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のぼみ~日記2018


2018/04/10

地方選挙の難しさ


さがみやに買い物に行こうとしていたら、郵便配達の人が選挙の投票案内はがきを持ってきた。ちょうどいい、ついでに期日前投票をしてこよう。

一昨日の日曜日が日光市長選、市議会選の告示日で、近所の人や知人・友人たちの中にも、ポスター貼りの手伝いに動員された人たちがけっこういた。

一昨日の下小代駅前↑ 告示と同時にすべての候補者のポスターが貼り終えられる。すごいな

市長選は4候補者の乱戦と伝えられているが、おそらく当選可能性があるのは2候補で、他の2候補はそれぞれ有力2候補の足を引っ張るという図式だろう。
2候補のうち、足の引っ張られ度合?が少なかった候補が勝つ……ということか。

市長選については、4人の立候補者が揃った公開討論会の動画を教えてもらったので見てみた。
長いので飛ばしながら、いちばん頭よさそうな人は誰か、うわべだけで話している人は誰か、性格悪そうなのは誰か、本気で政策を訴えている人は誰か……といった視点で見ていた。
有力候補の一人が「子育て支援政策」についてこんなことを言っていたのが印象的だった。

子育て支援は大切だが、子供はいずれこの地を離れていく。その後、また戻ってきたいと思える魅力のある町であるかどうかが重要。まずは大人が生き甲斐を持って生きていける町じゃないと、出ていった子供は戻って来ないから、人口減少は止まらない。
親が自ら楽しく生きる、生き生きと暮らす姿を子供に見せられなければ、子供はこの地に魅力を見いだせない。


……そんなような内容だった。
まったくその通り。
で、公開討論会でこういう視点での持論を主張できる人かどうか、というのも重要な判断材料だろう。
お題目みたいなことを並べているだけの人は、自分の頭でとことん考えていない。周囲の人との関係や、上(県や国)とのパイプ作りのテクニックだけで市政をやろうとしている。だから、選挙でも、自分がいかに国や県から利益誘導できる人間かをアピールする。
しかし、そういう手法では、これから先、通用しない。だって、国がこのザマなんだから。国全体がじり貧になっていくのは分かっている。その中で地方都市が生き残る戦略を立てなければいけないんだから、ある意味、国政担当者よりもずっと頭がよく、実行力のある人物でなければ地方行政は託せない。

一方、何をやるにも金は必要だ。
地域内の税収だけではやっていけないから、地方交付税や各種補助金はどうしても必要。しかし、それがほしいと尻尾を振るだけではダメで、うまくもらった上で、合理的に、有効に使いこなす「技術」が必要なのだ。
なるべく喧嘩せず、対立構図を作らず、したたかに相手(国や県や大企業)を取り込み、結果として今よりいい方向に向かう知恵と対人関係形成能力が政治家には不可欠。清濁併せ呑み、ゲームに勝つずるがしこさも必要なのだ。
いくら正論を述べていても、自己主張で終わるような人、いざ仕事をさせてみたら現実に対応できないような人(つまり僕のような人?)は政治家には向いてない。政治に直接参加しようとせず、何かやるにしても外野からのサポートや自分の持ち場をしっかり固めることに徹したほうがいい。

……とまあ、そういう視点で投票する市長候補者は決まった。

「按分票」は廃止せよ

さて、市議会選はさらに難しい。
今回は定数24に対して27人が立候補。つまり落ちるのは3人だけ。
前回は定数が28に対して30人が立候補した。落ちたのは2人だけ。

最後の1議席を2人、3人が争うという選挙。であれば、落ちそうな候補者の中で、この人よりはこの人のほうを残したい、という視点で選ぶのがいいだろう。ということで、前回の開票結果を改めて見たところ、驚くべきことに気づいた。
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↑一瞬、総得票数4455万4953票? って読んじゃいそうだけど、4万4554.(テン)953票で、最後の953は小数点以下なのだ。
得票総数…… 44,554.993
按分の際切り捨てた票数…… 0.007
無効投票数…… 1,169.000
投票総数…… 45,724.000


なんと、候補者30人のうち、12人もが小数点以下まである「按分票」をもらっている。
按分というのは、同じ姓の人が複数いるなどしたとき、姓しか書いていない票は誰に投票したか分からないので、可能性のある人に振り分けましょう、ということだ。
公職選挙法ではこう規定されている。
(同一氏名の候補者等に対する投票の効力) 第六十八条の二 同一の氏名、氏又は名の公職の候補者が二人以上ある場合において、その氏名、氏又は名のみを記載した投票は、前条第一項第八号の規定にかかわらず、有効とする
2 第八十六条の二第一項の規定による届出に係る名称又は略称が同一である衆議院名簿届出政党等が二以上ある場合において、その名称又は略称のみを記載した投票は、前条第二項第八号の規定にかかわらず、有効とする。
3 第八十六条の三第一項の規定による届出に係る参議院名簿登載者(公職の候補者たる者に限る。以下この条において同じ。)の氏名、氏若しくは名又は参議院名簿届出政党等の名称若しくは略称が同一である参議院名簿登載者又は参議院名簿届出政党等が二以上ある場合において、これらの氏名、氏若しくは名又は名称若しくは略称のみを記載した投票は、前条第三項第十号の規定にかかわらず、有効とする。
4 第一項又は第二項の有効投票は、開票区ごとに、当該候補者又は当該衆議院名簿届出政党等のその他の有効投票数に応じてあん分し、それぞれこれに加えるものとする。
5 第三項の有効投票は、開票区ごとに、当該参議院名簿登載者のその他の有効投票数又は当該参議院名簿届出政党等のその他の有効投票数(当該参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者の有効投票数を含まないものをいう。)に応じてあん分し、それぞれこれに加えるものとする。

この最初に出てくる「前条第一項第八号の規定にかかわらず、有効とする」の「前条第一項第八号」というのは、「公職の候補者の何人を記載したかを確認し難いもの」は無効とする、という条項。
これだけでいいではないかと思う。
候補者の姓名を正しく書けないような投票のために、繁雑な按分票作業をするのは集計の効率を極端に悪化させるだけでなく、選挙の質を下げる。

前回の日光市議会議員選挙では、
ふくだ(2)、さいとう(5)、かとう(2)、やまこし(2) という姓の候補者が複数いた。このすべてで按分票が生じている。
さらには、1人しかいない「手塚」候補の票に小数点以下がついているのはなぜかと思って調べたら、齊藤正三候補は「しょうぞう」ではなく「まさみ」と読むことが分かった。手塚候補の氏名は手塚雅己で、届出名は「手塚まさみ」、一方、齊藤正三候補の届出名は「さいとう正三」。姓を平仮名表記にして届出たのは、齊藤正三氏だけが「齊」藤で、他は「齋」藤か「斎」藤だからか? (ちなみに「斉」は一斉、斉唱などの斉で、旧字体が齊。「斎」は書斎、斎場などの斎で、旧字体が齋。意味の違うまったく別の字

手塚候補にも按分票が入っているということは、姓を書かず、しかも名前を漢字ではなく平仮名かなんかで「まさみ」とか「まさみさん」と書いた投票用紙があったということだろう。
さいとう正三候補の得票数は1,451.478票。手塚まさみ候補の得票数は1,299.422票。1451:1299で1票を割ると0.528票と0.427票だから、手塚候補の小数点以下0.422とも微妙に違う。ということは「まさみ」だけの票は1票だけではなく2票以上あったのだろうか。いや、さいとう正三候補は「さいとう」と書かれた按分票がかなり入っているから、さらに計算はややこしくなる。そこで生じた小数点以下3桁目の微妙な違いなのだろうか……。
平仮名で「まさみ」とか「まさみさん」と書いた票は、普通に考えれば「さいとう正三」という届出名の候補者に「まさみ」と書いて投票するとは思えないから「手塚まさみ」候補の票であろう。しかし、齊藤正三氏が同姓の「さいとう」さんと区別するために子供の頃から「まさみ」という名前のほうで呼ばれることが多かったら、むしろ手塚候補よりも可能性が高いかもしれない。
しかし、そういうこと以前の問題で、こんなしょーもない、ルールを守れない投票のために、当該候補者の得票数に応じて1票を小数点以下3桁まで計算しなければいけないというのは馬鹿げている。
再度いう。「按分票」の規定は廃止するべきだ。

こんな選挙は嫌だ!

さらに前回の日光市議選の最終得票結果を見ると、按分票にもならなかった無効票が1,169票もある。投票者総数が4万5724人だから、100人のうち3人近くの人が無効票。姓だけとかで判別できない「按分票」も含めたら相当数が「まともに記入されていない票」ということだ。

「按分票」がどのくらいあったのかは選挙結果発表では知ることができない。ぜひ知りたいものだ。無効票が1169票もあるくらいだから、按分票はもっとあるのかもしれない。だとしたら、どうしようもない民度の選挙だ。
選挙権は平等に──これはあたりまえのこと。しかし、最低限度のルールも理解できていないような票を「按分」までして有効にする必要はない。むしろ民主主義の劣化につながる。

それでも真剣に一票を投じた

市議会議員については、前回の結果を参考にして、落選しそうなラインにいる候補者に目をつけた。
その中で、この人よりはこの人を残したい……という選び方をしたいのだが、どういうわけか共産党と公明党以外は全員が「無所属」で、政党で選ぶこともできない。
そこで「会派」別議員名簿にアクセスした。
どうしようもない議員と同じグループは「同じ穴の……」で除外していけばいいかなという選別方法。しかし、そもそも個々の市議会議員のことをよく知らないから、会派の色もよく分からない。(だからこそ、ほとんどの人は「地元の人だから」とか「知り合いの知り合いだから」といった理由で投票してしまうのだろう。)

WEBサイトやフェイスブックアカウントを持っている議員には極力アクセスして人物像や政策を探ろうとしたが、呆れたことにまったくWEBにタッチしていない議員がいっぱいいる。
日光市のサイト内に議員名簿のページがあるのだが、メールアドレスや個人WEBサイトという項目があるにもかかわらず、アドレスやURLを明記している議員はたったの2名なのだ。どうしようもない。

……と、散々苦労した挙げ句に、市長は実質2候補の争いだろうから、この人にはなってほしくないという候補者ではないほうに。
市議会議員は落ちそうな候補者の中から、残ってほしいと思える人(その人が全候補者の中でベストだということではない)に。
決まったところで、期日前投票を済ませてきた。

今回は買い物のついでに行った。この出張所は初めて訪れた


家に戻り、レオの世話をして、X90のタイヤ交換をしていたら、ケータイが鳴った。
「○○候補をよろしく、という電話です。友達なんです」
……あ~、さっき投票してきちゃったよ。その人にするか、もう一人にするかで悩んだけれど、こうこうこういう理由でもう一人のほうにしたよ、と説明した。

さてさて、結果はどうなることか……。
前回選挙では、市長も市議も死に票になってしまったのだが……。


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