朝から雨。
食材がなくなった。助手さんが「誕生日だけど、どうしよう」と言う。
じゃあ、雨だけれど買い出しに行くか。ランチは……移転後、まだ行っていない無垢里にでも……。
……と、久々に大室に行ってみたら、なんと「本日貸切」の札が出ていて、マイクロバスが停まっていた。残念。
じゃあ、しょうがないから今市に出るか……と、荊沢を通って下今市を抜けて……と走りながら、さて、どこに行く? と悩む。
自分の誕生日なんだから自分の好きなところに決めて、と助手さん。でも、どこもピンとこないなあ。
そこで助手さんがボソッと「饗茶庵とか……スペシャルな日だから」と呟く。
そういえばイマイチの饗茶庵に入ったことはないなあ。鹿沼の饗茶庵はお茶だけだけど2、3回入ったけれど。
今市のあのへんは600円定食のこだま食堂(
2015年度日光くりっく大賞受賞のお店)をはじめ、780円でものすごい定食が食えるとまり木、鮮魚専門の魚ご飯、500円でチャーハンのニジコなどなど、優良店がひしめいている。そんななかで一軒だけ青山か銀座かという感じで存在する日光珈琲玉藻小路。敷居が高いから気軽には入れない。
でも助手さんの「こんな日じゃないと入らないでしょ」という言葉に背中を押されて入ってみた。

入り口

これも入り口にあるオブジェ

雨で客はまばら。中二階が空いていたのでそこに。窓から路地を見下ろすとこんな感じ

この席に陣取る。隣は空席なので、中二階の一角を独占できた

さて、ランチメニューは……やはり敷居が高いけれど、今日はスペシャルだから……と言いきかせて……

古民家再生……というか、もとは遊郭だったらしい


日光珈琲というブランドを築いてしまったオーナーの才覚はすごい

このシャンデリアは遊郭のときからあったのかしら。それともどこかから持って来たのか


お金をかけなくても高級ブランドを演出できるというよい見本。行政やビジネス界でも注目されている

バケットサンド。中にはチキンとサーモン

さつきポークの具だくさんガレット

食後の珈琲をいれてくれるおねえさん

自慢の珈琲

スペシャルな日だから……と、ケーキまで頼んだのだった
今市の古い街並みや古民家の風情を残してお洒落な観光スポットを再構築……というのを始めていた玉藻小路プロジェクト(?)。後から隣に道の駅「ニコニコ本陣」ができて、イメージが変わってしまった。
ニコニコ本陣をこの玉藻小路のイメージできちんと演出できていたらどれだけ素晴らしい観光スポットになっていただろうと思うと、本当に残念ではある。
結局はセンスなんだよなあ。
センスというのはなかなか身につかない。でも、せめて学ぶ努力をしないとね。
自分ではできない、自分にはセンスがないから……と自覚することも勉強のうち。公金を使う側の人たちがもっともっと謙虚にならないと。予算があって、それを使って、振り分けて、なんか作ればいいだろ、ではない。
帰り道、駐車場に停まっている車やカーディーラーに置いてある車を見ながら「あの青はあれでいいのかねえ」「あの黄色もねえ。もっと彩度を落としてレモンイエローのようにすればきれいなのに」などという会話を交わしながら走っていると、前をエメラルドグリーンの古いフィアットパンダがするするっと走っていった。ああ、古くなって色褪せてもいい色はいい色なんだよなあ~、とため息。
この差って、どうしようもないのかなあ。
新しい技術、素材はどんどん使う。合理的にね。でも、センスをなくしたらおしまい。センスとは「粋」であり「息」であり「生き」……「心意気」のことである。
世の中にセンスがないものがあふれると、イキができなくなり、イキのないものは大切にしないから、心も貧しくなる。
今からでも遅くはない。イキなまちづくり……世界の観光都市日光だからこそ、そこんとこよろしく、だわね。