レオがとうとうものを食べなくなった。数日前から少しずつ食欲が落ちていて、足腰も一気にガタガタになっていたので、これはもう長くはないなと覚悟はしているのだが、辛いな。
今日はついに立ち上がれず、地面にへたりこんだかと思うとバタバタし始めた。それ以上刺激しても可哀想だから、そのまま戻ってきた。
考えようによっては、中途半端に元気なまま冬に突入して、寒さのために弱っていくのを見ているのは辛すぎるから、今くらいのちょうどいい季節に眠るように逝ってくれたほうがいいのかもしれない。
ただ、今までも何度も、もうダメだと思ったのに復活しているからなあ。
心臓がとても強いみたいだ。
でも、他がもうボロボロ。
目はだいぶ前から白内障でよく見えてない。耳も聞こえてない。嗅覚も怪しい。クンクンしているけど、目の前の餌の場所が分からない。
で、駄目押しのように、ついに歯もおかしくなった。柔らかいものをあげても、噛むときにガリガリと音がする。音がするような食べ物ではないのにガリガリ音がするということは、奥歯が抜けたり欠けたりしていて、歯の欠片を噛んでいるに違いない。それもガリガリ音がするということは、脆くなっているわけだ。
食べることだけは貪欲だったレオだから、歯がダメになるのは致命的だ。
流動食をあげても、このところうまく口に入れられず、入っても呑み込むのが難しそう。
普通ならとっくに死んでいるんだろう。なまじ心臓が強いばっかりに、死ねないんだろう。
しかし、どうしようもない。
2018/10/11
雨。
レオの様子を見にいくと、小屋の中にはいなくて、外の柵のところで倒れていた。死んだかと思ったが、腹が動いている。
植え込みが邪魔して近づけない。
こっちもずぶ濡れになりながら植え込みの下に潜り込んで身体に手をあてると、呻きながらバタバタと身体を反転させ、もがき始めた。
もう、エンドルフィンが出ていて、見た目ほどは苦しくはないのかもしれない。
人間も、死に際に断末魔のような声を上げていたのが、見守る親族が呼びかけたら意識が戻ってしまい「なんだ、せっかく人がいい気分で夢を見ていたのに、なぜ起こした」と怒った、というような話はよくある。そういう状況なのだと思いたい。
であれば、これ以上刺激してはいけないと思い、そのまま戻ってきた。
2018/10/12

もう死んでしまったに違いないと思って行くと……ああ、やっぱり。柵の入り口が開いていて、中は空っぽだった。
死んだんだな。遺体はどうしたんだろう。買い主さんからメモが残されているんじゃないかと思って、リードが置いてある物置テントを覗くと、なんとそこに段ボール箱が置かれていて、中にレオが入っていた。
動いている。
絶句してしまった。
まだ生きていたのか? もういいのに。頑張らなくていいのに。
なにもできずに家に戻る。