薬に頼らない介護？

涼風号MarkIIに乗ってデイホームへ。ケアマネさんと話し合い。親父の真夜中の行動（歩き回る、大声で歌を歌って他の入居者を怯えさせる……等々）にどう対処するかなどなど。明日も訪問看護師さんとその件で相談しに行く。
かみさんはきょうはうさちゃんに乗って母親を歯医者さんに連れて行ってて、まだ帰ってこない。
毎日がこんな感じになってる。
一人の老人のためにいろんな人が毎日動いている。でも、これをすべての老人にやっていたら、とても社会が持たないだろう。どこかで今もしわ寄せが来ているし、犠牲になっている人たちがいて、見捨てられている人たちもいる。
今まで見えていなかった世界を見ているのだなあ。

親父が夜中に多動でスタッフや他の入居者を困らせている件で、スタッフの一人は「もう、睡眠剤とかの処方ではないレベルだと思います。精神科領域の薬でないと効かないのでは？」と訴えていたが、その後、さらにスタッフ間でも話し合った結果、「睡眠薬でも眠らないし、アリセプトをやめても関係なかったし、これ以上強い薬は高齢者には厳しいと医師はいうし、薬に頼るのはやめよう」ということになったらしい。
で、本人があらゆること（ウンチの記録とか、未来の日記まで）をメモに書いていることを逆手にとって？、↑こんなことを書いてもらい、壁に貼ったり机の上に置いたりさせたところ、少し落ち着いたそうだ。
家族としては、ああ、親父ならそういうことはあるな、と思うけど、普通の人はなかなか理解できないみたい。
都会の生活と田舎の生活のリズムの違い、常識の違いということもあるだろう。
僕ら夫婦はバブル時代、1日25時間サイクルで生活していた時期があった。朝まで仕事して、できあがった原稿を編集者の家に早朝届けて（メーターボックスの中に入れて帰るという沈黙交易）、興奮した頭をなだめながら酒を飲んで寝る……という日々。起きるのが1時間ずつずれていき、何日かすると完全に昼夜逆転になる。
親父も会社員（編集者）時代は、徹夜はあたりまえで、休みの日は昼過ぎまで寝ていたものだ。
規則正しく毎日寝て起きてを繰り返してきた人たちには理解できないかもしれない。

親父も協力しようという気持ちはあるらしい。
メモの上に星を描いたりして「夜だからね」なんていっている。
そういうやりとりをしている限りは、普通に見えるのだが……。

ぼけ方や、迷惑行動への対処の仕方も人によって違う。
義母は妄想がエスカレートしていて、前の田んぼで20人くらいが夜中にどんちゃん騒ぎしていたとか、横浜に行ってシュウマイをお土産に買ってきたんだけど、どこかになくしてしまったとか、いろんなことを言っている。
個人に合わせていろいろ試してみるスタッフも日々勉強、経験。それにしても、よくやってくれるなあ。
大きな施設ではここまでは細かく対処してくれないだろう。
感謝。
お金は大変だけど……ここまでやってもらうには、やっぱりお金がないと無理。親父はそのへんのことは、当然もう理解できない。

年金がある人たちはいいのだ。
親父は90歳。定年退職から30年生きている。その間、支払われた年金は軽く7000万円以上になる。
介護保険や医療保険は1割負担。残りの9割は公費投入。その分も加えれば軽く1億円以上。老後生活1人1億円時代……か。
金だけじゃない。
親父一人のために、どれだけの人が一生懸命仕事をして、頭を働かせ、努力していることか。
こんなことは、今しか無理だ。10年後には不可能。介護制度もなにも破綻しているだろうから。