が必要なコンデンサーマイクだが、小さな真空管を内蔵しているというのがミソ。この真空管のおかげでコンデンサーマイク特有の硬さが和らいで暖かみのある音になるというのだが、日本では発売されなかったらしいし、すぐに製造中止になったみたいだから、失敗作だったのかな? でもまあ、面白いので使っている。

……以上、オタク話は楽しいの巻でした……。




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