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のぼみ~日記2019

2019/11/16

正義が勝つには時間がかかる


連日ワイドショーで話題になっている千葉県知事。彼の最初の本のタイトルは『正義が勝つには時間がかかる』という。
1984年発行。定価690円の新書。消費税はまだなかった(3%で導入されたのは5年後の1989年。平成に入ってから)。
どこかに1冊残してあったなあと思って本棚を見たら、いちばん上の手の届かない段にあった。
脚立を持ってきて手に取ってみると、帯もまだついている。3.11が起きる直前に肺炎で亡くなった横澤彪さんが「この本で、是非、彼の人柄に触れていただきたい」などという推薦文を書いている。
なぜこんな本が帯付きのまま我が家の本棚に残っているのか……理由ははっきりとは書かないでおこう。

彼と会ったのは僕がまだ20代のとき。千葉のホテルに走行10万キロ超えの中古いすゞジェミニMinxを運転して行った。
森田氏が初対面の僕を「センセイ」と呼んだこと、マネジャー兼運転手のTさんが非常に優秀な人だったこと、Tさんが運転するトヨタセンチュリーの乗り心地がとてつもなくよかったことなどを覚えている。
トヨタセンチュリーに乗るなんてことは、人生においてあれが最初で最後だろう。


正義が勝つには時間がかかる……本当にそうなのだろうか? あれから35年経ち、やっぱり、時間をかけても正義は勝たないんだよなあ、という思いは確信に変わっている。むしろ時間が経てば経つほど悪が強くなる、というか、悪を許す空気が充満していく

安倍晋三事務所が「桜を見る会」ツアーを組んで、申し込みしてきた人は誰でも参加させていたことが今頃問題になっている。
なにしろ首相が挨拶で「(隣にいる公明党の)山口さんや皆さんと共に政権を奪還してから、7回目の桜を見る会となりました」とぶちあげている映像が首相官邸公式サイトで配信されているのだから、誰もがこれは安倍晋三個人が主催する私的パーティだと思っていたはず。まさか国費で運営されているとは思わなかったよね。
NHKがこの映像を取り上げて夜のニュースで流したが、それを打ち消すかのようにまたまたこのタイミングで芸能人の薬物での逮捕。「リスト」にあと何人のっているんだろう。

しかしまあ、モリカケ問題であれだけデタラメを通して来た政権が未だに支持率50%を超えているというのだから、今さら驚かないか。
なにせ、国会で嘘をつきまくった官僚が出世して国税庁長官になり、準強姦容疑で逮捕状を持って空港で待ち構えていた高輪署の刑事が突然上(警視庁刑事部長)からの電話一本で逮捕を取りやめさせられたり……なんていう、テレビドラマでもリアリティがないようなことが起きる「法治を放棄した」国なのだから、選挙民を接待するくらいはあたりまえだろう、という感覚を、国民だけでなく首相官邸も持っているということか。みんなまともな感覚が麻痺している。一億総認知症時代。

法に触れるかとか、5000円で寿司が……とかいう以前に、多くの庶民が「どうせこの国はこんなもの」と諦めていることのほうが怖ろしい。
生活に疲れて、怒る気力や、まともな感覚を維持する余裕がなくなってしまっているのだろう。そんな国から、すごい発明やら世界をリードするビジネスモデルやらハイレベルな芸術・文化など生まれるはずがない。
そうやってますます不幸な国になっていく。
たまらんなあ。

いつまで待っても正義が勝つことはない社会で生きていく方法は?
名もなく貧しく美しくなく……いしいひさいちの漫画みたいな生き方かな。今の自分はまさにそれだ。

運転手付きセンチュリーの後部座席でふんぞり返る老人より、怪しげなバングラデシュ人から17万円で買った10年落ちの軽自動車にストライプ入れたりして楽しんでいる老人のほうが幸せな人生を送っていることは間違いない。

旬のお茶?
さて、久々に直売所で買ってきた大福食いながら一息入れましょうかね。
どこかでティーバッグ見たなあ……と思って探したらこれが出てきた。ん? The New Otani? 今話題の? 旬のものじゃないですか~。
ああ、仕事先で手配してくれたホテルの客室にあったやつだ。
1つのティーバッグを2つのマグカップに交互に入れて、薄すぎるかなと思ったら、さすがはニューオータニ。十分濃くて、美味しいお茶でありました。
これが庶民にとってのホテルニューオータニなのだわ。
久兵衛の寿司とやらは一生食えないけれど、全然不幸じゃない。その代わり、文化の質にはとことんこだわりながら残りの人生を過ごしたい。工夫次第ではまだそれができる幸せを、これ以上壊さないでくれ!

名もなく貧しく美しくなく……。されど、自分の中の宇宙は果てしなく深く、まだまだ探索の余地がある……と信じて生きていこう。

小説・神の鑿 ─高遠石工・小松利平の生涯─

「神の鑿」石工三代記の祖・小松利平の生涯を小説化。江戸末期~明治にかけての激動期を、石工や百姓たち「庶民」はどう生き抜いたのか? 守屋貞治、渋谷藤兵衛、藤森吉弥ら、実在の高遠石工や、修那羅大天武こと望月留次郎、白河藩最後の藩主で江戸老中だった阿部正外らも登場。いわゆる「司馬史観」「明治礼賛」に対する「庶民の目から見た反論」としての試みも。

B6判 250ページ オンデマンド 1280円(税別) 送料:220円
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