
2017/04/27
「飛び越えの獅子」は飛び越えていなかった

陽明門と表門(仁王門)の間の石段両脇に作られた玉垣。ここに逆立ちしている獅子がいる。
「飛び越えの獅子」と呼ばれているが、実はこれ、玉垣と一体化しており、分厚い石材から彫りだしたものだ。
製作者は地元・日光の石工 冬木太良右衛門 という説が有力。帳簿には100両で請け負わせたという記録とともに冬木太良右衛門の名前が残っているそうだ。
もともとは玉垣が倒れないようにという補強、つっかえの役割で作られているのだが、これを見た家光が「すばらしい。まるで玉垣を飛び越えているようだ」と誉めたことから「飛び越えの獅子」と呼ばれるようになったとか……。
大昔の話だからどこまで本当かは分からないが、楽しい話だ。
明治時代にも陽明門までは一般参拝者が入れたから、小松寅吉はおそらくこれを見て、借宿の石柵裏の獅子を彫ったのだろう。

石段を登り切った裏側にいるため……

ほとんどの人は存在に気づかず通りすぎる

地べたに伏して撮らないと顔は見えない。阿像は舌を出している

吽像は本殿に向かって右側にあり、どうも、獅子の側を見ての左右で配置しているようだ

後ろ脚は浮いており、これで「飛び越え」ているように見えたのだろう


じっくりと下から見れば、なかなかの面構えだ


この玉垣は、東照宮造営の工事においても初期に手をつけただろうから、この飛び越えの獅子のほうが奥の院の石造り狛犬よりも古いはずだ。
これを「狛犬」だとすれば、これこそが「東日本最古の石造り国産狛犬」ということになるのだろうが、狛犬……ではないのだろうなあ……やはり。
まだまだ続く

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