今日まで知らなかった。こんなふざけた話が進んでいるとは。
「横根高原メガソーラー建設 差し止め求め署名提出 鹿沼市に市民団体」という東京新聞の記事。
前日光(まえにっこう)県立自然公園内の横根高原に大規模な太陽光発電所(メガソーラー)を建設する計画を巡り、開発予定地が広がる鹿沼市の市民団体「横根高原の自然を守る会」の小野彰史代表らが16日、市役所を訪れ、佐藤信市長と横尾武男市議会議長に対し、建設に反対する市民らの署名8796筆を添え、建設差し止めに向けた対応を求める要望書を手渡した。
市と同会によると、事業者は東京都新宿区の外資系企業「カナディアン・ソーラー・プロジェクト」が設立した「CS栃木鹿沼合同会社」。カナディアン社は昨年11月、地元向けに説明会を開き、横根山頂から九合目付近の107ヘクタールを開発し、太陽光パネルを設置すると説明。建設予定地は鹿沼市が7割程度、残りが日光市にまたがる。
(東京新聞 2017/02/17)
これに先立ち、今年1月25日には鹿沼、足利、栃木、佐野の4市長が栃木県に「再生可能エネルギー発電施設導入に関する規制の見直しを求める要望書」というものを出している。これになぜか日光市は参加していない。何を考えているのか!>日光市
要望書は4市長の連名で、(1)県立自然公園条例における規制の見直し (2)県統一ガイドラインの策定 ──の2項目。この日は佐藤信(さとうしん)鹿沼市長、岡部正英(おかべまさひで)佐野市長はじめ、4市の関係者が県庁を訪れた。
佐藤市長は「県立公園内へのメガソーラー設置を非常に危惧している。規制見直しを国に働き掛けてほしい」と説明。福田知事は「国が間もなくガイドラインを策定する。市町と連携しながら課題に対処したい」と答えた。
(「メガソーラー規制、栃木県に要望 県内4市長」下野新聞 2017/01/26)
「反対運動の趣旨」という文書がPDFでダウンロードできる。
建設が予定されている地域一帯は、横根山頂から9合目付近の稜線沿いの南斜面であり、ミズナラ林のつづく横根高原を代表する美しい景観を有している地帯である。
特に、2013~14年の環境省による「前日光県立自然公園生態系回復事業」、 その後の県単事業により、横根高原の森林景観は本来の美しい景観をとりもどしつつある。
こうした自然の保全により、訪れる観光客の数はここ数年飛躍的に伸びている。この横根高原の最も美しい心臓部にあたる一帯の森林を皆伐し、広大に人工物で覆う景観は想像を絶するものである。……
地元出身で、鹿沼の彫刻屋台情報では大変お世話になっている友人のふっかつさんは、こうコメントしてくれた。
この辺りは日光国立公園に連なる前日光県立公園で、横根山(1373m)を中心としたなだらかな山塊は横根高原とも呼ばれている。
この中には井戸湿原(1280m)や古峰ヶ原湿原(1130m)が有る。又、天平時代に勝道上人はこの地で1年修行した後に男体山を目指し日光を開いたと伝えられている古くから修験道の修行の地である。
戦後、大陸から引き揚げて来た人たちが開拓を試みたが、厳しい冬季には下界と隔絶され断念、放置され自然林に戻った。
その後、ヤマハがMXを中心にしたスポーツランドを企てて付近一帯を買収するもオイルショックで頓挫し、再び放置。
現在、隣接して大地の移動・変動を観測する国土交通省のGPSと気象庁のアメダスが設置されている。
メガソーラーなんて出来たら貴重な水源地(都沢、粕尾川、粟野川、大芦川)は荒れ、防災に必要な気象&国土データが狂ってしまう。
僕としては、『日光けっこう物語』の二番の歌詞をそのままぶつけたい。
二荒(ふたら)の山を見やれば 八百万(やおよろず)の神々が
日本の国の心を 無言のままに教えてる
邪悪なものは寄せつけない その覚悟で生きていけと
奪いすぎるな 欲張るな 遊び心を忘れるなと
日光けっこう 季節を告げる 花鳥風月に囲まれ
日光けっこう 心が育つ 日光けっこう物語
日光けっこう 豊かな水が 湧き出でる山に守られ
日光けっこう 命が育つ 日光けっこう物語
こんなあたりまえのことをいちいち訴えなければならないという理不尽さ。虚しさ。怒り……。
この国はどこまで馬鹿になるのか。
日本中でこういうことが進んでいる。例えば、伊豆では……。
伊東で太陽光発電計画 2カ所、静岡県内最大規模
伊東市の八幡野地区などで民間企業による大規模な太陽光発電施設の設置が計画されていることが2日、分かった。佃弘巳市長が市議会12月定例会の杉本一彦氏(無会派)の一般質問で、市が東京都の合同会社から設置に向けた土地利用に関する事前申請を受けていると明らかにした。
市によると計画しているのは都内のソーラー事業関連会社を中心にした伊豆メガソーラーパーク合同会社。同社は2015年6月、所有する八幡野と十足地区の2カ所の土地に建設するとの事前申請書を市に提出。八幡野地区は太陽光パネルを約47ヘクタールの敷地に並べ、最大出力43メガワットで発電する内容。完成すれば県内で最大規模になるとみられる。
合同会社は本申請に向けた地盤調査を進めているとみられる。合同会社のソーラー事業関連会社は静岡新聞社の取材に「担当者がいないので答えられない」とコメントした。(以下略)
(静岡新聞 2016/12/3)
伊東・八幡野の太陽光発電建設計画 環境団体、市へ反対署名
環境団体・伊豆グリーンプロジェクトチーム(伊豆GPT、フロランス・デゥボー代表)は5日、伊東市八幡野地区に民間企業が計画している大規模な太陽光発電施設建設に反対する2835人分の署名を伊東市に提出した。デゥボー代表らが市役所を訪れ、佃弘巳市長に手渡した。
市によると建設を計画しているのは都内に本社を置く伊豆メガソーラーパーク合同会社。市に提出した事前申請書によると、所有する95ヘクタールの土地のうち47ヘクタールに太陽光パネルを設置する計画だという。
伊豆GPTは▽広大な山林が対象地区で森林伐採を伴うことは必須▽景観が大きく損なわれ、自然環境が破壊される▽土壌汚染や汚染物質の地下や海への流出などの影響も予測される―などとして計画に反対し、署名活動を行った。
(伊豆新聞 2017/04/06)

この規模……絶句!
伊豆高原や南伊豆はすでに大型ウィンドタービンも林立している。自治体は何をしているのだろう。自殺行為だ。
大瀬漁港から見た風景 2010年1月
日本中、どこへ行っても邪悪なものが国家的援助や「国策」の旗を掲げて追いかけてくる。
うちのすぐそばもこうなってしまった。↓

↑ソーラーパネルの下の土。小規模ならこんな風にシートで覆われてしまう。
大規模だと放置され、どうにもならなくなると除草剤を撒いたりするから、いずれにしても土は死ぬ。

↑これは奈良県の例。写真を撮った武田恵世さんの話では、見ている前で作業員がパネルごと斜面を滑落したとか。
下には人家も農地もある。大雨が降ったら土砂崩れが起きそうだし、確実に泥水は流れてくるから、農地や河川に泥が入り込んで賠償問題が起きるだろう。
もちろん、こんな場所では発電量は期待できない。撤去するにも事業者は倒産して逃げてしまった後……ということになるのではないか。
設置するのも税金(補助金)や電気料金(再エネ賦課金)が使われ、尻ぬぐいするのにも税金が使われる。破壊した山は簡単には元に戻らない。
正気を取り戻せ、日本。
矜持のある「保守」はどこへ消えた? 馬鹿と極悪人ばかりが表に出てきて、今やその正体を隠そうともしない。
今が本当に生死の分かれ目なんだよ。この一線を越えさせたら、取り返しのつかないことになるんだよ。